堀江貴文氏は7月30日、サンバイオ株式会社の森敬太社長を取材。再生細胞医薬品の開発などについて話を聞いた。認知症の予備軍が急増する未来とは!?(初回配信:2019年8月26日)
今後10年で“定年後のサラリーマン”が量産される
堀江 脳って、どういうふうに老化していくんですか?
森 一般的なことしか言えませんが、やはり老化した脳は縮んでいると言われますよね。
堀江 じゃあ、サンバイオさんの技術で、その縮んでいく脳を止めることができるんじゃないですか?
森 認知症のモデルは、それに近いかもしれないですね。
堀江 認知症の人って、乱暴に言えば「老化がすごく進行している人」と言い換えることもできますよね。これは医学的なエビデンスがあるわけじゃないですけど、よく「サラリーマンって定年になるとボケていく」って言われますよね。それは、サラリーマンは人生のほとんどを会社に捧げていて、人間関係もそこでしかない。それで定年になると奥さんと2人だけになるけれど、奥さんはすでに自分のコミュニティがあるから相手にされない。そういうことが関係あると。
森 はいはい。
堀江 また、「高齢者がケガをして歩けなくなって、家にずっといるとボケていく」というのもよく聞きます。脳って、80歳でも90歳でも多くの人とコミュニケーションをとって、たくさんの刺激を受けているとボケずに元気でいられるんじゃないかと思うんですよ。以前、この対談で産業医の方から聞いたんですが、「社会的な地位が高い人と低い人では平均寿命が7年違う」らしいんです。
森 地位が高い人の方が、長いんですか?
堀江 そうです。社会的地位が高いといっても65歳以上の人の話なので、65歳以上で社会的立場が高い人って、例えば町内会長とかなんです。
森 なるほど。
堀江 町内会長って、嫌な人とか面倒くさい人とも会わなくちゃならないじゃないですか。それで適度なストレスが与えられて、脳が活性化されるらしいんです。
森 そうか。サラリーマンのリタイア後は逆ですもんね。
堀江 しかも、これからAIやロボット化の時代になってくると、ホワイトカラーの仕事はほとんどいらなくなる。今後10年で失業者が大量に出てくるわけです。
森 はい。
堀江 いきなり、“定年後のサラリーマン”が量産される状況になる。僕が何を言いたいかというと、刺激がないと脳が萎縮していくのであれば、認知症治療薬ができることで“定年後のサラリーマン”のような状況の人たちにも何らかの効果があるのではないか。そして、さらに寿命を伸ばすことにもつながっていくんじゃないかと思っているんです。
森 そうですね。あるいは、若返らせることができるかもしれない。50歳くらいのときに一度、薬を投与することで、若さが維持できるとか……。
森 敬太 Keita Mori
サンバイオ株式会社 代表取締役社長 1967年生まれ。東京大学農学部卒、同大学大学院院農学系研究科終了。その後、米カリフォルニア大学バークレイ校でMBA(経営学修士)を取得。1993年に「麒麟麦酒株式会社」に入社。2001年に米国で「SanBio, Inc.」を設立。2013年に日本法人「サンバイオ株式会社」を設立し、2014年に日本法人を親会社化。日米での事業展開を推進する。