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空いている席は「眠れる資産」か。遊休スペース収益化アプリ「Work Point」が提示する空間活用の新モデル

カフェや学習塾、オフィスなどに日常的に存在する「空席」や「空き時間」は、従来は機会損失として見過ごされがちであった。この未活用リソースを可視化し、時間単位で流通させようとする動きが各所で進みつつある。

大阪発のスタートアップが投入した新サービスは、この構造課題に対して一つの解を提示しようとしている。

Coco Works合同会社(大阪府大阪市北区 代表社員 三上亮)は、遊休スペース収益化アプリ「Work Point」を正式展開したと発表した。同アプリは、空いている席や時間を時間制で販売できる仕組みを提供し、検索・予約・決済・入退室管理までをアプリ上で完結させることを特徴としている。

本稿では、同サービスの概要を整理するとともに、ZEROICHI編集部の視点から、その社会的意味と構造的論点を読み解く。

「席と時間の価値」を可視化するという発想

「Work Point」は、店舗や施設が保有する空席・空き時間を時間単位で販売できるアプリである。利用者はアプリ上で空きスペースを検索し、事前決済を行った上で、QRコードやICタッチによって入退室する仕組みとなっている。

運営側にとっての特徴は、受付や会計業務の追加負担を抑えながら、既存運営を大きく変更せずに追加収益化を図れる点にあるとされる。

同社によれば、サービスは当初、コワーキングスペースの検索・利用を簡素化する目的で開発が進められた。しかし開発過程で、カフェ利用者に対する退席依頼の難しさや、長時間滞在による回転率低下といった現場課題に着目したという。

ここで浮かび上がったのが、「席」と「時間」の価値が仕組みとして共有されていないという問題認識である。同アプリは、この見えにくい価値を選択可能な商品として提示することを狙っている。

アプリ完結型のオールインワン運用

発表内容によると、「Work Point」の主な特徴は以下の通りである。

第一に、検索・予約・決済・入退室をアプリで一元管理できる点である。これにより、受付業務の簡略化や、一定条件下での省人運用も視野に入る設計となっている。

第二に、初期費用・月額費用が不要とされる成果報酬型モデルである。売上発生時に手数料が発生する仕組みで、導入時の固定費負担を抑える設計が採られている。

第三に、部分的な導入が可能な点である。例えば「平日午後のみ」「特定席のみ」といったスモールスタートに対応し、既存営業との併存を前提としている。

さらに、管理ツール「Work Manager」によって利用状況やユーザー属性の可視化を行い、価格設定や運営改善に活用できるとしている。

想定される導入シーン

同社が例示する導入対象は多岐にわたる。

コワーキングスペースでは予約・決済・入退室管理の一元化、カフェでは長時間利用席の時間制販売、学習塾や予備校では授業外時間の自習室開放、夜型飲食店では昼間時間帯のワークスペース化、オフィスでは未使用会議室の時間貸しなどが想定されている。

いずれも共通するのは、「本来の主業務を維持したまま、空き時間を収益源に転換する」という発想である。

アプリダウンロードURL

■GooglePlay:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.Coco Works.「Work Point」&pcampaignid=web_share

■AppStore:https://apps.apple.com/jp/app/「Work Point」/id6738620323

ZEROICHI編集部の注目点:なぜ今、遊休スペースなのか

ZEROICHI編集部が本件に注目した最大の理由は、遊休空間の問題が単なる個別店舗の課題にとどまらず、都市構造全体に関わるテーマである点にある。

日本の商業空間や教育施設、オフィスは、時間帯によって稼働率に大きな偏りがあることが指摘されてきた。一方で、リモートワークの普及や副業人口の増加により、「短時間だけ作業場所を確保したい」という需要は確実に存在している。

つまり、市場の両側には潜在的なニーズが存在するにもかかわらず、それらが効率的に接続されていないという構造的ギャップが長年放置されてきたのである。

「Work Point」は、このミスマッチを技術的に橋渡ししようとする試みの一つと位置づけられる。

構造的論点:スケールを阻む壁はどこにあるか

もっとも、この領域は過去にも複数のプレイヤーが参入してきた分野でもある。したがって、今後の普及においては幾つかの論点が想定される。

第一に、店舗側の運用負荷と心理的ハードルである。いかに省人化設計であっても、既存オペレーションとの整合やトラブル対応フローの設計は導入判断に影響する可能性がある。

第二に、価格設計と需要の安定性である。短時間利用市場は存在するものの、地域差や時間帯による需要のばらつきをどう平準化するかは、プラットフォーム型ビジネス共通の課題となる。

第三に、ネットワーク効果の立ち上がり速度である。利用者にとっての利便性は拠点数に依存する側面があり、初期フェーズでのエリア展開戦略は重要な焦点となる。

これらの論点をどのように乗り越えるかが、同サービスの中長期的な成長を左右する可能性がある。

今後の展開

同社はまず、大阪市都島区のコワーキングスペース「CUBE」での実績を基盤に、地域のカフェや教育機関、事業者への横展開を進める方針としている。

将来的には、同アプリを起点とした店舗ネットワークの拡大により、「どこでも働ける」「空間がつながる」環境の実現を目指すとしている。

遊休空間の流動化は、不動産、働き方、都市利用の在り方に横断的に関わるテーマである。今回の取り組みが、既存の空間利用モデルにどこまで変化をもたらすのか、今後の展開が注目される。

■原文リリース(参照)

2026年1月21日:空いている席が、今日から売上になる!遊休スペース収益化アプリ「Work Point」を正式展開
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000160838.html

※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。
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