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【堀江貴文×ジェイキャスエアウェイズ共同代表・白根清司、梅本祐紀】パイロット不足をどう乗り越える?

堀江貴文氏が、2026年春に就航を目指す航空スタートアップ・ジェイキャスエアウェイズの共同代表の白根清司氏、梅本祐紀氏に話を聞いた。パイロット不足の現状や画期的なアプリ開発構想など、その挑戦を掘り下げた。

地域航空の人材戦略

©ZEROICHI

堀江 就航は2026年でしたっけ。

梅本 そうです。2026年の春です。

堀江 じゃあ、まだ少し先ですね。手続き的に大変なことってあるんですか?

白根 航空事業に関するいろいろな許可を取るのが大変です。

堀江 パイロットや整備士を何人以上雇わなければいけないとか?

白根 そうですね。パイロットは会社に所属しているので、なかなか人材が集まらないんです。

梅本 ATR72-600を操縦できる人はなおさら少ないんです。

白根 だから、今は自衛隊出身の人が多いんですよ。自衛隊は55歳定年なので、結構応募があります。

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堀江 民間機は何歳まで操縦できるんですか?

白根 68歳までです。ですから、自衛隊を定年になってもまだ10年以上は飛べます。

堀江 定期航空便の航空身体検査って、結構、厳しいんですよね。

白根 はい。60歳を過ぎた人にはトレッドミルの試験があります。室内ランニングマシンを走って、心拍の検査をするんです。だから、不摂生していると不合格になります。民間のパイロットは半年ごとに検査をするんですよ。

堀江 じゃあ、年配の人の採用はなかなか難しいんですか?

白根 でも、ある程度の年齢じゃないと機長になれる人がなかなかいないんです。

堀江 機長の試験というのは社内規定なんですか?

白根 基本的に国が審査をします。会社で訓練をやって、その後に国交省の審査官が審査をするという流れです。ある地域航空会社は機長審査に10人受けて、合格したのは2名だったそうです。

堀江 そんなに厳しいんだ。1機飛ばすのに機長は何人必要なんですか?

梅本 1機だったら機長は4人です。

白根 交代も含めると7、8人は必要でしょうね。

堀江 そうすると、機長だけで相当なコストがかかりますね。

梅本 僕らの給料よりも高くなると思います(笑)。

既存の航空アプリの欠点

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堀江 あと、JALやANAのアプリが使いにくいんですよ。

梅本 やはり、今までのいろんなシステムのパッチワークになっていますからね。僕らが作るのはもうとにかくシンプルなやつです。

堀江 アプリを使いやすくするなんて、めちゃくちゃ簡単なんですけどね。最初の「ANA SKY WEB」を作ったのは僕なんですよ。

梅本 え、そうなんですか。知りませんでした。今でもあるじゃないですか。

堀江 でも、僕が作ってた頃のコードは残ってないと思いますよ。だって30年くらい前ですから。

白根 そのころは大型コンピュータを使ってたんですよね。

堀江 そうです。本当は予約までできるようにしたかったんですけど、「それは絶対にダメ」って言われました。だから、運行情報を取り出するのと機内誌の『翼の王国』をデジタル化して載せるくらいでした。だから、もっと使いやすいアプリをつくって、逆にJALやANAに売ってほしいくらいですよ。

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梅本 我々はゼロからスタートするので、アプリも使いやすいものができますよ。

堀江 そうですよね。JALやANAのアプリはいつまで経っても慣れないんです。僕が慣れないっていうことは、多分、慣れる人がいないってことですよ。

梅本 そうだと思います(笑)。

堀江 だから、ちゃんとした使いやすいものを作ったら、全然、売れると思います。北海道の路線も含めて、ぜひ、頑張ってほしいです。めちゃくちゃ期待しています。

梅本・白根 ありがとうございます。

堀江 こちらこそ、ありがとうございました。

その1はコチラ

Text:村上隆保

白根清司(Seiji Shirane)株式会社ジェイキャスエアウェイズ共同代表
日本航空株式会社(JAL)で豊富な実務経験を重ね、安全領域においてシニアエキスパートとしての地位を構築。その後、中核メンバーとしてスカイマークの立ち上げに参加、そのほか多数の新規航空会社の立ち上げやコンサルティングプロジェクトを推進。関西航空機市場への参入など、様々なプロジェクトにおいてアドバイザーとしての経験を持つなど、航空業界におけるさまざまな課題解決に従事。

梅本祐紀(Yuki Umemoto)株式会社ジェイキャスエアウェイズ共同代表
複数のスタートアップをIPO(新規株式公開)へ導いたシリアルアントレプレナー。2018年に東証プライム市場へ上場したand factory社は創業期から参画。インバウンド × 宿泊領域の事業を立ち上げ、都内中心に10店舗以上を展開。2021年の独立後からはコンサルティング活動を開始し、IPO直前期の複数のスタートアップにおいて、事業開発支援をハンズオンで実施。