インターステラテクノロジズ株式会社(北海道広尾郡大樹町、代表取締役CEO:稲川貴大)は、トヨタ自動車株式会社およびウーブン・バイ・トヨタ株式会社と、モノづくり分野での業務提携に関する合意書を締結した。本提携により、自動車産業が長年培ってきた製造技術や生産体制の知見をロケット開発に応用し、高頻度かつ低コストの宇宙輸送サービスの実現を目指す。
インターステラテクノロジズは、観測ロケットMOMOにより日本の民間企業として初めて宇宙空間到達を果たした実績を有する。同社は現在、小型人工衛星専用ロケット「ZERO」を開発中であり、今回の提携ではトヨタから出向者を受け入れ、初号機の開発から事業化に至るまで幅広い製造分野で支援を受ける。
また、同社はトヨタおよびウーブン・バイ・トヨタが進める実証都市プロジェクト「Toyota Woven City」に、スタートアップ企業として初めてインベンターとして参画する。
自社開発エンジン製造で連携
提携の具体的内容としては、エンジンの心臓部であるターボポンプや燃焼器の製造における共同開発、推進剤タンクの軽量化や製造効率化のための新工法開発、生産体制全般の仕組み構築などが含まれる。ロケット1基に約10万点の部品が必要とされる中、自動車業界のサプライチェーン管理や品質保証の知見を活用し、従来の宇宙開発では困難とされた安定供給体制を構築する。



インターステラテクノロジズは、宇宙輸送能力の不足が世界的な課題となる中、「誰もが宇宙に手が届く未来」を掲げ、国内初のロケット事業と通信衛星事業の垂直統合モデルを構築する意向である。今回の提携は、その実現に向けた重要なステップとなる。
■トヨタ自動車株式会社
https://global.toyota/
■ウーブン・バイ・トヨタ株式会社
https://woven.toyota/jp/
■Toyota Woven City
https://www.woven-city.global/jpn/
■インターステラテクノロジズ株式会社
所在地: 北海道広尾郡大樹町字芽武149番地7
代表者: 代表取締役 CEO 稲川 貴大
事業内容:ロケットの開発・製造・打上げサービス、人工衛星の開発・製造・運用サービス
https://www.istellartech.com/
インターステラテクノロジズは、当媒体ZEROICHI編集長の実業家・堀江貴文が創業時から出資・支援し、ファウンダーとして名を連ねる宇宙スタートアップ。
同社は、「誰もが宇宙に手が届く未来」をビジョンに掲げ、「世界で選ばれる宇宙のインフラをつくる」をミッションとして、国内初のロケット事業と通信衛星事業の垂直統合ビジネスを目指している。2013年に北海道大樹町で事業を開始、観測ロケットMOMOで国内民間企業単独として初めての宇宙空間到達を達成。現在は、小型人工衛星専用の宇宙輸送サービスを提供するロケットZEROを開発している。
ZEROICHI編集注目視点
本件は、宇宙スタートアップと自動車産業の製造ノウハウが初めて大規模に融合する事例であり、「一点モノのロケット」から「量産可能な宇宙インフラ」への構造転換を示す象徴的案件である。
特に注目すべきは、自動車産業の高度な品質管理・サプライチェーン構築技術を、打上げ頻度とコスト構造が厳しい宇宙輸送分野に持ち込み、産業としての持続性を確立しようとしている点である。これは単なる部品供給や資本提携ではなく、「製造思想の移植」に近い。
さらに、スタートアップ企業が「Toyota Woven City」にインベンターとして参画することは、宇宙開発がモビリティや都市開発と直接的に接続し始めた兆しを示す。宇宙産業の裾野が、輸送や通信といったインフラ領域から都市生活・地上経済の高度化へ波及する可能性を示唆しており、今後の宇宙ビジネスの事業設計やパートナー戦略に新たな視座を提供するものである。
※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。