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「胃がんの99%はピロリ菌が原因」「胃がんは予防できる時代に」 【国立国際医療研究センター・ 上村直実が語る“予防医学”の現状とは?その4】

堀江貴文氏は5月25日、国立国際医療研究センターの上村直実氏を取材。「予防医学」の現状などについて話を聞いた。(初回配信日:2015年5月28日)

医療のナショナルデータベースが早急に必要

堀江 今はそれぞれの病院にそれぞれの患者のカルテがあるじゃないですか。今度、マイナンバー制度が始まりますけど、それを契機にクラウドに自分のカルテの履歴や画像診断の情報を全部アップして解析すると、がんなどの病気にかかるリスクがだいたいわかるわけですよね。

上村 精度の高いデータベースができればわかるでしょうね。

堀江 そして、肝機能の数値だったり、血中の尿酸値だったり血糖値だったり、そういったものをずっとモニタリングすることで、自分が病気になった時や老化していった時に適切な治療方針が作れると思うんですけど、なんで、それがなされてないんですかね。

上村 それは、言うのは簡単ですが、大規模データベースを作るのは大変な作業です。さらに日本では、プライバシーや倫理の問題があって、なかなか進まないんです。でも、世界の流れは違っている。この間、台湾の学会に呼ばれて行ってびっくりしたんですけど、台湾の国民医療費は年間約23兆円なんだそうです。

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堀江 23兆円!?(平成24年度の日本の医療費は約39兆円)すごい額ですね(台湾の人口は約2300万人。日本の約5分の1)。

上村 そのため、台湾では今、堀江さんが言ったように病院に行ってもらった薬の履歴や検査結果などを集約して国が管理するナショナルデータベースができているんです。これで、予防効果を高めて、医療費を安くしようとしているんです。だから、日本も早く作ったほうがいい。でも、さっき言った理由などでなかなか進まないようですよ。

その1はこちら

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Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保

上村直実(Naomi Uemura)
国立研究開発法人国立国際医療研究センター理事、国府台病院長(当時)。1951年生まれ。広島大学医学部卒業後、広島大学病院、呉共済病院などを経て、国立国際医療研究センター理事・国府台病院長に。ヘリコバクター・ピロリ菌と胃がんの発症リスクとの関係を突き止めた臨床研究で知られる。日本ヘリコバクター学会副理事長、日本消化器病学会理事、日本消化器内視鏡学会理事、早稲田大学客員教授、北海道大学大学院客員教授。