堀江貴文氏は3月7日、理化学研究所の尾坂格氏 (当時) を取材。「発電」の未来などについて話を聞いた。(初回配信日:2016年3月14日)
登山用のテントに塗れば夜間のライトや保温にも使える
堀江 例えば、普通のキャンプで使うくらいのサイズのテント全体に半導体ポリマーの太陽電池を塗ると、どれくらいの電力を発電できるんですか?
尾坂 いろいろな条件があるので、具体的な数字は言えませんけど……。
堀江 昼間に発電した電力を蓄電池に貯めておいて、夜中にLED電球をずっと点けておくくらいのことは?
尾坂 それくらいのことはできると思います。ただ、普通の大企業だとそれじゃあ商売にならないので、本格的な発電に使いたいんじゃないでしょうか。
堀江 僕の友人に栗城史多という登山家がいて、彼はエベレストの単独無酸素登頂を目指しているんです。エベレストの単独無酸素って、めちゃくちゃ過酷らしいんですよ。
尾坂 そうでしょうね。想像できます。
堀江 僕は無酸素登頂って、ただ「息が苦しいんだろうな」くらいにしか思ってなかったんですけど、眠れないらしいんです。
尾坂 それは、いわゆる高山病みたいになって頭痛がひどくて眠れないとか?
堀江 いや、高山病とかではなくて、酸素濃度が薄いから寝るとそのまま帰らぬ人になっちゃう場合もあるらしいんです。
尾坂 え、そうなんですか?
堀江 だから、最終キャンプから登頂するまで不眠不休で行くみたいです。ですから、彼のテントなんかに塗ってあげるといい宣伝になるかもしれない。
尾坂 そうですね。
堀江 登山家のテントに塗ってあげて、ちょっと小さなリチウムバッテリーなんかに蓄電して夜のライトに使うとか、電気毛布みたいな感じで保温に使うとか、あるいは交信するための電力に使うとかありですよね。
尾坂 ありだと思います。
堀江 それから、薄くて軽いわけだから、マイクロマシンとかにも使えるかもしれないですね。
尾坂 マイクロマシン?
堀江 例えば、昆虫擬態をしたマイクロドローンなどの研究がDARPA(米国国防高等研究計画局)などで進んでいますが、それにつける太陽電池は薄くて軽い必要があるわけです。
尾坂 なるほど。
堀江 紙飛行機みたいに滑空するマシンに小さなプロペラみたいなものを付けて、太陽電池で動かせばどこまでも飛んで行けるわけですよね。
尾坂 そうですね。
尾坂格 Itaru Osaka
工学博士、理研上級研究員 (当時) 。1975年生まれ。岡山県出身。2002年、筑波大学大学院工学研究科修了後、富士フイルム研究員、カーネギーメロン大学博士研究員、広島大学大学院工学研究科助教を経て、2013年に理化学研究所創発物性科学研究センター上級研究員に。2014年からは筑波大学客員准教授を務めている。