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「遺伝子操作で人間の脳を持つ動物を作ることは可能」 【東京医科歯科大・田中光一が語る ゲノム編集の最前線 その4】

堀江貴文氏は7月27日、東京医科歯科大学の田中光一氏を取材。「ゲノム編集」の最前線などについて話を聞いた。(初回配信日:2015年7月30日)

中国はすでに人の受精卵で遺伝子改変を行っている

堀江 田中さんは、そうしたゲノム編集の技術を格段に飛躍させたということですが……。

田中 2012年にゲノム編集のCRISPR/Casシステムが発表されました。それ以降、標的遺伝子を破壊したり、標的遺伝子の配列を1塩基置換したり、ゲノム編集は効率よくできるようになりました。しかし、標的部位に別の長い配列のDNAを挿入(ノックイン)することは、効率が悪く、難しかった。そこで我々は、今回、そのノックインの効率を上げる方法を開発しました。

堀江 なにがポイントだったんですか?

田中 ポイントは、ガイドRNAを2分割したこととCas9の蛋白質を用いたことです。細菌のガイドRNAは、2種類のRNAでできていましたが、2012年の論文では、操作を簡略化するため、それをリンカーでつなぎ1種類のRNAとして用いました。しかし、我々は、それを2分割し、細菌が本来持っている形にしました。さらに、Cas9がDNAを切断する時間を短くし、標的以外のDNAを切断しないように、従来使われていたRNAではなく、蛋白質として用いました。2つの改変により、ノックインの効率がグンとあがったんです。

堀江 理由は何なんですか?

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Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保

田中光一(Kohichi Tanaka)

東京医科歯科大学難治疾患研究所・教授、医学博士。1958年生まれ。新潟県出身。新潟大学にて医学博士取得後、1998年東京医科歯科大学教授、1990年東京医科歯科大学大学院教授。