堀江貴文氏のYouTubeチャンネル『ホリエモンチャンネル』で、Each DreaM株式会社が開発・製造する世界でも厳しい基準を突破した不燃材『次世代FRP』を紹介。人の命を助けるために始まった不燃材開発が宇宙産業も視野に。堀江氏の驚きが止まらない……!?
「不燃FRC」とは?セラミック複合材が拓く新時代の不燃技術
羽柴なつみ(以下、羽柴):みなさんよろしくお願いします。
堀江貴文(以下、堀江):よろしくお願いします。
羽柴:Each DreaM株式会社の代表取締役社長・中野省吾さんに来ていただいております。今日はよろしくお願いします。
羽柴:Each DreaM株式会社では、不燃性材料の開発・製造などを行っており2020年に世界でも難関な国際標準規格ISO1182に合格したんですよね。
中野省吾(以下、中野):はい
羽柴:この基準をクリアしたのがEach DreaM株式会社の『不燃FRC』ということですが、『FRC』とはどのようなものなのでしょうか。
中野:『FRP(繊維強化プラスチック)』を燃えなくしたいと挑戦していたんですが、石油由来のものはどうしても難しいので、それだったら『FRP』と同じ使い勝手ができるセラミックの方に行ったわけです。
堀江:『FRC(繊維強化セラミック)』とは、セラミックの複合材ということですか?
中野:そうです、複合材です。
堀江:プラスチックの複合材が『FRP』で、それがセラミックになっているのが『FRC』。『FRP』と同じようにこの『FRC』は使えて、さらに1500℃の炎でも燃えないということですね。
中野:弊社の『FRC』は、粉にすれば無機質なので環境破壊も起こさないんです。
堀江:環境にも優しい、と。そもそも、なんでこういうことをやり始めたんですか?
中野:僕個人は、さまざまな開発に投資をしてきました。
堀江:どういったことに投資をされてきたんですか。代表的なものはなにかありますか?
中野:この不燃材になりますね。
羽柴:この事業を始めたキッカケはなんですか?
中野:弊社の会長・濵村が、燃えなくする素材の研究開発をベランダでやっていたんです。でも、エビデンスがなければお金出す人間ってなかなかいないんです。夢物語にお金を出すみたいな感じですね。
僕は、ベランダでやっている姿を、その熱心さを見て、この人は本気だなと感じて応援したくなって、お金を出させてもらっただけです。開発投資は元々お金目当てです。こういうものができたらお金がバーンと儲かるからです。
中野:そんな僕に気付かせてくれたのが京都アニの事件(京都アニメーション放火殺人事件)です。家が燃えなくても中の人が守れないと意味がない、なんのための不燃材だ、と。京アニ事件がきっかけで不燃材についてより真剣に取り組むようになりました。
堀江:なるほど。なぜ今までこういうものがなかったんですか? 日本は火災・地震大国じゃないですか。こういったものがあってもおかしくないと思うんですけど、それはなんでなんですか。
中野:僕の考えなので正しいかはわかりませんが、商売や試験のクリアが目的となってしまっているからです。
堀江:要は、耐火基準とか不燃基準とかがISO(国際標準化機構)で策定されていて、その基準が緩い。その基準をクリアしてしまえば素材として売れるから、みんなそれをゴールにしちゃっているということですね。
中野:そうですね。
堀江:実際に役に立つようなものができていなかったということでいいんですかね?
中野:そうですね、命に目を向けてないですよね。
羽柴:本日は燃焼実験の映像を持ってきていただいたので、皆さんで見ていきましょうか。
2000℃の火災から守る断熱性能を検証!命を守る不燃材の実力
中野:木材の模型を5台作り、下に灯油を引いて燃やし、火災を発生させます。
中野:木材の模型と中央に弊社の材料で積層した模型を置き、内部に部屋に見立てた箱を置いてその中に氷を入れます。ふたを閉め、中の氷が溶けていないかを確認する試験になります。
堀江:箱の上に乗っけているのはなんですか。
中野:ただの重石(おもし)です。ふたをするだけで、煙が入ってこないっていうのを見せたいんですね。弊社のは熱が出るとふたがくっついていくので煙を遮断します。
堀江:熱が出るとくっついていくんですね。へえ。
堀江:めっちゃ燃えてますね。で、真ん中にコーティングした模型があるわけですね。
中野:はい。1番炎がきていますね。
中野:これは本当に命を救いたいので、これでもかっていうぐらい灯油をかけています。
堀江:すごいかかっていますね。
羽柴:もう、潰れちゃっていますね。
堀江:同じ木材で『FRC』のものはどのような構造になっているのですか?
中野:塗布するだけでは弱いので、『FRP』と同様に組み込んで板に貼っていきます。ある程度の温度であれば、塗布するだけで大丈夫です。
堀江:結構しつこく燃やしますね。
中野:本当にね、「試験ゴール」にはしたくはないんです。
堀江:防護板みたいなのを持った人がわざわざ近づいていますね。
中野:あれは僕が近づいています。他の人にはケガさせられないので。
羽柴:目の前まで近づいていますよね。
中野:はい。もう近づくだけでも熱いです。
堀江:この塗布したものだけでもこれだけの断熱効果があるということですね。
中野:吹きつけただけのベニヤ板でもこれだけの効果が見込めます。
堀江:これで温度はどれぐらいなんですか?
中野:温度は、推測で約2000℃です。
中野:あの箱が家の中の部屋と思ってくれたらいいです。
堀江:ああ、なるほど。くっついている。
中野:すごい力じゃなきゃ取れません。煙で死ぬのもなくしたいんです、本当に命を救いたいので。
堀江:氷が残っていた。
中野:中の氷も溶けきっていません。
羽柴:へえ。
中野:模型は全て同じ木ですが、中央の模型の断面を見てみると燃えずに残っているんですよ。
堀江:なるほど。きれいに残っていますね。
堀江:すごい素材ですね。
中野:ありがとうございます。
宇宙産業も視野に?放射線の防御や「ヒートシールド」としての可能性
堀江:どういうメカニズムであれだけの不燃機能がついているのですか?
中野:そうですね、複合材ということが大事ですね。
堀江:これまでの不燃性の素材は、どのようなもので作られてきたのですか?
中野:例えば空気で。
堀江:魔法瓶と同じ原理ですよね?真空断熱みたいな。
中野:そうです。耐火性能を重視したので、熱伝導率はあまり意識していないんです。実験で氷を入れて溶けない断熱性と実際の火災現場で必要な断熱性は全く別物なので。
堀江:爆発的な炎の中でも耐えられるのが重要ということですよね。
中野:それが大事ですね。
堀江:工場はどこで作っているんですか。
中野:三重県の熊野です。
堀江:なんで三重県なんですか?
中野:過疎化を止めたいので工場は地方に誘致しています。次は福島県です。
堀江:断熱加工するとしたら、セメントや粉みたいなものをつくるんですか?
中野:そうですセメントで。熊野の工場では『天然石シート』を燃えなくするということを主にやっています。
堀江:『天然石シート』ってなんですか?
中野:ホテルにいくと大理石とか使われていますよね。
堀江:大理石っぽい壁とかありますね。あれが『天然石シート』ですか。
中野:はい。天然石をボンドで貼っています。壁面に貼れるくらい薄いのがあるんですが、それが燃えちゃうので、燃えない『天然石シート』を開発・製造しています。
堀江:それはなんで燃えるんですか?石じゃないんですか?
中野:石の厚さが1mmぐらいなので、裏にある石油素材(プラスチック)にすぐに熱が通ってしまうんです。
堀江:プラスチックに石を塗布している感じですね。従来の『天然石シート』だと燃えてしまうので、燃えないものを作ったということですね。
中野:そうです。
堀江:何層ぐらいあるんですか?
中野:バサルト繊維(玄武岩が原料の無機繊維)3枚ぐらいが基準です。
堀江:なるほど。ロケットに使えるかもと思いました。
ロケットエンジンの燃焼試験をやるとき、炎を上に逃がすような防護板があるんですけど、金属だとベコベコになっちゃう。今、耐火コンクリートでやっているんですが、そういう部分には使えそうですよね。
中野:バサルト繊維が放射能に強いので鉛の代用品として軽量化に使えれば面白いのではないか?ということで、宇宙産業の方にも目をつけているんです。
堀江:放射線の防御は質量なんです。
中野:そうなんですか?鉛が機材を守るんですか。
堀江:鉛は比重が重いんです。要は、単位面積あたりの比重が大きいわけですよ。1立方メートルあたりの密度が1番大きい金属なんです。
堀江:放射線の防御機能自体は、質量に比例して放射線が少なくなっていきます。要はコンパクトにするために鉛が使われているんです。
例えば、レントゲン検査を受けるとき、放射線を防御するために鉛のエプロンをしますよね。防御機能としてはどんな物質を使ってもいいんですが、鉄だと厚い棒板になっちゃうんで現実的じゃない。基本的には質量なんで、比重が大きくコンパクトにできる鉛なんです。
堀江:これはどちらかというと不燃なんですよね?
中野:今は不燃の方が強いですね。
堀江:断熱効果というよりは不燃なんですね。だから、めちゃくちゃ熱い炎とかに強いんですよね。
中野:そうです。
堀江:多分、有人宇宙船が地球にリエントリーするときの『ヒートシールド』が1番近いと思います。僕、似たようなものを見たことがあります。
堀江:例えば、宇宙船が月に行って帰ってくるとき、宇宙カプセルみたいなのがパラシュートを開いて地上に降りてきますよね。地球の大気圏にぶつかったとき、断熱圧縮といってすごい温度になるわけですよ。カプセルの表面が溶けたら終わりなので、保護する物質を『ヒートシールド』といいます。
スペースシャトルだとセラミックのタイルで作られていますし、最近打ち上がっている『スターシップ』っていうスペースX社の宇宙船も耐熱タイルを貼っています。僕がちょっと関わりのあった宇宙カプセルは、『ヒートシールド』が複合材だったんですよ。
中野:何度ぐらいまで耐えられたんですか?
堀江:3000℃以上になってしまいます。
中野:厚さはどれぐらいですか?
堀江:『ヒートシールド』のですか?それはわかんないです。輪切りにした模型は見たことないんで。
中野:それはシートとして貼る感じですか?
堀江:いや、多分レイアップです。同じだと思います。技術者の人がそんな話をしていました。結構似ているなと思いました。宇宙で使えるとしたら『ヒートシールド』といった箇所には使える可能性があるんじゃないですかね。
クラウドファンディングで広がる顧客基盤と市場展開
堀江:どうやって売っていきたいとかありますか?
中野:実は問い合わせは多くいただいているんです。ただ、顧客に納期や値段を決められてやっていくには微弱すぎるので、こちら側がリードしていく顧客づくりをしたいと思っています。
堀江:クラウドファンディングはされているんですか?
中野:これからやろうと思っています。ただ、1番の目的はお金ではなくて、営業スタイルを変えるためにクラウドファンディングを進めています。「有償で自社製品を使ってみませんか?」と宣伝したり、先ほどの映像を見て顧客がどのように差別化してくれるのかというのを狙ったりしたいのです。
堀江:クラウドファンディングはコミュニティマネージャーじゃないですけど、どういう風に自分たちの商品を訴求していったらいいんだってことを考えてくれる担当の人がいます。プロの担当としっかり相談して打ち出し方を考えるのが重要だと思います。
打ち出し方次第では、画期的な素材ということで評価される可能性はあります。クラウドファンディングはいつから始まるんですか?
中野:11月22日(金)からです。
堀江:なるほど、ちょっと期待したいですね。
中野:はい、ありがとうございます。
羽柴:というわけで、中野さんそして堀江さん今日はありがとうございました。
【提供:Each DreaM株式会社】
公式HP:https://www.each-dream.com/
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https://camp-fire.jp/projects/798060/preview?token=6uptbfix&utm_campaign=cp_po_share_c_msg_mypage_projects_show
画像:ホリエモンチャンネル
※この記事は『ホリエモンチャンネル』の内容を読みやすく再編集したものです。
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