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ゴルフの「撮りたい」と「遅らせたくない」を両立する―カート搭載AI自動撮影「Good Shot」が示す、体験の記録インフラ化

株式会社エイチ・アイ・エス(東京都港区 代表取締役社長 矢田素史)は、協栄精工株式会社(栃木県真岡市 代表取締役 篠原淳)、株式会社RoboSapiens(東京都新宿区 代表取締役 長尾俊)と協業し、ゴルフプレー中のショットを完全自動で撮影・編集するサービス「Good Shot」の提供を開始した。ゴルフカートに搭載したカメラがプレーヤーの動きを追従し、ラウンド中のショットを自動で記録する。開始は2026年1月13日より、水戸レイクスカントリークラブでの導入からである。 

本件は「AIカメラがすごい」という話に見えやすい。しかし本質は、ゴルフの上達や思い出づくりに必要な“振り返り”と、現場で忌避されがちな“スロープレー”を、同時に成立させる運用設計にある。撮影のために立ち止まる、手元のスマホを構える、同伴者に頼む――そうした小さな負荷が積み重なるほど、ラウンドは遅れ、集中は途切れ、フォーム確認は後回しになる。Good Shotは、この矛盾を「撮影を完全自動化する」ことでほどこうとしている。

※本稿は、公開情報をもとに編集部で整理したものであり、独自取材によるものではない。

「コースで撮れない」問題が、上達と体験共有を遠ざけてきた

ゴルフ上達には、基本となるスイングの型を身体に入れ、再現性を高めることが重要である。一方で、練習場とコースでは状況が異なり、練習ではできていたスイングが崩れることがある。にもかかわらず、コースで自分のフォームを撮影し、確認しながらラウンドを進めることは簡単ではない。撮影の手間は進行を遅らせるリスクになり、同時にプレーへの集中を妨げる要因にもなる。

この「撮れない」問題は、技術不足ではなく環境要因である。固定カメラでは捉えにくい。同行者に撮影を頼めば気を遣う。自分で撮ろうとすれば手間が増え、プレッシャーが高まる。結果として、上達のための振り返りは“ラウンド後の記憶頼み”になりやすい。Good Shotは、ここを運用で解決しようとする。

Good Shotの仕組みは「撮影」「編集」「提供」の3点セットである

Good Shotの特徴は、撮影だけで終わらない点にある。発表されている構成は大きく3つだ。 

1)撮影の完全自動化

RoboSapiensが開発したカメラと、AIによる自動追従技術を用い、プレーヤーは操作不要でショットを記録できるという。撮影ストレスとスロープレー懸念を減らし、ショットに集中できる状態を狙う。 

2)AIによる自動編集

AIがハイライトを検出し、ダイジェスト動画として自動編集する。映像が残るだけでなく、「見返せる形」に整うことで、上達目的にも共有目的にも使いやすくなる。 

3)ラウンド直後に受け取れる提供体制

ラウンド終了後、約1時間で処理が完了し、クラブハウスで二次元コードを読み取るだけで視聴・ダウンロードできるとしている。体験の熱量が残るうちに共有できる設計だ。 

ここで注目すべきは、撮影技術の高度さよりも「運用として回るか」である。ゴルフ場導入型サービスの成否は、現場の手離れと同伴者体験の阻害度合いに左右される。Good Shotは、操作不要・自動編集・即時提供という一連を束ねることで、利用者側の負担を最小化しようとしている。

旅行会社HISが「スポーツの自動撮影」に踏み込む意味

HISは旅行会社として知られる一方、社員向けの新規事業制度「Start up program」を推進し、採択案件がPoC期間を経て正式リリースに至ったという。
新規事業の文脈で見ると、ここでの狙いは「ゴルフ×映像」を単発の思い出商品にしない点にある。撮影が簡単になれば、上達のための振り返りが日常化し、同時に体験の共有が自然に起きる。共有が起きれば、ゴルフの魅力が可視化され、入口が増える――という循環を描いている。

もちろん、競技人口の動向を一つのサービスで反転させると断言することはできない。だが、「上達」と「共有」の両方を一つの導線で成立させる設計は、ゴルフ体験を“記録前提の体験”へ変える可能性を持つ。スポーツの楽しみ方が映像と結びつく時代において、これは体験設計として合理的である。

協業の役割分担が「現場実装」を現実に寄せている

本件は三社協業である点もポイントだ。ゴルフカートへのカメラ搭載技術(特許)を協栄精工が担い、カメラ・システム開発をRoboSapiensが担当、サービス提供の事業化をHISが推進する構図である。 

現場実装では、技術の発明より「壊れにくく、運用しやすく、トラブル時に回復できる」ことが重要になる。カート搭載という“現場の足回り”に強いプレーヤーが入り、ロボティクス系の開発会社が追従・編集を担い、サービス設計と導入を大手が担う。分業として筋が良い。

ZEROICHI編集部が注目した理由

ZEROICHI編集部が本件に注目した理由は、AI技術の華やかさではなく、ゴルフという既存の体験を「記録と共有が自然に回る形」に再設計している点にある。上達のためのフォーム確認と、同伴者との体験価値は本来両立しづらい。そこで、撮影の手間をゼロに近づけ、編集と提供まで含めて“勝手に整う”状態をつくる。これは、スポーツ体験を支える小さなインフラの提示である。

もう一つは、ゴルフ場にとっても「新しい付加価値」の作り方になり得る点だ。プレー料金の外側に、体験の振り返りと共有価値を足す。若年層の入口づくりを狙うとしても、説教や啓発ではなく、体験が自然に拡散される設計に寄せている。ここに、事業としての現実感がある。

導入は「水戸レイクスカントリークラブ」から始まる

導入ゴルフ場は水戸レイクスカントリークラブで、プレー申し込み時に撮影組み込みプランを選択する形としている。
今後の焦点は、撮影品質や編集の満足度だけでなく、現場オペレーションに負担を増やさずに運用を拡張できるか、そして利用者が「上達」「共有」のどちらで価値を感じるかの比率である。スポーツ×自動撮影は、機材性能だけでなく、体験導線の磨き込みで差がつく。Good Shotは、その導線を最初からパッケージ化している点に特色がある。

公式サイト及び導入ゴルフ場

■Good Shot公式サイト
公式サイト:https://his-goodshot.com/

■Good Shot導入ゴルフ場
水戸レイクスカントリークラブ:https://www.mitolakes.jp/
※ゴルフのプレーお申し込み時に撮影組み込みプランを選択

■原文リリース(参照)
原文リリース発表日付:2026年1月13日
タイトル:ゴルフのショットを手元に残せる「Good Shot」のサービス開始/ゴルフカート搭載型 AIによる自動撮影システム
原文リリースのURL:https://www.his.co.jp/news/20648.html

※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。
誤解や偏りが生じる可能性のある表現については、原文の意味を損なわない範囲で調整しています。