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アルツハイマーの切り札に!【「サンバイオ」森敬太社長が語る 再生細胞医薬品開発の現状 その2】

堀江貴文氏は7月30日、サンバイオ株式会社の森敬太社長を取材。再生細胞医薬品の開発などについて話を聞いた。アルツハイマー病やパーキンソン病の切り札になり得る技術とは…?(初回配信:2019年7月30日)

歩けなかった人が歩ける、話せなかった人が話せる

 ご存知かもしれませんが、再生医療って2つの方法があるんですよ。ひとつは、入れた細胞が神経になったり心臓になったりする「細胞置換型」。もうひとつが、投与した細胞が分泌するタンパク質などの栄養因子が患者さん自身の細胞に働きかけて再生能力を引き出して、細胞の修復を促す「栄養因子型」。僕らがやっているのは栄養因子型です。

堀江 血管はどうやって再生するんですか?

森 血管は、VEGF(vascular endothelial growth factor/血管内皮細胞再生因子)などの血管を再生するタンパク質を入れます。

堀江 それを入れると、血管になる細胞ができるわけですか?

 できます。

堀江 それって、人でやっているんですか?

 人でやっています。人の脳に再生細胞を入れる臨床試験では、たぶん世界で一番多くの患者さんを対象にした治験を実施していると思います。

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堀江 症例数は、どれくらいですか?

 200以上はやっています。

堀江 それは、脳梗塞とか脳損傷とか、脳にダメージを受けている人でやっているということですか?

 はい。

堀江 具体的に脳の機能が回復した例もあるんですか?

 あります。主に運動機能の改善ですが、例えば何年間も車椅子に乗ったままで歩けなかった患者さんが、2年ぶりに立ち上がって歩いたり、杖をつかないと歩けなかった方が、杖なしでも歩けるようになったり。また、長い間「あー」「うー」としか言えなかった方が日常会話ができるようになったり。そういった例は多数あります。

堀江 へー。

森 200症例の中で、まだ解析途中のものもあるので、これからもっと出てくると思います。

堀江 それって、例えば脳の体積の30%が機能しなくなっているとしたら、その30%を全部回復させることはできるんですか?

 可能性はあると思います。

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堀江 そうなんですか。その薬は、脳の機能していない、壊れている部分に入れるんですか?

 基本的には、脳梗塞などで細胞が壊死してカサカサの繊維質になっている部分の周りに直接、薬を注射します。すると、その周りはまだ繊維質と通常の中間くらいなので再生しやすいんです。

堀江 脳梗塞ではなく、アルツハイマーやパーキンソン病とかはどうなんですか?

 今、取り組んでいます。認知症のモデル動物で実験していて、どれくらい効果があるのかを見極めています。

堀江 脳のどんな部位も再生可能なんですか?

 僕たちはいけると思っています。これまで外傷性脳損傷と脳梗塞の患者さんについては、治験で薬品を投与してきています。それからパーキンソン病と脊髄損傷、網膜、加齢黄斑変性病は、動物での効果のデータが取れています。それから認知症は今、取り組んでいるところです。

堀江 すごいな。

その3に続く

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Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保

森 敬太 Keita Mori
サンバイオ株式会社 代表取締役社長 1967年生まれ。東京大学農学部卒、同大学大学院院農学系研究科終了。その後、米カリフォルニア大学バークレイ校でMBA(経営学修士)を取得。1993年に「麒麟麦酒株式会社」に入社。2001年に米国で「SanBio, Inc.」を設立。2013年に日本法人「サンバイオ株式会社」を設立し、2014年に日本法人を親会社化。日米での事業展開を推進する。