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「アンモニアの常圧合成が農業を救う⁉︎」 【東工大・細野秀雄教授が語る 材料工学の現在と未来 その2】

堀江貴文氏は12月19日、東工大の細野秀雄氏を取材。「材料工学」の現在と未来などについて話を聞いた。(初回配信日:2016年12月19日)

今はスマートフォンが世の中を牽引している

細野 原理はすごく簡単で、普通のガラスはナトリウムが入っているんだけれども、強化ガラスはナトリウムの代わりにカリウムを入れる。カリウムはナトリウムよりサイズが大きいから、体積が変わらないなら圧縮応力がかかる。圧縮応力がかかればガラスが割れにくくなりますよね。

堀江 そうですね。

細野 昔からあった技術でしたから、アップルのスティーブ・ジョブズがiPhoneに使わなかったら、世の中にここまで広まることはなかったでしょう。

堀江 でしょうね。

細野 ちょっと面白い噂話があってね。iPhoneの試作が終わって、製品にしてさあ売り出そうという段階で、スティーブ・ジョブズが「プラスチックではダメだ。ガラスにする」といって、1日で決断して一気にゴリラガラスに変えたんだって。

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堀江 ありそうな話ですね。

細野 スティーブ・ジョブズじゃなかったら、その決断はできなかったと言われていて、実は強化ガラスに変えるために最初に電話したのはヨーロッパのガラスメーカーだったと。でも、その会社には電話が繋がらなくて次にアメリカのコーニング社に連絡したら繋がったので、iPhone用の強化ガラスを作ってくれとお願いした。それでコーニング社の強化ガラス(ゴリラガラス)がiPhoneに使われるようになったらしいです。

堀江 たぶん、MEMS(微小電気機械システム)とか半導体ジャイロセンサー、加速度センサーもそうですよね。

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その3に続く

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Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保

細野秀雄 Hideo Hosono

東京工業大学教授、工学博士。1953年生まれ。埼玉県出身。東京都立大学大学院工学部博士課程終了。名古屋工業大学助教授などを経て、1999年に東京工業大学教授に。現在は東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所教授、元素戦略研究センター長。ノーベル物理学賞の有力候補といわれている。