BUSINESS

宿泊業の「待たせない対応」は実現できるか──PMSに組み込まれたAIエージェントの意味

人手不足が顕在化するフロント業務

株式会社NASII(東京都八王子市 代表 細江弘紀)は、宿泊施設向けPMSにAIエージェント機能を実装した。ゲスト向けスマートフォンサービスのチャットにおいて、スタッフ不在時でも応答可能となる仕組みである。

宿泊施設における顧客対応は、到着前から滞在中、チェックアウト後まで継続する。問い合わせの内容は、館内設備、周辺情報、時間変更など多岐にわたり、集中する時間帯も偏る。特に少人数運営の施設では、対応遅延が発生しやすい。

この課題は、単に人員数の問題ではなく、対応時間の分散に起因する。深夜帯や移動中など、常時同一の応答品質を維持することは難しい。

チャットボットの限界と運用負担

これまで多くの施設では、定型質問への対応としてチャットボットが導入されてきた。しかし事前に用意した回答を超える質問には対応できず、頻繁な更新が必要であった。

結果として、問い合わせ削減より管理業務の増加につながる場合もあった。運用者の負担軽減という目的に対し、別の管理作業が発生する構造である。

情報源を持つAIという設計

AIチャット返答イメージ

今回の仕組みは、施設ごとの情報を参照しながら応答する点に特徴がある。施設固有情報は指定資料を基に回答し、一般情報は外部情報を参照する構造となっている。

この設計により、定型回答だけでなく状況に応じた案内が可能となる。従来のシナリオ型から、情報検索型への変化といえる。

また回答内容の統一が図られ、担当者による説明差異を減らす効果も想定される。

PMSに組み込まれる意味

特徴的なのは、単体ツールではなくPMSに組み込まれている点である。予約、案内、変更対応などの業務と連動することで、応答の範囲が拡張される可能性がある。

これは問い合わせ対応の自動化ではなく、業務フローの一部を再設計する試みといえる。単に質問に答えるのではなく、業務の入口を担う位置づけとなる。

会社概要

会社名 : 株式会社NASII
代表者 : 細江 弘紀
所在地 : 〒192-0045 東京都八王子市大和田町3-17-15
設立  : 2012年4月
事業内容: クラウドPMS「NASII」の運用
資本金 : 100万円
URL   : https://nasii.net/

期待される効果と変化

応答の即時性は、顧客体験の要素の一つである。待ち時間の減少は満足度に影響しやすい。一方で、スタッフ側では問い合わせ集中の緩和が期待される。
対応内容が整理されることで、現場の判断負担も減少する可能性がある。心理的負担の軽減は、離職防止や教育コストにも関係する。

ZEROICHI編集部が注目した理由

ZEROICHI編集部が注目したのは、AIの導入が効率化ではなく運用標準化として扱われている点である。
宿泊業の課題は人員不足だけでなく、対応品質のばらつきにある。本件は人の代替ではなく、応答基準の共有装置として機能している。
AIの役割が作業削減から業務の均質化へ移行している事例として位置づけられる。

宿泊業における次の段階

今後、予約変更や付帯サービスの指定など、手続き領域への拡張が想定される。
問い合わせ対応と手続き処理の境界が曖昧になり、フロント業務の構造が変化する可能性がある。
宿泊施設のデジタル化は単なる省人化ではなく、対応方法の再定義に進みつつあるといえる。

■原文リリース(参照)
原文リリース発表日付:2026年2月12日
タイトル:【業界初】PMS「NASII」にSalesforce Agentforceを搭載したAIエージェントを実装
原文リリースのURL:https://www.atpress.ne.jp/news/572436

※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。
誤解や偏りが生じる可能性のある表現については、原文の意味を損なわない範囲で調整しています。