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トリノ工科大学、東京に「POLITO JAPAN HUB」を新設――イタリア初の日本学術拠点が首都に移転、学術・産業協力を強化

一般社団法人在日イタリア商工会議所は、トリノ工科大学(Politecnico di Torino、略称PoliTo)が東京に新拠点「POLITO JAPAN HUB(ポリト・ジャパンハブ)」を正式開設したことを発表した。開設記念セレモニーは2025年9月29日、ジャンルイジ・ベネデッティ駐日イタリア大使の協力により在日イタリア大使館で行われた。

東京移転の背景と意義

トリノ工科大学は2023年に京都で初の事務所を開設していたが、2年間の活動を経て東京に拠点を移すことで、日本全国の大学・研究機関・企業との連携をさらに強化する狙いである。日本はアジア太平洋地域における重要な経済拠点であり、同大学はこれまでに20以上の日本の大学と協力関係を築き、過去5年間で50名を超える研究者・教員が共同研究に参画してきた実績を持つ。

学長ステファノ・コルニャーティ氏は「新拠点の設立により、航空宇宙、エネルギー、環境持続性、建築・デザインといった主要技術分野において日伊両国企業の共同研究やコンサルティング活動の機会を広げる」と強調した。また、学生がダブル学位を取得する教育プログラムの場としても活用される見込みである。

大阪・関西万博との連動

今回の東京拠点開設は、大阪・関西万博2025イタリア館での関連イベントとも連動している。トリノ工科大学は、航空宇宙分野や持続可能なモビリティをテーマにした展示・セミナーを開催し、イタリアと日本の研究者・企業の対話を促進する。国際化担当副学長アルベルト・サポーラ氏は「東京開設と大阪万博出展を通じ、イタリアと日本の架け橋として教育・研究・イノベーションを推進する」と語った。

トリノ工科大学( Politecnico di Torino、略称PoliTo)について

イタリア第4の都市かつ有数の工業都市であるイタリアのピエモンテ州トリノ市にメインキャンパスを置き、イタリア最古の工科系国立大学である。1859年創立の歴史ある工科大学で、工学分野で世界トップレベルに位置し、多数の学術分野と共同研究を推進しています。

ピエモンテ州の他の4つの都市にもサテライトキャンパスを有する。工学部メインキャンパスに隣接するCittadella Politecnicaには、企業のオフィス・研究施設を収容するビジネスリサーチセンタや、イタリア初のインキュベーション施設「I3P」を備えている。2023年にイタリアの大学で初めて日本拠点「トリノ工科大学POLITO JAPAN HUB(ポリト・ジャパンハブ)」を京都に開設し、建築・景観・文化遺産などの学術的な研究を進め、日本企業とのパートナーシップ構築を目指している。

2025年9月29日、東京に移転。

ZEROICHI編集視点:注目点と取り上げ理由

  • 「学術×産業協力」の結節点
     工科系大学が企業・研究機関・行政を巻き込み、新しい産業連携の枠組みを都市に実装する試みは、従来の学術拠点設立を超えた社会的意義を持つ。
  • 国際イベントとの連動設計
     万博を契機とした文化・技術交流と拠点開設を同時展開することで、日伊協力を単なる学術協力にとどめず、グローバルな都市戦略に結びつけている。
  • 未来都市の共創モデル
     航空宇宙・モビリティ・環境といった未来社会の基盤技術を対象にしており、国際的な技術潮流の中で日本が果たす役割を再定義する重要な事例である。

トリノ工科大学の東京進出は、研究・教育の国際化を超えた「未来都市共創の拠点」として注視すべき動きである。


※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。