株式会社PIGNUS(東京都港区 代表者 水戸将平)は、国内外の「実行型営業AIエージェント」を整理したカオスマップ(2026年版)を公開した。営業AIと呼ばれる製品群が急増するなかで、単なる「支援」ではなく、ターゲット抽出からアプローチ、返信対応、日程調整までを一定範囲で自律的に進める“実行型”に焦点を絞り、営業プロセス×製品の出自の2軸で俯瞰できるようにしたものだ。
ここ数年、生成AIの普及により「営業の自動化」は急速に現実味を帯びた。一方で、ベンダー側の「AIエージェント」表現は過熱しやすく、導入検討者にとっては“何ができるのか”よりも“何を任せてよいのか”が見えにくい。今回のカオスマップは、その混沌を「実行範囲」と「市場適合性」という現場の判断軸へ引き戻す試みとして読める。
「支援型」と「実行型」の境界線
営業支援ツールは従来から存在してきた。メール文の添削、顧客情報の収集、CRM入力の補助など、人が主導するワークフローの一部を効率化する製品である。しかし、実行型が志向するのは“機能の追加”ではなく、“役割の代替”に近い。
同社は「実行型」を、SDR/BDRといった役割の成果(商談獲得など)に責任を持ち、AIが計画・実行・修正を繰り返すものとして整理している。
ここで重要なのは、AIが“何をするか”だけではなく、“失敗したときにどう振る舞うか”である。たとえば返信が来ない、宛先が違う、送った内容が意図とずれた、といった現実の営業に必ず起こる揺らぎに対し、AIが次手を打てる設計なのか、あるいは人が都度ハンドリングする前提なのかで、運用負荷とリスクは大きく変わる。
カオスマップの軸が示す「市場構造」
今回の整理は、横軸を営業プロセス(Outbound/Inbound/Ops & Admin/Closing・Vertical)に置き、縦軸を製品の出自と日本市場適合性に置く。
この設計が効いているのは、製品比較を「機能」ではなく「適用される営業の場面」に引き寄せるからである。
- Outbound(新規開拓):リスト作成から送信、返信の一次対応、日程調整までの連鎖が主戦場
- Inbound(反響・Web接客):来訪者対応、チャット、リード育成など“来た客を逃さない”領域
- Ops & Admin(事務・管理・CS):受発注、請求、CRM整備、サポートなど社内外の運用面
- Closing / Vertical(商談・業界特化):商談・デモの自動化、業界固有プロセスの自律実行という新興領域
営業の価値は、どの工程がボトルネックになるかで決まる。だからこそ、全社で一つのAIを入れるより、詰まりやすい工程に適合した“実行範囲”を見極めるほうが、導入の成否を左右しやすい。
日本と海外の「偏り」は何を意味するか
同社の整理では、海外のOutbound領域が特に厚く、日本のOutboundの“完全自律型”が相対的に少ない構図が示される。
この差異は「日本が遅れている」と単純化するより、営業の前提条件が異なると捉えたほうが実務的である。
同社は、海外ではターゲティング基盤としてLinkedInが機能しやすい一方、日本では決裁者情報が分散しており“宛先違い”や“失礼”のリスクが高いこと、さらに商習慣と言語の機微が自律化の障壁になりやすいことを指摘する。
この指摘が示唆するのは、AIの能力差というより「データ基盤」と「運用許容度」の差である。自律実行は、モデル性能だけで成立しない。誰に、どのチャネルで、どの文体で、どの頻度で当てるかという“運用設計”が不可欠であり、その設計は市場の文化と制度に依存する。
「ローカライズ」を“日本語対応”で終わらせない
同社が提示するローカライズ定義(3S:Structure/Source/Style)は、現場にとって示唆が大きい。
日本語で読める・書けるだけでは、日本企業の営業実務に耐えない場面が多い。たとえば請求・支払い、サポート体制、セキュリティ要件、国内データベース連携、そして敬語の運用や稟議プロセスに沿ったワークフローなど、導入後に効いてくる論点は多層的である。
ここを曖昧にしたまま“最先端”だけで導入すると、AIが送る1通のメールがブランド毀損につながるリスクや、運用が人手依存に逆戻りするリスクを抱える。実行型は「導入したら勝手に回る」ではなく、「回るように設計して初めて価値が出る」領域である。
2026年の注目は「Closing / Vertical」にあるのか
同社は、Closing / Vertical領域が製品数は少ないが成長余地が大きいと位置づける。
商談やデモは、営業のなかでも付加価値が高く、企業ごとの文脈依存が強い。ここをAIが担うには、対話品質だけでなく、提案の一貫性、コンプライアンス、情報の正確性、そして失敗時のエスカレーション設計が求められる。参入障壁が高いからこそ、プロダクトが成立した際のインパクトも大きい。
一方で、この領域は誤作動が表面化しやすい。導入企業側は「どこまでをAIに任せ、どこを人が握るか」を明文化し、顧客体験と法務・セキュリティを同時に守る必要がある。未来の標準になり得る領域であると同時に、運用成熟が問われる領域でもある。
会社概要
企業名:株式会社PIGNUS
所在地:〒106-0032 東京都港区六本木1-4-5 アークヒルズサウスタワー4階
代表者:水戸 将平
設立:2017年1月5日
HP:https://www.pignus.co.jp/
ZEROICHI編集部が注目した理由
ZEROICHI編集部が本件に注目したのは、「営業AIエージェント」という言葉の熱量が先行する市場に対し、実務の判断軸を提示している点にある。製品名の羅列や流行語の紹介ではなく、営業プロセスと市場適合性で整理することで、導入検討を“幻想”から“設計”へ引き戻す。
また、日本市場におけるAI導入は「翻訳できるか」ではなく「運用できるか」に帰着しやすい。3Sのような基準を持ち込むことは、導入後の失敗確率を下げるうえで実務的な価値がある。AI時代の営業は、ツール選定そのものが競争力に直結する。その意味で本件は、現場にとって“地図”として機能し得る。
■原文リリース(参照)
原文リリース発表日付:2026年2月17日
タイトル:【2026年最新版】実行型営業AIエージェント カオスマップ|国内外100超から35製品を厳選
原文リリースのURL:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000035247.html
※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。
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