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人間が文章を書かない時代が到来する!?【日本語特化AIエンジン・ELYZAがもたらす未来とは その4】

堀江貴文氏は、 株式会社イライザ代表取締役CEO・曽根岡侑也氏から、現段階でのAIの自然言語処理レベルや応用事例、今後の展望について話を聞いた。

日本語特化AIエンジン「ELYZA」の今後の展望とは

堀江 「ELYZA Brain(イライザブレイン)」(国内最大級の日本語特化AIエンジン。以下、 ELYZA )は、コールセンター以外だと、どんなことに使えるんですか。

曽根岡 今、一番お問合せが多いのはメディアさんですね。記事を書いたあとのメタタグ(情報要素)にディスクリプション(説明文)を加えることが多いと思うんですが、その作業をAIが代わりに行ないます。

堀江 それ、超いいですよね。Yahoo!ニュースに出ていた新垣結衣と星野源の結婚発表の記事の要約の見本がここにありますが、「新垣結衣と星野源が19日、所属事務所を通じて結婚することを発表した。新垣は所属するレプロエンタテインメントと新しい契約を結び、活動していく。新型コロナウイルスの感染拡大が1日でも早く終息することを、心よりお祈りした」と書いてある。もう、普通に書いた文章ですよね。

曽根岡 ニュース記事のような誤字脱字の少ないきれいな文章の場合、AIによる要約は大半が成功します。

堀江 これはすごいよな。

曽根岡 あと、もうひとつだけELYZAの特徴的なことをお伝えしますと、実は要約AIは昔からありまして、そのアプローチの多くは“抽出型”と呼ばれるものでした。文章の中の重要そうな部分をピックアップして、ツギハギするんです。しかし、BERTの技術を使った我々のELYZAは“生成型”の要約です。文章の意味をAIが理解して、 イチから文章を作っている。

堀江 イチから文章を作っているんですか。

曽根岡 はい。抽出型だと作られた文章が意味不明になっていることが多いんですよ。

堀江 わかります。抽出型は“なんちゃってAI”ですからね。これ、会議の議事録とかにも使えそうですよね。

曽根岡 議事録のお話はたくさんいただいているんですが、コールセンターの会話の要約よりも難しいんです。理由はふたつありまして、ひとつはコールセンターは基本的にふたりだけの会話なので、誰が話しているかの判断がそれほど難しくない。それに比べて、会議だと複数人なので発言者が誰なのかが間違えやすく、めちゃくちゃな文章になりがちなんです。そして、もうひとつは初めての会議だといいんですが、2回目、3回目の会議になると過去の会議の内容を知っている前提で話が進むので、「この間の話だけど……」と言われてもAIにはさっぱりわからないんです。

堀江 そこが次の課題になっていくんでしょうね。議事録は大事だから、僕も必ず見るんですけど、例えばZoom会議の要約がすぐにSlack(チームコミュニケーションツール)にポンとまとまっていると楽ですよね。

曽根岡 そうですよね。議事録やコールセンターなどの会話も5分話したものを10分とかかけて人間が書き起こしているんです。そういう時間をなくせればと思っています。話した内容がデジタルデータとしてきちんと残っていて、しかも、そこから重要な情報だけがまとめられている。我々は、まず、そんな未来を目指したいと思っています。

堀江 他には何をやる予定なんですか?

曽根岡 それはちょっと、まだ非公開の部分が多いので……。

堀江 まだ、秘密ですか(笑)。わかりました。本日はとても楽しかったです。ありがとうございました。

曽根岡 こちらこそ、ありがとうございました。

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曽根岡侑也

株式会社イライザ代表取締役CEO。1990年、東京都生まれ。2013年に東京大学工学部卒業し、2017年、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。2018年に「株式会社イライザ」を設立。2020年には、株式会社松尾研究所取締役に就任。