BUSINESS

「介護離職ゼロ」を企業文化に──テンポイント、CareNavis始動――社労士×ケアマネの伴走で「働き続けられる社会」を実装へ

社会保険労務士法人オフィス・テンポイント(本社:静岡県静岡市、代表取締役:梅田貴彦)は、社労士とケアマネジャーが企業と従業員を伴走支援する新サービス「CareNavis(ケアナビス)」を提供開始した。本サービスは、介護発生時に企業と従業員を支える外部専門チームを構築し、介護による離職を防ぐ仕組みを提供するものである。
ZEROICHIでは過去に、同社の「介護離職ゼロ」構想を社会実装するプロジェクトとして紹介しており(関連記事)、今回の発表はその理論が実務へと移行した重要な一歩である。

サービスの概要と狙い

CareNavisは、企業が福利厚生の一環として導入できる「介護支援の仕組み」である。社労士とケアマネジャーが協働し、従業員の介護相談を一元的に受け付け、医療機関・介護施設・職場間の連携を標準化されたフローで実施する。相談から有事対応(入退院・施設調整など)、就労調整、情報提供、管理職研修までを網羅することで、従業員の不安を早期に解消し、離職リスクを低減させる。
また、月刊「介護通信」による啓発や、管理職研修による初動対応教育など、介護発生前の段階から“備える文化”を育む設計となっている。料金体系は月額3,000円〜の法人サブスクリプション型で、企業規模を問わず導入しやすい点も特徴である。

開発の背景

テンポイントは、代表の梅田氏が「ケアマネジャー」と「社会保険労務士」の両経験を持つというユニークなバックグラウンドを持つ企業である。
 介護保険制度の現場を熟知する同社は、「家族が情報のハブにされる構造」を問題視してきた。CareNavisは、その情報負担を外部の専門家に移転し、企業が従業員を支援する“制度としてのハブ”を構築する取り組みである。
梅田氏は、「CareNavisは医療・介護・職場をつなぐ仕組みそのものであり、従業員が辞めなくて済む社会を実装するツールだ」と語る。

サービスURL:
https://carenavis-lp.office-tenpoint.com/

今後の展開

本サービスはまず静岡市で提供を開始し、静岡県全域、東海圏、そして首都圏への段階的拡大を予定している。今後は、

  • パートナーケアマネ/社労士ネットワークを基盤にした全国展開モデルの構築
  • 相談受付からケース管理、社内報告までを一元化するクラウド基盤の提供を進め、「介護離職ゼロ」を地域標準とすることを目指す。

3年で東海圏、5年で全国主要都市への展開を見据え、企業の採用力・定着力を支える新たなインフラを形成していく計画である。

ZEROICHI編集部の視点

編集部が注目するのは、「労務と福祉を制度設計で接続した点」である。
多くの企業が“介護離職ゼロ”を掲げても、実務設計まで踏み込めていない現状において、CareNavisは具体的な「運用モデル」としてその空白を埋める。
さらに、社労士とケアマネという異分野専門職を組み合わせた仕組みは、従業員の心理的安全性を守りながら経営効率を高める実践的アプローチであり、静岡発の地域モデルが全国標準へ拡張する可能性を持つ。
過去記事で描かれた「介護離職ゼロの哲学」が、いま“制度”として社会に立ち上がり始めた――その転換点として、本件は「働き続けられる社会」を実装するプロジェクトの核心である。

※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。