インタビュー中の堀江さんと前島さん2-1@ZEROICHI
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製造現場の効率化を支えるデータ管理

テクノロジーは、家庭から「炊事」の義務を消せるのか。

共働き世帯の増加とともに、急速に市場を広げる「手料理サブスク」サービス。そのフロントランナーである手料理サブスクの「ツクリオ」を運営する株式会社Antwayが運営するキッチンの心臓部へ、実業家の堀江貴文氏が潜入した。

清澄白河のビルの一角に構えられた最新鋭のキッチン。そこには、自社開発のロボットアーム、窒素充填による鮮度保持、そしてエンジニア集団によるアジャイルな生産管理システムなど、従来の「惣菜工場」の常識を覆す光景が広がっていた。

全3回にわたるこの対談では、1,000種類ものメニューを支える自動化への挑戦から、人手不足を解決するフランチャイズ構想、そして「ハレの日」ではなく日常の「ケの日」を支える食の本質までを網羅。代表の前島恵氏と共に、テクノロジーがもたらす「新しい食卓のあり方」を徹底的に深掘りする。

第2回は、製造現場の効率化を極めるソフトウェアの力。AIによる生産可視化や窒素充填技術など、冷蔵(チルド)の限界を超えるためのデータ戦略を紐解きます。

・その1:最新技術を導入したキッチンの裏側と自動化への挑戦

・その3:店舗展開構想と「ケの日」を支える日常食の未来

本部でのデータ管理とパーソナライズへの挑戦

堀江貴文(以下、堀江)こちらはシールを貼っている?

株式会社Antway 代表取締役社長CEO 前島恵(以下、前島)はい。消費期限のシールです。基本的なデータはすべて本部のシステムで管理していまして、現場で勝手にデータをいじることができない仕様にしています。そうすることでミスを防いでいます。また、現在はサービスの「パーソナライズ」にも注力しています。

堀江:はい。

前島:初期のアーリーアダプター向けには一律で同じ11品目を届けていましたが、お客様が広がるにつれニーズが多様化してきました。なので現在は「誰に何を届けるか」を一定最適化しています。

堀江:それはまだ人力で行っているんですか?

前島:そうです。今、ここにもエンジニアが入って開発を進めていまして、サーバーからデータを参照して、バーコードを読み取ると「このお客様にはこれとこれを」とモニターに表示される仕組みを作っています。まずは人力でオペレーションを確立させて、次にソフトウェアとハードを入れるというアジャイルな手法を採っています。

ベルトコンベアをペースメーカーに生産性を維持する

インタビュー中の堀江さんと前島さん2-2@ZEROICHI
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堀江:なるほど。こちらは食材のアセンブリ工程ですね。

前島:集団で作業をすると「リンゲルマン効果」で一人あたりの生産性が落ちがちですけど、ベルトコンベアをペースメーカーにすることで、人数に比例した線形な生産性を維持できるようにしています。

堀江:ベルトコンベア。慣れてきたら速度を上げていく?

前島:はい、そうです。

前島:また、食材の機械化は難易度が高いんです。液状のものであればロボットで扱えますが、不定形の食材は検知も掴むのも難しい。ここの機械化については技術的にはまだ数年はかかると見ています。

堀江:そんなにかかりますか。

前島:正直、現時点ではめちゃくちゃ難しいです。ソフトウェア側は生成AIなどで飛躍的に進化していますけど、フィジカルなハードウェアがまだ追いついていないのが実情です。ハード面が早く追いついてほしいですね。

堀江:でも、なんとなく近いうちに解決しそうな気もしますけどね。

前島:そう思われますか?さほど長くはかからないはずですね。

堀江:ここも機械化の余地は十分にありそうですね。

リアルタイムの生産可視化ツールが人件費の無駄を削る

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前島:また、こちらは地味ですが非常に便利なツールです。ウェブの注文状況と連動して、「本日何を作るべきか」がリアルタイムで表示されます。生産が終わるごとに更新されるので、作りすぎによるロスを防ぐことができます。赤いバーが予定量、青が現在の生産数ですね。

堀江:これがリアルタイムで?

前島:その通りです。これにより、品目ごとの生産性が正確にわかります。「どの品目に何人で何分かかったか」というデータを蓄積することで、次回のシフトを最適化することができます。

窒素充填と急速冷却で菌の繁殖と酸化を防ぐ

インタビュー中の堀江さんと前島さん2-4@ZEROICHI
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前島:こちらは窒素ガスの充填機です。これと「ブラストチラー(急速冷却機)」を組み合わせることで、鮮度を保っています。

堀江:急速冷蔵庫。

前島:はい。加熱調理したものを一気に10度以下まで冷却します。75度以上で1分加熱すれば菌を死滅させることができますが、その後いかに早く10度以下にするかが重要です。これで菌の増殖を抑えて、菌数が少ない状態を保てます。

堀江:なるほど。

前島:その状態で窒素を充填することで、酸化も防ぎます。食品の劣化は主に「酸化」か「腐敗」なので、その両方を防ぐことで、冷蔵でありながら長持ちするんです。

堀江:なるほど。今は冷却中なんですか。これは終わったものですね。

前島:あちらの調理場と繋がっているパススルー構造になっています。

前島:冷却時間のデータなどもすべて管理しています。それから、あちらにある調理機材は非常に高性能なものを入れています。

堀江:海外の厨房で見かけるタイプですね。

前島:ええ、フレンチの高級店などで使われる機材です。普通の惣菜工場だとコストが見合いませんが、当社の場合はD2Cであることにより中間マージンがとられない、自社で生産性を上げて利益率を上げるなどができますので、こうした高品質な機材を入れても十分に採算が合います。

堀江:なるほど、そういう背景があるんですね。

前島:これらの機材はパートの方であっても短期間で習熟できるように設計にこだわっています。例えば、水分が減ってくると自動で火力を弱めて過加熱を防いでくれるので、スキルに依存せずミスが起きにくい仕組みになっています。

その3に続く