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Avacus、AIブロックチェーンエージェント(ABA)が実運用段階へ― チャットだけでトークン交換とマルチセンドを完結、AI×ブロックチェーンの実装局面を切り開く ―

Web3テック企業 SOWAKA PTE. LTD.(本社:シンガポール、代表:松田航)が提供するWeb3スーパーアプリ「Avacus」は、2025年4月に発表したAIブロックチェーンエージェント(ABA)の実証実験に続き、実用フェーズへの移行を発表した。新アップデートでは、チャット上で完結するトークン交換(スワップ)と、複数宛先への一括送信(マルチセンド)を実装し、AIがユーザーの自然言語を解釈してブロックチェーン上の取引を自律的に実行する体験を前提化したのである。

チャットで終わるスワップ体験

従来のWeb3において複雑であったスワップ手順を、ユーザーが「◯◯トークンを△△に交換して」と伝えるだけで完了できる。ABAは最適ルートと手数料を探索し、必要なトランザクションを自動生成するため、画面遷移や細かなパラメータ設定を意識することなく、安全かつ迅速に交換が完了する設計である。「対話がそのままブロックチェーン操作になる」というABAの思想を、日常的なUXに落とし込んだ点に意義がある。

マルチセンドが拓く自動送金の運用化

新搭載のマルチセンド機能により、DAO報酬の一括分配、NFTの一斉付与、暗号資産の割り勘精算などを、チャット指示のみで自動化できる。ユーザーが「このリストに100トークンずつ送って」と告げれば、ABAがガス最適化や送信順、バッチ設計を自律的に行い、安全に複数送金を完了させる。人的オペレーションが不可欠だった分散型コミュニティ運営を、“数秒のオペレーション”へと縮約する実用性が示された。

実証から応用へ――AIがブロックチェーンを動かす段階

Avacusは、ウォレット機能と自然言語のチャットインターフェースを統合し、AIがユーザー意図を理解して取引を実行する取り組みを継続してきた。今回のアップデートで、安全性・自律性・ユーザー体験の三軸を最適化し、実運用レベルでの安定稼働に到達したとしている。デモ映像(スワップ/マルチセンド)も公開され、“検証の域”から“実社会での活用段階”への転換点を明確にした。

「ブロックチェーンを意識させないWeb3」へ

Avacusは、ウォレット×SNS×AIエージェントを統合する。ユーザーは会話するだけで資産移動や配布を行い、SNS的なつながりがそのままトークン経済やDAOエコシステムと連動する。人・情報・価値・組織がAIを介してシームレスに結びつくことで、ユーザーはブロックチェーンの複雑性を感じずに参加できる世界観を提示している。中心にあるのは、「意志そのものが経済を動かす」という新しいインターフェースである。

今後の展開とパートナー連携

同社は、分散型ウォレットやWeb3SNS基盤の拡張に加え、AIエージェントを用いた自律的なWeb3運営支援や新しいユーザー体験の創出を進める。AI×ブロックチェーン分野での事業共創を志向する企業・団体に対し、基盤提供からサービス設計、戦略立案、共同開発・実証までを支援する体制を整えるとしている。

公式ウェブサイト: https://avacus.cc

会社概要
社名     : SOWAKA Pte. Ltd.
代表者名 : 松田 航
所在地   : シンガポール
事業概要 : モバイルウォレット付Web3SNS 「Avacus」およびWeb3広告配信サービス「Avacus Connect」の開発・サービス運営 / ブロックチェーン技術研究 / AIプロダクト開発
Web    : https://sowaka.io/

ZEROICHI編集部の注目点

①「会話=トランザクション」という設計転換である。
 ウォレット操作・DApp間遷移・手数料最適化など散在していた作業を、自然言語での単一行為に統合した点は、Web3のボトルネックであるUXを根源的に解消するアプローチである。意図を宣言すれば、計算・選択・実行をAIが巻き取る構造は、非専門ユーザーの参入ハードルを大幅に下げ、採用拡大の現実解となる。

②DAO実務の“時間圧縮”である。 
報酬分配・エアドロップ・キャンペーン配布など、これまで人手に依存していた運用をマルチセンドで自動化し、コミュニティ運営を“会話駆動の業務”へと再定義した。オペレーション負債の削減は、分散型組織の規模拡大と生産性向上に直結する。

③「ブロックチェーンを意識させないWeb3」という思想である。 
ウォレット×SNS×AIの統合により、コミュニケーションと取引が同一文脈で連続する。“使い勝手が良いから結果としてWeb3”という順序は、マスアダプションに不可欠な設計哲学であり、実装を伴う点に評価がある。

④安全性・自律性・UXの三位一体最適化である。
 エージェントが自律生成するトランザクションは、誤操作・過少/過大手数料・宛先ミス等の実務課題を内在する。これらをプロダクト側で吸収し、ユーザーが“意思表明”に専念できる状態を作ることが、エージェント時代の競争力の本質である。

Avacusの今回のアップデートは、AIがブロックチェーンを「操作」する段階から「運用」する段階への橋渡しである。分散化の次に来る自律化を、具体的な機能と運用設計で提示した点に、今後のWeb3実装に資する先行事例としての価値を見るのである。

※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。