堀江貴文氏は6月8日、金沢大学の菅沼直樹氏を取材。「車の自動運転研究」の最前線などについて話を聞いた。(初回配信日:2015年6月11日)
自動運転の研究の大部分は情報処理。新規参入がしやすい環境
堀江 先生は、Googleなんかと競うような研究をされているわけですよね(編集部注:米Googleは、2015年夏に自社設計の自動運転車で公道実験を始めると発表した)。
菅沼 我々の研究室の場合、予算も規模もむこうに勝つのはなかなか難しいので、どこかひとつの技術で突出したものを作っていければと考えています。そのためには、まず広く浅く、全部の技術を掌握すること。その上で、公道実験を通して知見を広めることが重要です。
堀江 なるほど。
菅沼 我々が最も得意としている技術は「先読みする」ということです。その技術をもっと磨いて、世界一をアピールしていきたいですね。
堀江 「先読みする」っていうのは、具体的にはどのようなことなんですか?
菅沼 自動車が動いている環境って、要は周囲の車とか自分の位置とかが、すべて高速で行き交っている状態ですよね。その状態で車の位置関係をセンサーで測るんですが、大事なのは「その瞬間の車の位置」ではなくて、「それが1、2秒先にどうなるか」ということ。そこを正確に予測しないと安全な運転はできないんです。
堀江 正確に先読みするには、車の加速度や過去の動きなんかのデータをみて、いろいろ条件分岐させて考えていくんですか?
菅沼 そうですね。さらに道路の形状情報から、自分や周囲の車がこの先どのような動きをするかも予測します。例えば、直進とカーブでは当然動きが違いますから、その動きをしっかり認識しないと正しい予測ができないんです。単純なようですが、やっていることは意外と大変なんですよ(笑)。
堀江 いや、単純ではないですよ。僕は逆に「よくやっているな」と思っていました。
菅沼 毎日、センサーのデータをひとつひとつ眺めながら、地道な作業を続けています(笑)。
堀江 ところで、日本で自動運転を研究している方はどれくらいいるんですか?
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Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保
菅沼直樹(Naoki Suganuma)
金沢大学理工研究域准教授(当時)。1975年生まれ。金沢大学大学院卒業後、日本学術振興会特別研究員を経て、金沢大准教授に。