スマートフォンに話しかける看護師のイメージとともに、音声入力0円で看護記録を作成できる訪問看護ステーション向け音声AIサービスを示した画像
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クラシテク、訪問看護の記録書ⅡをAIで自動作成する「AIオペ自動記録書Ⅱ入力」を無料提供開始

スマートフォンへの音声入力を起点に、訪問看護の記録業務負担軽減を図る

株式会社クラシテク(東京都渋谷区 代表取締役 一岡亮大)は、訪問看護ステーション向けに、AIによる記録書Ⅱ自動作成サービス「AIオペ自動記録書Ⅱ入力」の無料提供を開始した。

初期費用・月額費用はともに不要であり、スマートフォンに話しかけることで、訪問看護における記録書Ⅱの作成を支援するという。利用開始は申し込み後、最短1〜3営業日としている。 

本稿は、同社が2026年4月14日に公表した内容および過去掲載記事をもとに、編集部で構成した記事である。公開情報をベースに整理しており、独自取材による追加事実の確認を行ったものではない。 

訪問看護の記録業務に対し、音声入力からの自動整形を無償で提供

今回提供が始まった「AIオペ自動記録書Ⅱ入力」は、スマートフォンに話しかけた内容をAIが文字起こしし、記録書Ⅱの形式に沿って自動整形するサービスである。

クラシテクによれば、SOAP形式およびサマリー形式に対応し、スマートフォン、タブレット、パソコンなどから利用可能である。対象は訪問看護ステーション全般であり、初期費用・月額費用ともに無料としている。 

同社は、訪問看護の現場では1日に複数の訪問先を回るなかで、訪問ごとに記録書Ⅱの作成が求められる一方、予算不足や導入稟議の壁によって、AI導入の必要性を感じながらも踏み切れない事業所が少なくないとしている。

そうした状況を踏まえ、まずは費用負担の壁をなくした状態で現場に届けるべきだと判断したという。 

無料提供という打ち出しは、単に価格を下げる施策というよりも、導入可否の入り口そのものを変える意味を持つ。

訪問看護の現場では、記録・報告・請求に関わる業務が日々の運営に密接に結びついている一方、新しいツールの導入には費用対効果の見極めや内部承認が必要になりやすい。

今回の施策は、その最初の障壁を意図的に取り払おうとするものといえる。 

「話すだけで記録書Ⅱが完成」とするサービス概要

クラシテクの公表内容によれば、本サービスでは、記録者、訪問日時、利用者などを選択したうえでマイクボタンを押し、音声を入力することで記録作成を進める。

音声だけでなく手動でのテキスト入力や編集にも対応し、入力内容からSOAP形式の記録を生成する機能も備えるという。録音中はリアルタイムで文字起こしが表示され、生成後の記録はコピー、編集、削除が可能であるとしている。 

また、同社は本サービスの特徴として、移動中や訪問先での利用を想定している点、訪問看護領域で用いられる専門用語への対応を打ち出している点、テンプレートへの自動整形が可能である点、さらに記録の保存・編集・共有に対応している点を挙げている。

こうした設計からは、単なる音声メモアプリではなく、訪問後の記録整理を前提とした業務支援機能として位置づけていることがうかがえる。 

もっとも、実際の現場でどの程度の時間削減や定着効果が得られるかについては、現時点でこのリリース内に第三者検証の数値は示されていない。

そのため、本サービスの実効性を評価する際には、今後の利用事例や継続的な運用実績が重要になるであろう。現段階では、クラシテクが示した機能概要と導入条件をもとに、その方向性を捉えるのが妥当である。 

既存の「AIオペ」で培った領域知見を、無料サービスに接続

クラシテクは今回のリリースで、2025年10月からAI業務支援サービス「AIオペ」を展開しており、すでに100を超える訪問看護ステーションに利用されていると説明している。そのうえで、このサービス運営を通じて蓄積した訪問看護領域の音声認識ノウハウを活かし、新たな無料サービスを提供するとしている。 

この点は見逃しにくい。無料提供のインパクトが強いため、価格面だけが先に注目されやすいが、今回の発表の土台には、同社が既存の「AIオペ」で積み上げてきた訪問看護領域への接続がある。

過去の公表では、AIオペは記録書Ⅱからの報告書・計画書自動生成、レセプト業務支援、返戻業務代行などを含む、訪問看護に特化したAI業務支援サービスとして位置づけられてきた。今回の「AIオペ自動記録書Ⅱ入力」は、その裾野を広げる入口として読むことができる。 

前回ZEROICHIで掲載したクラシテクに関する記事では、同社を単なる訪問看護向けAIツール企業ではなく、制度産業における暗黙知や熟練判断を、実行可能な業務オペレーションへ変換しようとする企業として位置づけた。

今回の新サービスは、そうした構造的な見立てを、現場の高頻度業務により近い形で具体化した動きとみることができる。すなわち、抽象的な「AI活用」ではなく、現場の記録という日常の反復業務に対して、まず一つの導入口を開いた発表である。 

導入ハードルを下げる設計と、その意味

同社は、問い合わせまたは電話で申し込みを受け付け、アカウント発行後、最短1〜3営業日で利用を開始できるとしている。

ヒアリングや業務分析を必須とせず、まずは1件試すという導線を提示している点も特徴である。大きな導入プロジェクトとしてではなく、小さく始められる形で提示していることが、このリリースの実務的なポイントである。 

訪問看護領域では、現場の負荷が高いにもかかわらず、新しいツールに十分な検証時間を割きにくいという現実がある。そうした環境では、機能の豊富さだけでなく、「試しやすさ」が導入の成否を左右する。

今回の無料化と短い利用開始期間は、その意味でわかりやすい。クラシテクは、まず使ってもらうこと自体を最優先に据えたと読める。 

一方で、無料提供は利用拡大の有力な手段である反面、継続的な運用や品質維持、将来的な本サービスとの接続設計がどうなるかも見どころになる。無料で広げた先に、どのような業務支援全体像へ接続していくのか。

今回のリリースだけではそこまで詳細に述べられていないが、同社の既存事業との連続性を踏まえれば、単発のキャンペーンというより、現場接点を広げるための戦略的な一手として理解する方が自然である。 

ZEROICHI編集部がこの発表に注目する理由

ZEROICHI編集部が今回の発表に注目する理由は、単に「無料のAI記録ツールが出た」という話ではない。

より重要なのは、前回取り上げたクラシテクの構造が、今回の発表によって一段具体的な形で現れた点にある。前回の記事で見えていたのは、同社が訪問看護を単なる効率化市場として見ているのではなく、制度接続の精度や反復的な判断業務が経営に直結する領域として捉えていることであった。

今回の新サービスは、その延長線上で、記録業務という日常の入口に踏み込んだ動きとして位置づけられる。 

また、今回の無償提供は、導入障壁の高さそのものを課題として認識したうえで打たれた施策である。

AIの活用可能性を語るだけでなく、「予算がない」「稟議が通らない」といった現場の現実に対して、まず費用負担をなくす形で応答したことは、同社の事業の向き合い方を示している。

記録書Ⅱという実務に密着した領域から使ってもらう入口を広げることは、訪問看護領域におけるAI業務支援の接点を増やすうえで意味を持つ。 

今回の発表は、劇的な技術革新を大きく誇示するものではない。

しかし、だからこそ重要でもある。制度産業におけるAI活用は、派手な未来像よりも、現場で繰り返される業務のどこに、どのような形で入り込めるかが問われる。

クラシテクの今回の動きは、その問いに対する一つの現実的な回答として注目される。前回の構造記事を踏まえると、本件は単発の小規模リリースではなく、同社が現場接続をさらに広げようとしている動きとして捉えるべきである。 

企業概要

会社名:株式会社クラシテク
代表者名:一岡亮大
本社所在地:東京都渋谷区神南1丁目6-5
公式サイト:https://kteku.com/
ホウカンAIオペサイト:https://ai-operation.jp/houkan/ 

原文リリース(参照)

過去掲載(参照)

※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。
誤解や偏りが生じる可能性のある表現については、原文の意味を損なわない範囲で調整しています。