株式会社クラッソーネ(愛知県名古屋市 代表取締役CEO 川口哲平)は、埼玉県東松山市と「東松山市空き家対策の推進に関する協定」を締結した。解体工事DXプラットフォームを軸に、空き家の除却促進および適正管理の強化を図る取り組みである。
空き家問題は、全国的な人口動態の変化や住宅ストックの蓄積を背景に顕在化してきた社会課題である。総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によれば、全国の空き家数は900万戸、空き家率は13.8%とされ、過去最高水準となっている。埼玉県においても、賃貸・売却用住宅等を除いた空き家が増加傾向にある。
東松山市では令和3年度の実態調査において1,024件の空き家が確認されている。平成27年度調査からの増加率は78%とされ、今後も一定の増加が見込まれる状況にある。大半は管理されているものの、老朽化や相続未整理などに起因する管理不全が地域課題化する前段階での対応が求められている。
協定の位置づけと連携の枠組み
今回の協定は、東松山市と同社を含む6団体が同時に締結したものである。相続や売却、管理、解体に至るまでの相談を包括的に受け止める体制を構築し、市民が個別に業者や制度を探す負担を軽減する狙いがある。
同社は、解体工事領域において全国2,300社以上の専門工事会社と施主をマッチングするプラットフォームを運営し、累計利用実績は16万件を超える。これらの実績を背景に、自治体との公民連携を全国187自治体で展開している。今回の締結により、埼玉県内での連携は26自治体となり、県内人口カバー率は48.9%とされる。
協定に基づく主な取り組みとして、同社が運営する「すまいの終活ナビ」の紹介、空き家所有者向けフライヤーの配布、解体等に関する相談への直接対応などが挙げられる。自治体窓口の一次対応と民間の専門知見を接続する構造である。
「すまいの終活ナビ」の機能
「すまいの終活ナビ」は、家じまいや空き家処分を検討する際に必要な情報を取得できるポータルサイトである。土地建物の条件を入力することで、解体費用および解体後の土地売却査定価格の概算額を算出できる機能を持つ。
また、固定資産税シミュレーター機能では、解体後の税額変動や空き家維持コスト、一定条件下での売却収支試算などを確認できる。解体に伴う固定資産税上昇を懸念して放置が続く事例があるなか、長期保有コストとの比較を提示することで判断材料を可視化する設計である。
ここで重要なのは、解体を一律に推奨するのではなく、選択肢の一つとして情報提供する点である。所有者が合理的に判断できる環境を整えることが目的であり、政策的な強制力を伴うものではない。
空き家対策における「除却」の意味
空き家対策は「活用」と「除却」の両輪で語られることが多い。活用可能な物件は流通や再生を通じて価値を生むが、老朽化や立地条件等により活用が困難な場合、解体という選択が現実的となる。
除却は単なる建物撤去ではなく、地域安全や防災、景観維持の観点からも意義を持つ。ただし、解体には費用負担や税制上の影響が伴うため、情報不足が意思決定を遅らせる要因となる。今回の連携は、その情報格差を埋める役割を担う。
自治体DXとしての側面
同社は、IT技術やデータ活用により自治体担当者の住民対応の質向上や業務効率化に寄与するとしている。空き家相談は専門性が高く、個別事情も多様である。民間のデジタルツールを活用することで、標準化と効率化を図る狙いがある。
公民連携において重要なのは、行政の中立性を損なわない設計である。相談者に対し複数の選択肢を提示し、最終判断は所有者が行う構造を維持することが信頼確保につながる。
会社概要
所在:愛知県名古屋市中区栄2丁目11-30 セントラルビル5階
代表者:代表取締役CEO 川口 哲平
設立:2011年4月1日
資本金:1億円
URL:https://www.crassone.co.jp
事業内容:解体工事DXプラットフォーム「クラッソーネ」を運営
ZEROICHI編集部の注目点
ZEROICHI編集部が注目したのは、空き家対策を「解体促進」ではなく「判断支援の高度化」として位置づけている点である。データとシミュレーションを通じ、所有者がコストとリスクを可視化した上で選択できる環境を整えることは、行政単独では難しい。
また、県内人口カバー率48.9%という数値は、単なる拡大実績ではなく、標準モデルが一定の再現性を持つことを示唆する。空き家問題は地域差が大きいが、情報提供と相談連携という枠組みは汎用性がある。
今後の課題は、解体後の土地活用や流通促進との接続である。除却はスタート地点に過ぎない。循環型のまちづくりを掲げる同社のビジョンが、どこまで地域経済と連動するかが次の論点となる。
まとめ
空き家問題は、所有者の事情、税制、地域特性など複雑な要因が絡み合う。解体という選択肢を適切に位置づけ、情報に基づく意思決定を支える仕組みが求められている。
今回の協定は、自治体と民間DXプラットフォームが役割を分担し、空き家対策を構造化する試みである。数値拡大だけでなく、運用の透明性と住民理解が今後の持続性を左右する。
■原文リリース(参照)
原文リリース発表日付:2026年2月17日
タイトル:解体テックのクラッソーネ、埼玉県東松山市と「東松山市空き家対策の推進に関する協定」を締結
原文リリースのURL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000233.000038064.html
※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。
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