本稿は、株式会社HEALTHREE(東京都渋谷区 代表取締役CEO 山本真也)への取材をもとに作成した記事である。
健康課題の解決が叫ばれて久しい一方で、現実には「分かっていても続かない」という壁が多くの人の前にある。健康情報は十分に流通し、健康管理アプリも数多く存在する。
それでも運動や生活改善が定着しにくいのはなぜか。
そうした問いに対し、HEALTHREEは「努力」ではなく「楽しさ」から健康習慣を設計し直そうとしている企業である。
健康行動が続かないという課題
健康に関する情報やサービスは増え続けている。
運動の必要性や生活習慣の見直しの重要性は広く共有されており、アプリを用いて日々の行動を記録することも一般化した。にもかかわらず、健康行動の継続は依然として難しい。

山本氏が着目しているのは、この「始められない」ではなく「続かない」という問題である。
従来の健康管理は、自らを律し、高い意識を保ち続けることを前提にしがちであった。しかし実際には、意識やモチベーションだけで日常行動を長期にわたり支えることは容易ではない。山本氏は、そうした前提自体に限界があると捉えている。
ここで重要なのは、健康の課題を個人の根性や我慢の問題としてのみ扱わない視点である。必要なのは、正しさを説くことだけではなく、自然に続く設計をどう作るかという発想である。
「健康を頑張る」から「楽しいから続く」へ
HEALTHREEが提供する「HEALTHREE」は、同社が「ヘルスケアゲームアプリ」と位置づけるサービスである。
ゲーミフィケーションと報酬設計を組み合わせ、歩行などの日常行動をゲーム体験と接続することで、運動習慣の継続を後押しする設計を志向している。公開情報でも、同社は「楽しさで人々を健康に」をミッションに掲げている。
山本氏への取材で印象的であったのは、健康を目的として前面に押し出すのではなく、まず体験として面白いことを重視している点である。
従来型の健康サービスが「健康意識の高さ」から行動を引き出そうとしてきたのに対し、HEALTHREEは「楽しいから続く。その結果として健康につながる」という順序で発想している。

この違いは小さくない。健康行動を“努力の延長”としてではなく、“続けたくなる体験”として再設計することに、同社の特徴がある。
Move-to-Earnの熱狂を経て、継続の構造を再設計する
HEALTHREEの歩みを理解するうえで、Move-to-Earnの文脈は避けて通れない。歩くことで報酬を得られる仕組みは、新規ユーザーを呼び込みやすい一方で、報酬への関心が先行しやすい側面もある。
HEALTHREEもその文脈を通過してきたが、山本氏は現在、単なる「稼げる体験」ではなく、「面白いから続く体験」へと軸足を移そうとしている。公開リリースでも、同社は2024年12月の大型アップデート以降、ユーザー体験の強化とゲームシステムの刷新を進めていると説明している。より本格的なゲーム体験を通じ、毎日のワクワクと運動習慣の維持を両立させることが狙いである。
この転換は重要である。報酬は始めるきっかけにはなり得るが、継続の中核をそれだけに委ねると、熱量は長く続きにくい。
共同創業者の田中氏も公開コメントの中で、ブロックチェーンによる金銭的インセンティブが「始めるきっかけ」をつくり、ゲームのような体験設計が「続けたくなる楽しさ」を生み出すと述べている。
HEALTHREEが目指しているのは、インセンティブとエンターテインメントの役割を分けて設計することである。
体験を磨いていく飽きさせない仕組みと、スタートアップ式ゲーム開発
HEALTHREEを単なる健康アプリとして捉えると、その本質を見落としやすい。取材から見えてきたのは、同社が静的なプロダクトではなく、継続的なアップデート、イベント設計、コミュニティ形成を通じて価値を高める“運営型”の発想を持っていることである。
公開リリースでも、ゲームシステムのアップデートや今後の情報発信が示されており、単発で完結するアプリではなく、体験を育てていくサービスとして構想されていることがうかがえる。
この点は、ゲーム市場への本格進出を掲げる今回の資金調達とも整合している。HEALTHREEはシリーズA 1stラウンドで資金調達を実施し、ゲーム市場への本格進出、サービス多角化、グローバル展開の強化を打ち出した。30万ダウンロード突破という足元の実績を踏まえつつ、今後はゲームシステムのさらなる強化とマーケティングを進める方針である。
つまり同社は、健康管理の機能を提供するだけの企業ではなく、ゲームの運営思想をヘルスケアに持ち込み、継続そのものを設計しようとしているのである。
人が人を呼ぶ体験は、継続性の裏返しでもある
山本氏への取材では、利用者の広がりにおいて紹介やコミュニティの力が小さくないことも示唆された。健康サービスは個人の努力に閉じがちであるが、HEALTHREEはフレンド機能や競争、共有体験を通じて、ひとりで頑張る構図から距離を取ろうとしている。
健康を孤独な管理行為としてではなく、他者との関係の中で続く行動へと変えていくことは、継続設計の観点でも意味がある。単純な機能比較ではなく、「続けたくなる空気」をどう作るかという発想が、同社の事業には通底している。
もちろん、こうした体験価値は今後さらに検証されるべき領域でもある。ただ、少なくともHEALTHREEが目指しているのは、数値を管理させるだけのサービスではなく、日常の中に参加感や変化を織り込むサービスである。
目指すのは、歩行ゲームの先にある健康習慣プラットフォーム
HEALTHREEの構想は、歩行ゲームにとどまるものではない。公開リリースでは、同社が「HEALTHREE」に留まらず、近しい未来を目指す企業との連携を強化しながら、多角的な事業展開を通じて運動習慣・健康習慣の構築を支援していく方針を示している。
企業向け事業「HEALTHREE for Biz.」の運営もその一部である。
また、グローバル展開についてはASEAN地域を中心に本格化する計画が公表されている。現地代理店との連携によりプロモーションを進め、日本発コンテンツへの信頼を武器に海外ユーザーの獲得を目指すという。
こうした動きから見えてくるのは、同社が単一アプリの拡販ではなく、「楽しさを通じて健康習慣を支える仕組み」を広げようとしていることである。
技術よりも先に問われる、行動デザインの視点
HEALTHREEを語るとき、Web3や報酬設計といった技術面は注目されやすい。しかし取材を通じて感じられたのは、同社の本質が技術そのものより、技術をどう人の行動変容に接続するかという設計思想にあることだ。
運動が健康に資することは広く知られている。それでも多くの人は続けられない。
田中氏は、その背景に「めんどくさい」「続かない」「楽しくない」という心理的ハードルがあると述べている。HEALTHREEは、そうした“やりたくないこと”を“やりたくなること”へ変えるために、エンターテインメントを使おうとしている。
この意味でHEALTHREEの試みは、単なるアプリ開発ではなく、行動デザインの社会実装と見ることもできる。正論や義務感だけでは動きにくい人間の現実を前提に、どうすれば毎日の行動を変えられるか。その問いに対する一つの実践例が、同社の事業である。
企業・サービス情報
会社名 :株式会社HEALTHREE
所在地 :東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア 39F
代表者 :山本 真也 / 田中 厳貴
設立 :2023年11月16日
URL :https://heal3.com/
事業内容 :HEALTHREE / HEALTHREE for Biz.の運営
HEALTHREEアプリ
- App Store:https://apps.apple.com/us/app/healthree/id6449821527
- Google Playストア:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.healthree.healthreeMobileApp&hl=ja&pli=1
ZEROICHIがこの企業を取り上げる理由
ZEROICHI編集部がHEALTHREEに注目した理由は明確である。
第一に、同社は健康課題を「知識不足」ではなく「継続設計の不足」として捉え直している。
第二に、行動変容を、我慢や自己管理の強化ではなく、ゲーム体験によって実装しようとしている。
第三に、Web3や報酬設計を前面に押し出すのではなく、それらを体験の裏側に置きながら、より広い社会に届くかたちへ翻訳しようとしている。
第四に、歩行ゲームという一点から出発しつつ、将来的には健康習慣全体を支える仕組みへと拡張しようとしている。
HEALTHREEは、単なる健康アプリ企業でも、単なるWeb3サービス企業でもない。
健康は必要だと多くの人が知っている。
しかし、必要だと知っていることと、続けられることは別の問題である。HEALTHREEの取り組みは、その断絶に対して「楽しさ」という別の回路を持ち込もうとする試みである。
健康習慣をどう社会に根づかせるか。その問いに対する現実的かつ現代的なアプローチとして、ZEROICHI編集部は同社を取り上げる意義があると判断したのである。
■原文リリース(参照)
2026年2月12日発表
「ヘルスケアゲームアプリ『HEALTHREE』シリーズA 1stラウンドで資金調達を実施。ゲーム市場への本格進出とサービス多角化による経済圏の拡大を目指す」
原文リリースのURL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000135849.html