堀江貴文と東北大学大学院歯学研究科教授・菅野太郎氏
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【堀江貴文×菅野太郎東北大学大学院歯学研究科教授】アプリ「ペリミル」がもたらす歯周病治療の進化

堀江貴文氏が歯周病治療器『ブルーラジカル』の開発者・菅野太郎氏に話を聞いた。自分では進行具合が把握しづらい歯周病。菅野氏が開発したアプリ『ペリミル』は、患者自身が簡単に自分の歯の状態を理解できるようサポートする。歯周病進行の視覚化と予防行動の促進について深掘りする。

誰でもわかる「ペリオチャート」の視覚化

堀江貴文氏
©ZEROICHI

堀江 『ブルーラジカル』と連動して、歯の状態や治療の内容を確認するアプリが『ペリミル』なんですね。

菅野 そうです。『ブルーラジカル』の治験(薬や治療の効果を調べる臨床研究)では、治療後に12週間ほど患者さんに歯をしっかりと磨いてもらうことで再発を防止しました。歯周病になる人は歯をきちんと磨けていないことが最大の理由です。
ですから、「歯をきちんと磨く習慣をつける」ことが大事です。歯がきちんと磨けないと再発する可能性があります。そこで、歯科衛生士さんと一緒にこのアプリを使って12週間きちんとしっかり歯の状態を確認するんです。

堀江 このアプリを使うと何がわかるんですか?

菅野 ペリオチャートといって、歯周病がどれくらい進行しているかを示す表がありますが、一般の人が見てもよくわからないんですよ。

堀江 (ペリオチャートを見る)ああ、これですね。(『ペリミル』の画面を見て)この赤い印はなんですか?

菅野 赤はポケットが6mm以上の歯周病の歯です。

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堀江 ポンティックというのは?

菅野 ダミーの歯です。ブリッジを使用している真ん中の歯です。そういったことを一般の人にもわかるように再現しているのが『ペリミル』です。
歯科衛生士さんがペリオチャートの写真を撮ると、一歯ごとのリスクや全体の炎症状態などがわかりやすくイラスト化されて、すぐに患者さんのスマートフォンに送れるようになっています。これで治療中の歯の状態や歯磨きがしっかりできているかがわかります。

堀江 すごいですね。

菅野 例えば血圧の場合、堀江さんが「160mmHgあるんですよ」というと、私が「それは高いですね。大丈夫ですか」なんていう話ができるじゃないですか。でも、歯周病の場合はそれができなかった。でも、この『ペリミル』を使うと「私はこれくらい歯周病の歯がある」「私はこれくらい」という話ができるようになる。歯周病患者の中で自分がどれくらいの位置にいるかがわかるんです。すると、治療に対するモチベーションも上がってくるし、予防行動にもつながります。

アプリで進行を防ぎ、治療のモチベーションと予防行動を向上

東北大学大学院歯学研究科教授・菅野太郎氏
©ZEROICHI

堀江 歯周病を“見える化”したということですね。

菅野 そうです。

堀江 でも、このアプリは重度の歯周病の人が対象ですよね。

菅野 はい。歯周病は歯と歯茎の境目に細菌が堆積して発生するため、歯についた細菌などを歯磨きやスケーラーで取り除くというのが基本の治療法です。
しかし、細菌が堆積するのにも理由があって、それは“歯に興味がなくなる”からです。それがもともとの原因ですから、歯周病になって一生懸命に治療しても歯に興味がなければまた歯周病になってしまいます。
そこで、歯に興味を持ってもらうために『ペリミル』などで常に歯や口の中を意識してもらいたいんです。これは歯周病患者さんに限ったことではなく、虫歯の方も、虫歯になっていない方も同じです。予防のために口の中に興味を持ってもらいたいんです。

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その3に続く

Text:村上隆保

菅野太郎(Taro Kanno)東北大学大学院歯学研究科教授
1967年生まれ。宮城県出身。東北大学歯学部・同大学院を卒業後、スウェーデンのイエテボリ大学客員研究員などを経て現職に。約17年かけて歯周病治療器『ブルーラジカル P-01』を開発。2024年より販売を開始した。