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介護サービスの「見えない供給」をどう読むか──データが示す地域差と制度の転換点

介護の現場を動かすのは制度ではなく供給量である

株式会社タムラプランニング&オペレーティング(東京都千代田区 代表取締役 田村明孝)は、介護保険居宅サービスの全国データを収録した分析資料を公表した。訪問介護、訪問看護、居宅介護支援、地域密着型サービスなどの事業所動向を整理したものである。

介護制度は報酬や基準で語られがちである。しかし実際のサービス提供体制は、制度の設計よりも供給量の分布に強く影響を受ける。今回のデータは、その実態を数量的に可視化するものである。

訪問介護の地域偏在という問題

訪問介護は在宅生活を支える基盤サービスであるが、地域によって提供可能性に差がある。事業所数が少ない自治体が一定割合存在し、特に地方部では減少傾向が見られる。

移動時間の長さ、人材確保の困難、人口減少などが重なり、事業継続の難度が高まっている。一方、大都市圏では事業所が増加する地域もあり、同じ制度のもとでも供給構造は一様ではない。

この状況は、制度上の「利用可能」と実態の「提供可能」の差を示している。

居宅介護支援の規模拡大

居宅介護支援では、事業所の統合やICT活用の進展により、管理件数が増加している。ケアマネジャー一人あたりの担当数は増えているが、上限には達していない。

これは効率化の進行を示す一方、業務密度の変化を意味する。制度改定は人員配置の緩和を伴い、結果として事業規模の拡大が進んでいる。

ケアの質を議論する前提として、まず運営単位の変化が起きている点が読み取れる。

訪問看護の増加と規制強化

訪問看護は増加傾向にある。医療の在宅化政策と高齢化により需要が拡大しているためである。しかし、報酬請求の適正性に関する議論も生じ、指導体制の強化が進められている。

供給の拡大と監督の強化が同時に進む構図は、在宅医療領域の転換期を示している。単にサービスが増えるだけではなく、管理の枠組みも再設計されている。

地域密着型サービスの限界

地域密着型サービスでは、規模拡大が難しい構造がある。利用者の居住制限や定員制約により効率化が困難であるため、採算性の検討が厳しくなる。

一部サービスでは減少が見られ、新規参入の意欲も低下している。制度理念としての地域包括ケアと、事業としての成立条件の間に乖離が存在することが示唆される。

会社概要

会社名:株式会社 タムラプランニング&オペレーティング
所在地:〒101-0054 東京都千代田区神田錦町 1-13 大手町宝栄ビル 601
代表者:代表取締役 田村 明孝
設 立:1987 年 9 月
U R L :https://www.tamurakikaku.co.jp/

ZEROICHI編集部が注目した理由

ZEROICHI編集部が注目したのは、制度改正の議論ではなく供給構造の変化が示されている点である。

介護政策は需要を前提に設計されるが、現場は供給制約の影響を受ける。事業所数の分布、規模の集中、地域格差といったデータは、制度の実効性を読み解く基礎となる。

本件は、制度論では見えにくい実態を数量から把握できる資料として位置づけられる。

データが示す将来像

訪問系サービスの偏在、支援事業所の大型化、看護の増加、地域密着型の停滞。これらは個別現象ではなく、在宅介護の再編過程として連続している。

介護の将来像は、制度理念だけでなく供給能力によって決まる。データは、その移行過程を示しているといえる。

■原文リリース(参照)
原文リリース発表日付:2026年2月10日
タイトル:介護保険居宅サービスの最新動向
原文リリースのURL:
https://www.tamurakikaku.co.jp/tpo2022/wp-content/uploads/f2aacb4c78f30d370df5afd622c71099.pdf

※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。
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