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「治療よりも予防」【医師・徳田安春が語る 「総合診療」の重要性とは? その2】

堀江貴文氏は3月27日、医師の徳田安春氏を取材。「総合診療」の重要性などについて話を聞いた。(初回配信日:2017年3月27日)

インフルエンザ・ウイルスの抗原検査を受けたいひとは、病院ではなく自分でやってほしい

堀江 僕は、多くの人たちにAIによる診療を活用して欲しいんですよ。

徳田 セルフケアということですよね。実は、軽い風邪や下痢など自然に治るような病気で病院に来院する人がとても多いんです。そして、病院で二次感染を起こして問題になったりする。2015年に韓国でMARS(中東呼吸器症候群)がアウトブレイク(集団発生)したのは病院からなんです。

堀江 そうですよね。

徳田 病院には様々な病気の患者さんが集まるので、それがリスクになる。

堀江 だから僕は、病院にはできるだけ行きたくないんですよ。

徳田 インフルエンザが流行する時のアウトブレイク拠点も多くが病院なんです。

堀江 でも、それってわかっていることですよね。

徳田 そうです。でも、例えば、鼻の奥に綿棒を差し込むインフルエンザ・ウイルスの迅速抗原検査は、病院でなければ受けられないんです。検査の感度は70パーセント程度ですので、真のインフルエンザケースでも陰性となることも多い検査なのです。

堀江 ピロリ菌の簡易検査キットって、尿検査でも可能なんですよね。だったらセルフでできるじゃないですか。妊娠検査薬とやり方は変わらないので。

徳田 そうですね。

堀江 なのに今の規則ではピロリ菌検査はセルフではダメで、妊娠検査薬はセルフでできる。理由は「ピロリ菌検査は病気の有無を調べる診断だから」で、「妊娠は病気じゃないからOK」ということなんです。

徳田 なるほど。

堀江 ウイルス抗原の検査も病気の診断だからということなんでしょうが、あれも別にセルフでできるじゃないですか。

徳田 そうです。そのような検査を受けたい人はむしろご自分でやっていただきたいという考え方です。

堀江 そうですよね。だって、簡易検査キットなんかアマゾンとかで即日発送できるわけで、そのうち「ドンキ」や「ヨドバシ」がドローンを飛ばして、都内だったら1時間以内に配達してくれるサービスとか始めますよ。アメリカなんか接種を看護師が行う形で「Uber HEALTHCARE」がインフルエンザワクチンを届けてくれたりしてますから。

徳田 すごいですね。

その3に続く

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徳田安春 Yasuharu Tokuda

総合診療医、筑波大学客員教授。1964年生まれ。琉球大学医学部卒業後、沖縄県立中央病院、聖路加国際病院、筑波大学付属水戸地域医療教育センターを経て、独立行政法人地域医療機能推進本部顧問に。総合診療の重要性を説き、総合診療医の教育に力を注いでいる。

Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保