美容室で日々廃棄される髪の毛を“資源”として農業へ活用する、持続可能な循環型プロジェクトが山梨県身延町にて始動した。連携するのは、地域の在来種「あけぼの大豆」を栽培する農家「うりぼうの里」、横浜の美容室「hairmake arch」、および環境NPO「Matter of Trust Japan」の三者である。
本プロジェクトでは、髪の毛に多く含まれるたんぱく質「ケラチン」の効果に着目。土壌において分解される過程で微生物の働きを促し、保水性や通気性の向上が期待される。これにより、農業の省資源化と収量改善を両立することを狙っている。
「廃棄物」から「資源」へ──髪の毛が育む循環モデル

本取り組みは、チリのアタカマ砂漠地域で展開されている「Agropelo」プロジェクトを一つのモデルとする。同プロジェクトでは、髪の毛で作られたマットが水の蒸発を抑え、作物の生育を促進する成果を上げている。水資源が限られる地域において、灌漑水の使用量を最大48%削減しつつ、収量を30%以上向上させた実例は国際的にも注目されている。
国内でも美容室由来の廃棄物は年間数百トン規模に達するとされ、その多くが焼却処分されている。今回の試みは、そうした未活用資源を再定義し、地域農業の持続可能性向上につなげる「循環経済」の新たなアプローチである。
今後の展開と参画呼びかけ
今期の大豆収穫までの約5カ月間にわたり、髪の毛を活用した圃場にて土壌の状態や作物の成育状況を継続的にモニタリング。科学的な効果検証を踏まえたうえで、今後は他地域への展開も視野に入れる。
Matter of Trust Japanでは、本取り組みに関心のあるメディアや企業・団体に対し、取材や共創の機会を広く呼びかけている。
【団体概要】
一般社団法人Matter of Trust Japan
所在地:東京都世田谷区瀬田2丁目12番15号
設立:2023年12月
代表理事:濵 七彩子
公式サイト:https://matteroftrust.jp/
連絡先:contact@matteroftrust.jp
【連携先】
・農業法人「うりぼうの里」:https://uribonosato.com/
・美容室「hairmake arch」:https://arch-j.jp/
※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。