株式会社HEALTHREEは、自社で培ってきたゲーミフィケーション設計・開発ノウハウを法人向けに提供する共同開発支援サービス「HEALTHREE for Biz.」の提供を開始した。
同社は、ヘルスケアゲーミフィケーションアプリ「HEALTHREE」を運営するヘルスケアテック企業である。これまで個人向けアプリの開発・運営を通じて、運動や健康行動を「努力」ではなく「楽しい体験」として継続させる設計に取り組んできた。今回の新サービスは、その過程で得た行動継続に関する設計知見を、他社アプリや他社サービスの企画・開発・グロース支援へ展開するものである。
すでに、24時間フィットネスジム「LifeFit」などを展開する株式会社FiT(京都府京都市 代表取締役 加藤恵多)へのサービス提供が進行している。HEALTHREEはFiTが運営する管理アプリにおいて、ユーザーの習慣化・継続利用を促すゲーミフィケーション機能の企画・開発支援を担当する。
健康アプリ企業から、行動継続設計企業へ
HEALTHREEの特徴は、単に健康管理アプリを提供している点にあるのではない。より本質的には、人が行動を続けるための仕組みを、ゲーム体験や報酬設計、UI/UX、コミュニティ設計などを通じて組み立ててきた点にある。
従来の健康サービスは、利用者の健康意識や自己管理能力を前提に設計されることが多い。記録する、目標を立てる、努力する、管理する。そうした仕組みは重要である一方、日々の生活のなかで長期的に続けることは容易ではない。
HEALTHREEが向き合ってきたのは、この「続けられない」という課題である。同社は、健康行動を「正しいから行うもの」としてではなく、「楽しいから自然に続くもの」として再設計しようとしてきた。楽しい体験があるからアプリを開く。アプリを開くから行動が続く。行動が続くことで、結果として健康習慣につながる。この順序の転換こそ、同社の価値核である。
今回の「HEALTHREE for Biz.」は、その設計思想をBtoB領域へ広げる取り組みだ。つまり、健康アプリの会社が単に開発支援を始めたというよりも、自社プロダクトで磨いてきた“行動を続けさせる設計原則”を、他社事業の継続率改善や習慣化支援に応用し始めた動きと見るべきである。
継続率改善が事業効率に与える意味
アプリ事業において、ユーザー獲得は重要なテーマである。しかし、獲得したユーザーが短期間で離脱すれば、広告費やマーケティング投資の効率は低下する。特に、継続利用を前提とするアプリやサブスクリプション型サービスでは、初回利用だけでなく、その後も利用し続けてもらう設計が事業成長の鍵となる。
HEALTHREEは、自社アプリ運営を通じて得た知見として、翌月継続率やDAU/MAU比率、再訪率、課金転換率、ARPU、LTVといった指標に注目している。同社は、ゲーミフィケーション設計がユーザーの熱中度や再訪行動に影響し、結果としてCAC削減やLTV最大化に寄与し得ると位置づける。
ただし、こうした数値や効果は、導入先のサービス内容、既存ユーザーの特性、提供価値、課金設計、運用体制によって変動する。したがって、「導入すれば広告費が削減される」「継続率が必ず上がる」といった単純な効果保証として捉えるべきではない。重要なのは、ユーザーの行動を継続させるための設計を、事業構造の一部として組み込む視点である。
アプリ事業者にとって、継続率は単なる運用指標ではない。プロダクトの価値がユーザーの日常に定着しているか、再訪する理由があるか、課金や利用頻度につながる導線が設計されているかを映す指標でもある。HEALTHREE for Biz.は、この領域に対して、ゲーミフィケーションを「装飾」ではなく「事業設計」として導入する支援を行う。
FiTとの共同開発で示す、隣接領域への展開可能性
今回のサービス提供開始にあたり、HEALTHREEはFiTとの共同開発事例を示している。FiTは24時間フィットネスジム「LifeFit」などを展開する企業であり、フィットネスとテクノロジーを組み合わせた事業を展開している。
HEALTHREEがFiTに対して担うのは、顧客管理アプリにおけるゲーミフィケーション構築である。具体的には、企画、要件定義、UI/UX設計、開発ディレクションに関する伴走支援を行う。自社アプリで蓄積してきた「行動継続を生む設計原則」を、FiTの事業ドメインに合わせて適用する取り組みである。
この事例が持つ意味は小さくない。HEALTHREEが扱ってきたのはヘルスケア領域であるが、FiTとの取り組みはフィットネス事業という隣接領域への応用である。健康行動とフィットネス利用はいずれも「始めること」以上に「続けること」が課題となる領域であり、行動継続設計との親和性が高い。
同社は、ゲーミフィケーション設計の原則は特定の業界に閉じるものではなく、「人が続ける」という人間行動に関わる設計であると捉えている。FiTとの共同開発は、その知見が自社アプリの内部にとどまらず、他社サービスの顧客体験設計にも展開され得ることを示す事例となる。
提供する3つの支援領域
HEALTHREE for Biz.は、クライアントの事業フェーズや課題に応じて、複数の支援形態を組み合わせる。
第一に、コンサルティングおよび研修である。事業課題を整理し、継続率や習慣化指標に接続するゲーミフィケーション戦略を設計する。単に機能を追加するのではなく、要件定義の前段階から「何を作るべきか」を議論する伴走型の支援を行う。
第二に、UI/UX設計および開発である。MVPの共同開発やプロダクト設計に関わり、自社プロダクトを立ち上げ・運営してきたメンバーが、設計初期から関与する。エンジニアリングだけでなく、事業視点を踏まえたゲーミフィケーション設計を組み込むことを重視する。
第三に、共同事業および共同開発である。作って納品して終わる開発受託ではなく、継続率や習慣化指標を見据えた長期的なパートナーシップを軸とする。協業企業の既存ユーザー基盤、ブランド、販路などのアセットと、HEALTHREEの行動継続設計を組み合わせ、新規事業の共創も視野に入れる。
これらの支援は単体でも、組み合わせても提供可能である。FiTとの事例では、コンサルティングからUI/UX設計・開発までを主軸に、柔軟な稼働設計でプロジェクトを開始している。
ゲーミフィケーションは「飾り」ではなく、事業設計の一部になる
ゲーミフィケーションという言葉は、しばしばポイント、バッジ、ランキング、報酬といった表層的な機能として捉えられる。しかし、HEALTHREEが提示するのは、それよりも深いレイヤーの設計である。
重要なのは、ユーザーがなぜ戻ってくるのか、なぜ続けたくなるのか、どのタイミングで達成感を得るのか、どのような報酬やフィードバックが行動を支えるのかという問いである。これらはUIの見た目だけで解決できるものではなく、プロダクトの価値設計、KPI設計、ユーザー導線、コミュニケーション設計と密接に関係している。
HEALTHREEは、自社プロダクトの運営者として日々ユーザーと向き合いながら、こうした行動継続の仕組みを磨いてきた。その意味で、HEALTHREE for Biz.は単なる外部開発支援ではなく、事業オーナーとして得た知見を外部パートナーに提供するサービスである。
アプリ事業において、ユーザー獲得単価が上がり、競合サービスが増えるなか、継続利用の設計はますます重要になる。広告によって新規ユーザーを獲得するだけでなく、獲得後にどのような体験を提供し、どのように利用を日常化させるか。その問いに対し、HEALTHREEはゲーミフィケーションと行動設計という切り口から答えようとしている。
ZEROICHI編集部が注目する理由
ZEROICHI編集部が今回の動きに注目する理由は、HEALTHREE for Biz.が単なる新サービス発表にとどまらないためである。
HEALTHREEはこれまで、健康を“努力”ではなく“楽しい体験”として継続させる会社として、自社アプリを通じて行動設計に取り組んできた。今回、その知見を外部企業向けに提供し始めたことは、同社の見え方が「健康アプリ企業」から「行動継続設計企業」へ広がり始めたことを意味する。
多くの事業において、「ユーザーが続かない」という課題は共通している。健康、フィットネス、教育、金融、コミュニティ、サブスクリプションサービスなど、継続利用が価値の前提となる領域は少なくない。そこでは、正しい情報を届けるだけでも、便利な機能を用意するだけでも不十分な場合がある。必要なのは、ユーザーが自然に戻ってきたくなる体験を、事業構造の中に組み込むことである。
HEALTHREE for Biz.は、HEALTHREEが自社アプリで向き合ってきた「人はなぜ続けられないのか」という問いを、他社事業の成長課題へ展開する取り組みである。健康を“正しさ”ではなく“続く体験”として設計する視点は、ヘルスケア領域を超えて、アプリ事業全般の継続率、習慣化、LTV改善にも接続し得る。
この点にこそ、今回の発表の本質がある。HEALTHREEのBtoB展開は、同社にとっての事業拡張であると同時に、アプリ事業における「継続」の設計を再考する契機でもある。
会社概要
会社名:株式会社HEALTHREE
事業内容:HEALTHREE / HEALTHREE for Biz.の運営
代表者:山本 真也 / 田中 厳貴
設立:2023年11月16日
URL:https://company.heal3.com/
原文リリース(参照)
- 2026年5月12日:【継続率改善で広告費を削減】自社アプリにて翌月継続率60%を実現したHEALTHREEが、ゲーミフィケーション構築支援サービス「HEALTHREE for Biz.」を提供開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000135849.html
ZEROICHI過去掲載(参照)
- 2026年3月23日:健康は「正しい」だけでは続かない。HEALTHREE(ヘルスリー)が挑む、行動を変えるヘルスケアゲームの可能性
https://zeroichi.media/medical/38457
※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。
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