2026年春に就航を目指す航空スタートアップ・ジェイキャスエアウェイズの共同代表の白根清司氏、梅本祐紀氏が、堀江貴文氏と鼎談。地域活性化を目指した航空スタートアップの挑戦と未来像を探る。
堀江貴文氏が注目する地域航空会社の挑戦
堀江貴文(以下、堀江) 「JCAS Airways(ジェイキャスエアウェイズ)」さんは、地域航空会社の設立を目指しているんですよね。
梅本祐紀(以下、梅本) はい。2026年春に「関西国際空港―富山きときと空港(富山県)」間、「関西国際空港―米子鬼太郎空港(鳥取県)」間を結ぶ路線の開設を予定しています。今は富山も米子も関西への空路はなく、東京国際空港(羽田空港)に行くしかない状況なんです。
堀江 そうそう。僕も地方に行くことが多いのでよくわかるんですけど、羽田に戻るのがめっちゃ面倒なんですよ。なんで大阪に飛んでないんだって。
梅本 そうなんです。それで「ATR72-600」(最新鋭のターボプロップ機)という約70人乗りの飛行機をリースして、まずは大阪と日本海側の街を結ぼうと思っています。
堀江 へー。
自由な空路展開が可能な理由
梅本 よく「他の地域航空会社と何が違うんですか?」と質問されるんですが、既存の地域航空会社は自治体から出資や融資を受けていることが多いので、基本的にその自治体にある空港からしか飛ばせません。例えば、新潟の「トキエア」さんだったら、新潟空港から中部国際空港(セントレア)や仙台空港、札幌丘珠空港などといったようにです。でも、我々は特定の自治体から出資を受けていないので、日本全国に自由に飛ばすことができるんです。現在、日本には85個くらい活用できる空港がありますが、そのほとんどが上手く活用されていません。これからは新幹線や高速道路がバンバンできる時代ではないので、こうした空港の活用が重要になってくると思うんです。実は新幹線と比べて地域航空の方が初期コストを抑えて立ち上げができるんです。30億円の事業費で地域航空なら飛行機が2機飛ばせます。一方で、新幹線は400mくらいしか線路が敷けません。
堀江 まあ、そうでしょうね。
梅本 例えば富山県を例にとると、国際空港である関空から富山空港まで約1時間で結べます。料金は8500円から1万4000円の間のダイナミック・プライシング(変動価格)を予定しています。搭乗率が60%になると黒字になるので、まずは69%を目指します。また、富山から岐阜、長野、妙高(新潟)などへもヘリやバスといった二次交通を使って行けるようにする。すると、インバウンドのお客様も富山空港を中心にしていろんな場所に行けるようになります。地域創生も含めて手がけるのが我々の特徴なので、そうした二次交通も含めた流れを作っていきたいと思っています。
Text:村上隆保
白根清司(Seiji Shirane)株式会社ジェイキャスエアウェイズ共同代表
日本航空株式会社(JAL)で豊富な実務経験を重ね、安全領域においてシニアエキスパートとしての地位を構築。その後、中核メンバーとしてスカイマークの立ち上げに参加、そのほか多数の新規航空会社の立ち上げやコンサルティングプロジェクトを推進。関西航空機市場への参入など、様々なプロジェクトにおいてアドバイザーとしての経験を持つなど、航空業界におけるさまざまな課題解決に従事。
梅本祐紀(Yuki Umemoto)株式会社ジェイキャスエアウェイズ共同代表
複数のスタートアップをIPO(新規株式公開)へ導いたシリアルアントレプレナー。2018年に東証プライム市場へ上場したand factory社は創業期から参画。インバウンド × 宿泊領域の事業を立ち上げ、都内中心に10店舗以上を展開。2021年の独立後からはコンサルティング活動を開始し、IPO直前期の複数のスタートアップにおいて、事業開発支援をハンズオンで実施。