WITH

水槽を“置いてもらう”ビジネス【高倉葉太が語る サンゴ飼育&研究の未来とは? その3】

堀江貴文氏7月10日は、株式会社イノカ代表の高倉葉太氏を取材。サンゴの飼育や研究を行う理由や、地球環境の未来について話を聞いた。高倉氏が提唱する、アクアリウムを通じた新しいコミュニケーションのあり方とは…? (初回配信:2019年7月16日)

アクアリウムを通じたコミュニケーションを大事にしたい

堀江 陸上でサンゴの飼育や養殖をするメリットってなんですか?

高倉 メリットとしてまずあげられるのは、沖縄のような環境以外でも、例えば海無し県でも養殖が可能というところです。そして趣味でアクアリウムをやっている人たちの飼育技術を、研究者とマッチアップさせるというのが大きな目的です。あとは、水槽をシェアオフィスやパブリックスペースなどに置いてもらって、入居者同士のコミュニケーションを生んだり、サンゴのことを少しでも多くの人に知ってもらったりすることですね。

堀江 水槽を置いてもらうというのは、どういうビジネスモデルなんですか?

高倉 まず、水槽と飼育機材などを一括で買っていただいて、メンテナンスは我々がやります。お客さんは餌やりとガラス面の掃除ぐらい。やっぱり、生物が生き生きとしている水槽って美しいんですよ。そういう本物のアクアリウムを広めて行きたいと思っています。

堀江 あれ、これ、海ぶどうですよね。

高倉 そうです。海ぶどうを育てて、みんなで食べたりしています(笑)。

堀江 面白い!

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSK_9744-800x534.jpg

高倉 「アクアリウム×食」というのも、これから挑戦して行きたい分野なんです。こういう水槽を置いていると「この魚って食べられるの?」「このウニ食べられるの?」って、よく聞かれるんです。ですから、実際に食べられるものをみんなで育ててみようと……。

堀江 いいですね。

高倉 他にはテーマパークなどに水槽を置いてもらって、「これはあなたのサンゴです」と来場者に所有権を売るということも考えています。近くに同じ種類のサンゴがふたつあると、成長していくうちにひとつの個体になったりするんです。ですから、カップルにそのふたつのサンゴの所有者になってもらうことで、テーマパークや定期的なイベントなどのリピート率を上げるとか。そういうアイデアを出して行きたいと思っています。

堀江 なるほど。

高倉 あとは、ストレートに「水槽で育てたサンゴを沖縄や宮崎の海に返しましょう」という提案ですね。

堀江 これ、ヤドカリですか?

高倉 はい。ヤドカリはこの水槽に150匹くらいいるんですよ。

堀江 そんなにいるんだ。

高倉 サンゴのライバルって、コケなんです。だから、水槽の中にコケを食べたり、駆逐する生物を入れることでサンゴに栄養がいくようにしています。

堀江 なるほどね。

高倉 ヤドカリの他にもいろいろ入っていて、マガキガイは砂の中に潜って砂を掃除してくれます。タカラガイはヤドカリが入れないような岩の裏を掃除する担当。それからコシダカウニは大きめの海藻を食べてくれるんです。

堀江 すごいな。

その4に続く

高倉葉太 Youta Takakura
株式会社イノカ代表 1994年、兵庫県生まれ。2013年、東京大学入学。2016年、モノ作りサービス会社「Makership」の創業メンバーとして参画。COO(最高執行責任者)に就任。2019年東京大学大学院卒業。2019年4月、アクアリウム設置会社「イノカ」設立。