bodyタグ直後
WITH

「ネアンデルタール人の臓器も再現可能」 【横浜市立大学・武部貴則が語る 「再生医療」と「広告医療」の最先端とは? その2】

堀江貴文氏は7月20日、横浜市立大学の武部貴則氏を取材。「再生医療」と「広告医療」の最先端などについて話を聞いた。(初回配信日:2015年7月20日)

血管がない軟骨を再生するにも、血管が必要

武部 こうして作った細胞を動物の中に移植すると、わずか1〜2日で勝手に血管が繋がって血液が入ってきて、最終的に肝臓になる。僕たちが作った細胞は、胎児期で言うと2ヶ月くらいの状態のものですね。

堀江 すごいですね。iPS細胞から作ったシート状の内胚葉、つまり最初の腸管のようなものがありますよね。血管の前駆細胞や間葉系の細胞も、その内胚葉から分化してできるんですか?

武部 いえ、それはできません。受精卵から初期の胎児ができる時には、すでに内胚葉と他のふたつの細胞になるものは分かれていますから。

堀江 じゃあ、別のところから来るんですか?

武部 はい。血管と間葉系は中胚葉から分化するので、それぞれ別々に培養して混ぜています。将来的に神経が必要ということになれば、それは外胚葉から分化するので、それも別に作ることになります。でも、神経が臓器形成に及ぼす影響については、まだまったく研究されていない状況ですね。

堀江 え、されていないんですか?

武部 ええ。これまでの再生医療の研究は、ピュアに組織をどう作るかということが中心で、その他の、いわば脇役の細胞が果たす役割にはほとんど研究が及んでいませんでした。僕はそれにはけっこうアンチだったので(笑)。僕らが血管や間葉系を含む立体培養系を確立して始めて、やっとスタートしたというか……。肝細胞だけ作っても、血管や間を埋める細胞がなければ、立体構造にはならないですからね。

DSC_6273

堀江 確かにそうですね。

武部 以前から研究が行われていた軟骨の再生も、血管に注目していなかったために上手く進んでいなかったんです。

堀江 どういうことですか?

その3に続く

この続きはメルマガで全文ご覧いただけます。登録はコチラ

Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保

武部貴則(Takanori Takebe)
横浜市立大学医学部准教授(当時)。1986年生まれ。神奈川県出身。米スクリプス研究所研究員、米コロンビア大学研修生、横浜市立大学医学部助手を経て、2013年より現職。米スタンフォード大学幹細胞再生医学研究所にて客員准教授を兼務。