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2050年までに最大90%のサンゴが消失!?東大初ベンチャーが取り組む「サンゴの産卵研究」とは

東大発サンゴベンチャー企業の株式会社イノカ(本社 : 東京都港区、代表取締役CEO : ⾼倉葉太)は、人工的にサンゴ礁の海を再現した閉鎖系水槽(東京虎ノ門)でサンゴ(種目:コユビミドリイシ)の抱卵時期のコントロールに国内で初めて成功した。

20年後には、70%~90%ものサンゴ礁が消滅する

写真:株式会社イノカ

日本国内では沖縄県をはじめとしたリゾート地などで見ることができるサンゴ礁。その経済価値はおよそ93兆円とも言われており、護岸や漁場の提供、医薬品の発見、建築材料や生活道具の材料などといった重要な役割を果たしている。そんなサンゴ礁は、幅広い分野で我々の生活を支えている非常に大事な存在と言えるだろう。

また、サンゴ礁は生物多様性の面でも重要な存在で、地球上の海の表面積の中で0.2%に過ぎないサンゴ礁海域の中に、地球上の海洋生物の25%が暮らしている。

そんな地球上に欠かせないサンゴ礁だが、20年後には気候変動の影響によって70%~90%ものサンゴ礁が消滅すると言われている。

そのため、海の生物多様性やその経済価値を守るためにサンゴ礁の保全は最重要課題とされているのだ。

そこで株式会社イノカでは、 サンゴ礁の保全を目指し、サンゴの産卵時期を人工的にコントロールするための技術開発を行っている。

サンゴ礁の再生に貢献する「新しい技術」

写真:株式会社イノカ

すでに株式会社イノカでは、独自技術である環境移送技術により、完全人工環境の中でサンゴの健康的な長期飼育に成功している。なお、完全人工環境とは人工海水を使用し、水温や光、栄養塩等を独自のIoTシステムによって管理している水槽のことを指す。

また、今回の新たに行われた実験でも環境移送技術を活用。さらに、沖縄県瀬底島の水温データをベースに、自然界と時期をずらして水温を同期することで、 見事、サンゴの抱卵時期を人工的にコントロールすることに成功した。

この実験がさらに進み、ハツカネズミやショウジョウバエのように何世代にもわたって研究調査を行うモデル生物としてサンゴを扱えるようになれば、サンゴの研究が大きく進み、サンゴの保全に大きく貢献することになるだろう。

環境問題の一つである水温の上昇から、その減少が懸念されているサンゴ。しかし、テクノロジーを活用することによって、美しいサンゴを取り戻すことも近い将来可能になるのかもしれない。

株式会社イノカ

「人と自然が、100年先も共生できる世界を創る」をミッションとして設立された東大初サンゴベンチャー。IoT・AI技術を活用して生態系を陸上に再現する『環境移送技術』の研究開発、および社会実装に取り組んでいる。