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「実は海外から日本食のレシピが かなり検索されているんです」 【「kurashiru(クラシル)」堀江裕介代表が語る レシピ動画サービスの次の戦略とは? その1】

堀江貴文氏は5月17日、kurashiru(クラシル)の堀江裕介氏を取材。「レシピ動画サービス」の次の戦略などについて話を聞いた。(初回配信日:2017年5月17日)

「クラシル」がヒットした理由は、良質なコンテンツを低コストで発信する仕組みを構築できたから

堀江貴文(以下、貴文) レシピ動画サービス「クラシル」(https://www.kurashiru.com)は“クックパットの動画版”というイメージですよね。俺、料理動画はやろうとしてたんですよ。っていうか、やってたけど(笑)。

堀江裕介(以下、裕介) やってましたよね(笑)。誰もが「次はクックパットの動画版がくる」と思ってたけれど、みなさんあんまりうまくいってなかった。そこで、僕はみなさんがウェブを中心にやっている時に、まずアプリからスタートしたんです。アプリに資本を大量に投下して、とにかくそこでのトラフィックを取る。そのためには「良質なコンテンツを低コストで大量に発信する」ことに重点を置きました。

貴文 今、レシピは月に何本くらい作ってるんですか?

裕介 1000本くらいです。

貴文 これまでのトータルだと?

裕介 2016年1月からサービスを始めたんですけど、6000本くらいですかね。

貴文 1本あたりのコストは?

裕介 具体的な数字は控えますが、他の動画コンテンツと比べると10分の1以下なのではないかと。この安い制作単価も料理動画市場に参入した理由のひとつで、それ以外のメディアだと1本あたりの生産コストがすごく上がっちゃうんです。例えば、お笑いとかエンタメ系のメディアを作ろうとすると、最終的にはテレビ局のディレクターとかを雇わないといけなくなる。そうすると人件費などでコストがものすごく高くなります。でも、レシピ動画なら、作り方や見せ方などをフォーマット化すれば……。

貴文 低コストで制作できる。

裕介 そうなんですよ。ディレクションする人がいなくても、一定のクオリティの動画が作れるようなオペレーションを国内で最速で組んだのが良かったんだと思います。

貴文 じゃあ、BuzzFeed(バズフィード)の「Tasty(テイスティ)」とはまったく逆のアプローチだね。テイスティはめっちゃコストかけてるから。

裕介 そうですね。もちろんクオリティも大事ですが、一番使ってもらえるサービスになるためには「レシピ数」を充実させることが最優先だと考えています。

貴文 このやり方は、キュレーションメディアに近いよね。

裕介 近いですね。僕は「メディアをスタートする時は、最初にある程度のコンテンツ数が必要」だと思っているんです。そうしないと検索に対応できない。例えば「カレーの作り方」で検索した時に、レシピが3つしか出てこなかったら「なんだこのサービス」って思われちゃう。それだとクックパットには対抗できない。だから、とにかく動画のコンテンツ数を最速でリッチにしていく必要があったんです。

貴文 なるほどね。

その2に続く

堀江裕介(Yusuke Horie)

「dely株式会社」代表取締役。1992年生まれ。慶應義塾大学在学中に「dely株式会社」を設立し、2016年1月からレシピ動画サービス「クラシル」のサービスをスタート。2017年4月、米『Forbes』誌の「アジアを代表する30歳未満の起業家30人」に選出される。