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「透析のない街を作りたい!」【 徳島大学・安部秀斉准教授が語る 腎臓病治療の最前線! その4】

堀江貴文氏は3月9日、徳島大学の安部秀斉准教授(現在は同大学を退職)を取材。腎臓病の専門医に最新研究などについて話を聞いた。透析について安部氏に思いとは?(初回配信:2020年3月7日)

ミニ腎臓はできている!

堀江 あと「ミニ腎臓の再生」をやっていると聞きましたが……。

安部 いや、再生ではないんですよ。iPS細胞で一番難しい臓器が腎臓と言われています。それは細胞の種類が多いことと、分化が多段階になっているためです。そこで逆転の発想で、「もう分化した細胞を使っちゃおう」と思ったんです。で、分化した複数の細胞を混合したら糸球体と同じサイズの球になった。

堀江 できたんですね。

安部 そうなんです。それをマウスに移植するとちゃんと血流も出てきた。

堀江 じゃあ、できてるんじゃないですか。

安部 できたんですけど、ひとつの腎臓に100万個ありますから(笑)。

堀江 100万個かあ(笑)。

安部 半分でも50万個移植するのかという話になってしまいます。

堀江 そうですよね。

安部 ですから、今の主な活動としては診断薬作りやミニ腎臓をツールとした創薬。それに、やっぱり予防が大事なので、予防知識の普及活動に力を入れています。一応、「透析のない街をめざす委員会」というのを立ち上げて「サイバー・ホスピタル」というサイトを作ったんですよ。

堀江 へー。

安部 これまでだと、腎臓病対策といっても市民公開講座を年に1、2回やるくらいだったんですが、これからは双方向的なやりとりを継続していきたいと思ってスタートしました。サイバー・ホスピタルではメールマガジンも配信していて、堀江さんのメルマガみたいに質問を受けつけてフィードバックしながら、全体で知識レベルを上げていこうと思っています。

堀江 これは大事なことですよね。透析になると大変ですからね。

安部 地道ですけど、そういうところから広げていかないといけないのかなと思っています。腎臓病以外の治療ができるようになって、長く生きられるようになったけれども、みんな透析になっちゃうと大変ですからね。

堀江 そうですね。予防医療普及協会も何かできることがあればお手伝いしますので、ぜひ、お声がけください。

安部 ぜひ、よろしくお願いいたします。

堀江 本日はありがとうございました。

安部 こちらこそ、ありがとうございました。

その1はこちら

安部秀斉 Hideharu Abe
徳島大学大学院医歯薬学研究部准教授(現在は同大学を退職)。1965年生まれ。京都大学医学部大学院博士課程修了後、京都大学医学部付属病院、静岡県立病院などを経て、徳島大学病院に。徳島大学病院では副科長、外来医長を務める。日本医療研究開発機構創薬booster研究代表者。透析のない街をめざす委員会(サイバー・ホスピタル)代表。