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「あえて店舗を増やさない」作り方。SHIROが直営店と自社製造にこだわる真意

北海道・砂川に誕生したSHIROの自社工場「みんなの工場」。かつてお土産品を作っていた小さな会社を26歳で引き継ぎ、独自の「素材主義」でグローバルブランドへと押し上げたSHIRO会長・今井浩恵氏。その徹底した現場主義とブランド哲学に、実業家の堀江貴文氏が迫る。

一方、北海道大樹町で宇宙開発の拠点を築き、行政の壁を突破しながら「人口増」という奇跡を起こしている堀江氏。

「地方でやる価値」とは何か。大樹町の防災予算を活用したインフラ整備、SHIROの16億円の投資判断、そして次世代に「ものづくり」の選択肢を提示するオープンファクトリーの仕掛けまで。北海道から世界を揺さぶる二人の異端児が、停滞する日本を再起動させるための「勝てる経営戦略」を語り尽くした。

・その1:16億円を投じる「地方再生」の正体。堀江貴文×SHIRO今井氏が語る、既成概念を壊しグローバルを制する経営戦略

・その3:堀江流・人口5500人の町を「社会増」に変える方法。

・その4:ものづくりの気配を感じてほしいーSHIROのオープンファクトリーのしかけ

捨てられる8割を付加価値へ

©ZEROICHI

堀江貴文(以下、堀江):いや、でもすごいですね。こんなにおしゃれなお店があって素敵すぎる。カフェまでありますし。この製品は、全国のドラッグストアなどにあるんですか?

SHIRO会長・今井浩恵(以下、今井):置かないんですよ、一切。直営店だけの運営です。

堀江:ですよね。見たことがないですもん。どうやってみんな知るんですか?

今井:比較的駅の一等地にお店があります。全部直雇用で、直営のお店だけですね。卸売りは一切しません。

堀江:へえ、今何店舗ぐらいあるんですか?

今井:今、30店舗弱です。日本国内で30店舗以上は増やさないと決めています。

堀江:全国に?

今井:全国ですね。あとはちょっとずつ海外も含めて。それ以上は増やせないのです。

堀江:増やせない理由は何ですか?

今井:製品が作れないので。

堀江:製造能力の問題ですか?

今井:製造能力というよりも、私たちは生産者さんから素材を分けてもらって、その素材からものづくりをしている部分があるので。素材をたくさん栽培していただければいいのかもしれませんが、地球環境などをいろいろ考えると、無理をしない方が良かったりするじゃないですか。実際にあるもので、捨てているものでモノを作っていった方がいいなと。

堀江:なるほどね。

今井:新たにエネルギーをかけて生み出してゼロから栽培するよりも、みんなが困っていて、「これ全部環境廃棄物代を払わなきゃいけないな」というものをあえて選んで、それを分けていただいて。そこからスキンケアにしたり、ものづくりをしたりするのがSHIROなんです。だから、むやみやたらに店舗数を広げても、製品が作りきれないのです。

堀江:なるほど。

今井:一方で、ずっと欠品が続いている製品もあって、お客様にご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ないと思っています。

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堀江:なんで欠品しているんですか?

今井:作りきれないのです。素材もそうですし、売れすぎて生産が追いつかない。

堀江:工場はどちらなんですか?

今井:ここと、あと協力工場が数箇所あります。

堀江:協力工場があるんですね。

今井:生産全体の6割ぐらいをみんなの工場で担っています。

堀江:原料にすごく珍しいものが並んでいましたね。特にあの「昆布」。あれは何ですか?

今井:あれは「がごめ昆布」という種類で、もともと、一部捨てられていたものなんです。「フコイダン」という特有のネバネバ成分が含まれているのですが、非常に高い保水力があり、お肌にとても良いとされているのです。ですから私たちは、その昆布のエキスをそのまま使った美容液などを展開しています。

堀江:へぇー。昆布の美容液なんて、世界的にもあまりないですよね?

今井:ないですよね。私たちは15年ほど前からこの取り組みを始めて、少しずつ皆さんに知っていただけるようになりました。それから、北海道の「ラワンぶき(北海道足寄町(あしょろちょう)の螺湾地域に自生する、高さ2〜3m、太さ10cm以上に育つ日本一巨大なフキ)」もそうですね。
ラワンぶきも、実は売り物として流通するのは全体の2割程度で、残りの8割は捨てられていたのです。その「捨てられてしまう8割」を分けてもらうところからスタートしました。

堀江:それは、具体的にはどういった効果があるんですか?

今井:主にアレルギーやアトピー、肌荒れなどの炎症を抑える「抗炎症作用」があると言われています。

堀江:なるほど、抗炎症ですか。

今井:普通の化粧品ですと、そういった効果・効能を担う「有効成分(肌に直接働きかける成分)」は、実は全体の数%も入っていないことが多いのです。成分のほとんどが水でできていたり。しかし、SHIROの場合は素材から抽出したエキスをほぼ100%使用した製品もあります。

他のメーカーができない理由

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堀江:なぜ他のメーカーは、そのやり方をやらないんですか。

今井:原料メーカーさんから原料を買うと、めちゃくちゃ高いじゃないですか。SHIROの場合は、生産者さんが困っているものを分けてもらって、安く譲り受けています。それをこの工場で、素材の処理からすべて自社で行っているので、ある程度安価に、自社工場の費用だけで抑えられるんです。

堀江:へぇー、すごい。

今井:作りたいものを決め、その素材の生産者さんを探して会いに行き、交渉をしてという手間をかけるより、化粧品原料メーカーからエビデンス(科学的根拠)があるものを買った方が楽なんだと思います。だけど、それでは価格が高くなってしまいますし、何より思い入れも持てない。ですから、その方法はSHIROでは採用していません。生産者を探すところから自分たちで始めています。

堀江:へぇー。海外展開はどうなんですか? 

今井:韓国や台湾、イギリスなどで展開しています。

堀江:すごいですね。結構いろいろな製品がありますね。

今井:今はフレグランス(香水)がメインですね。香水が売上の65%ぐらいを占めています。

堀江:やはり香水から売れていったという感じですか。

今井:そうですね。

堀江:他にもいろいろありますよね? 洗剤とか。

今井:はい、ありますね。ソフナー(柔軟剤)ですとか。

堀江:柔軟剤とか、石鹸とか。

今井:はい。あとはボディケア系や化粧水などのスキンケア製品ですね。

堀江:意外といろいろな種類があるなと思って見ていたんですが、大体の全製品があそこ(商品が置いてあるスペース)に置いてあるわけですよね。

今井:そうですね。

堀江:いやー、もう完全無欠すぎて何も言えないです。ツッコミどころがないなと。

今井:本当ですか?(笑)

堀江:はい。僕は、それこそロクシタンの工場や本社に行って思ったことが、「ああ、こういうことをやっていそうな会社が日本にあるな」ということで今日は(SHIROに)お話を聞きたいなと思ったんですが、思っている以上にツッコミどころがないというか。理想のものができていましたね。

今井:いえいえ、理想のものはまだまだです。

堀江:まだまだですか。これからどうするんですか? 

今井:もちろんSHIROというブランドは多くの方に知ってもらっていますし、それはすごくありがたく嬉しいことです。一方でSHIROが納めた税金で日本という国は良くなっていない。SHIROの利益を自分たちで使いながら、ただ税金を納めるのではなく、自分たちが社会を良くするということに、もっと力を入れていきたいなと思っています。

堀江:まずは創業の地である、砂川からですか?

今井:いや、なかなか難しいですよ。

堀江:難しいですか? 僕は逆に変えられるかなと思ったんですが。僕自身も大樹町で事業をやっていますから。

今井:それはぜひ教えてほしいですよ。もう5年ぐらい行政と一緒にやっていますが、いわゆる「暖簾に腕押し」で、何を言ってもかわされて終わってしまうのです。

その3に続く