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自動運転は「無人化」では成立しない―電脳交通が構築する、遠隔監視という“人のインフラ”

株式会社電脳交通(徳島県徳島市 代表取締役社長CEO 近藤 洋祐)は、2026年1月、タクシー分野における自動運転の社会実装を見据え、「自動運転 遠隔監視センター」を新設した。
本取り組みは、自動運転技術そのものの開発ではなく、自動運転を“地域の交通サービスとして運用するための体制”をどう構築するかに焦点を当てた点に特徴がある。

地域交通の現実から始まる自動運転という問い

人口減少と高齢化が進む中、地方部を中心に移動手段の確保は全国的な課題となっている。タクシーは地域住民の生活を支える重要な交通インフラである一方、慢性的な人材不足に直面しており、従来の運行体制を維持すること自体が難しくなりつつある。

こうした背景のもと、自動運転タクシーは「人材不足を補完する手段」として期待されてきた。しかし現実には、技術が進展しても、すべての利用者がデジタル前提のサービスを円滑に使えるわけではなく、緊急時や想定外の事象への対応など、AIやシステムだけでは完結しない場面が数多く残されている。

電脳交通が見据える「人と技術の分業」

電脳交通は、自動運転タクシーを有人タクシーと対立する存在ではなく、相互に補完し合う交通手段として捉えている。その思想を具体化する拠点が、「自動運転 遠隔監視センター」である。

同センターは、電脳交通が長年運営してきた交通業界特化型コミュニケーションセンターの機能拡張として位置づけられている。有人タクシーの配車オペレーションや、緊急時対応、電話対応などを通じて蓄積してきたノウハウを、自動運転タクシーの運行支援に転用する構造である。

遠隔監視センターが担う役割

「自動運転 遠隔監視センター」が目指すのは、単なる車両のモニタリングではない。
運行状況の常時把握に加え、異常発生時や判断を要する場面において、人が介在し、関係者と連携しながら運行を支援する拠点である。

具体的には、

  • 車両の安全な走行状況を継続的に把握する監視機能
  • トラブル発生時に遠隔から車両停止や動作補助を行う制御支援
  • 乗客への案内やトラブル時のサポートなどのユーザー対応

といった役割を担う。これは「完全自動化」を前提とするのではなく、段階的に自動運転を社会に定着させるための現実的な運用設計と言える。

実証から実装へ向けた位置付け

本センターは、徳島県、日本電気株式会社(NEC)、電脳交通の三者による自動運転タクシー実証運行にも参画する予定である。この実証は、単なる技術検証にとどまらず、有人タクシーと自動運転タクシーが混在する環境下での運用や、遠隔監視・運行支援を含む実務オペレーションの有効性を検証する点に意義がある。

電脳交通は、現在主流となっているLv2相当の運転支援だけでなく、将来的なLv4運行を見据え、段階的に対応範囲を拡張していく方針を示している。ただし、それは技術の飛躍を前提としたものではなく、運用体制を積み重ねていくアプローチである。

「総合交通コミュニケーションセンター」という構想

電脳交通が描く将来像は、自動運転タクシー単体の支援にとどまらない。
有人タクシー、自動運転タクシー、将来的にはライドシェアを含む多様なモビリティを一体的に運用し、地域の交通ニーズに応じて最適な車両手配から運行支援までを担う「総合交通コミュニケーションセンター」である。

すでに同社のコミュニケーションセンターは、全国40都道府県、約150社のタクシー事業者の配車業務を受託し、月間20万件に及ぶ着信対応を行っている。この基盤があるからこそ、新たなモビリティが加わっても、既存の運行現場と断絶せずに接続できる。

会社概要

企業名 :株式会社電脳交通
所在地 :徳島県徳島市寺島本町西1丁目5番 アミコ東館6階
設 立 :2015年12月
代表者 :代表取締役社長 近藤 洋祐
従業員 :201名 (2025年3月末時点)
資本金 :1億円(2025年4月末時点)
URL  : https://cybertransporters.com/

ZEROICHI編集部の注目点

編集部が本件に注目した理由は、「自動運転」という言葉の新しさではない。
重要なのは、自動運転を技術革新としてではなく、交通インフラの運用課題として捉えている点である。

電脳交通の取り組みは、完全自動化を前提にせず、人による判断とデジタル技術を組み合わせることで、地域交通を現実的に持続させようとする試みである。これは、自動運転が社会に受け入れられるための条件を、運用の側から提示している。

派手な未来像ではなく、既存のタクシー運行の延長線上で、自動運転をどう根付かせるか。その問いに対する一つの具体解として、現在地を記録する意義があると判断し、本件を取り上げた。

■原文リリース(参照)

原文リリース発表日付:2026年1月8日
タイトル:電脳交通、未来の地域交通を担う「自動運転 遠隔監視センター」を新設
原文リリースURL:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000160.000053640.html

※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。
誤解や偏りが生じる可能性のある表現については、原文の意味を損なわない範囲で調整しています。