堀江貴文氏は5月25日、慶應義塾大学の木村雄弘氏を取材。「ヘルスケア・アプリ」の未来などについて話を聞いた。(初回配信日:2016年5月25日)
ホリエモンが臨床研究用データ収集アプリを体験
堀江貴文(以下、堀江) 慶應義塾大学は昨年11月から、iPhoneを使って国内初の大規模な臨床研究を始めましたよね。木村さんはそのデータを収集するためのアプリ「ハート&ブレイン(Heart & Brain)」を開発されたんですよね。
木村雄弘(以下、木村) はい。ハート&ブレインは、脳梗塞と不整脈の早期発見を目的とした臨床研究用のデータ収集アプリなんですよ。
堀江 今、そのアプリを僕のiPhoneにダウンロードしてみますね。
木村 はい、ぜひ試してみてください。
堀江 (ダウンロードして、アプリを起動)まずは同意書からなんだ。
木村 ええ。臨床研究には最初に参加者の同意を得ることが必須ですから、アプリも同様の流れになっています。
堀江 iPhone内の「ヘルスケア」アプリのデータも利用するんですね。
木村 はい。iPhoneやApple Watchに知らないうちに蓄積されているデータを収集します。ただし、アクセスをどのデータに許可するかは利用する方が選べます。
堀江 ヘルスケア・アプリのデータは、ハート&ブレイン・アプリを入れているかぎり、自動的にずっとそちらに送られるんですか?
木村 いいえ。これまでに蓄積されたデータの一部を送っていただいて終了です。本当はその後も経過をみたほうが、より詳しいデータが収集できますが、今回は横断観察研究ということで、一度だけのデータ収集になります。
堀江 なるほど。
木村 そして、その後に不整脈や脳梗塞に関する質問票に回答していただきます。
堀江 質問が続きますね。けっこう面倒くさい(笑)。
木村 質問は全部で21問です。その後、iPhone内のセンサーを利用した運動評価を行います。まずは腕に運動麻痺があるかどうかのチェックです。
堀江 座った状態で腕を伸ばして、片手でiPhoneを持って目を閉じる……これでいいんですか?
木村 はい。最初は右手、次に左手です。
アプリのアナウンス 「準備してください。合図で10秒間、目を閉じます」
堀江 へえ、アプリがやり方をアナウンスするんですね。
アプリ 「3、2、1。目を閉じてください。腕をまっすぐ前に上げてください。……6、7,8、9、10。リラックスしてください」
堀江 これ、ジャイロスコープ使ってますね。
木村 はい。次は顔面の運動麻痺の有無を調べます。アナウンスに従ってiPhoneのカメラに向かって笑ったり、目を閉じたりしてください。
アプリ 「準備してください。カメラが起動します。……3、2、1。カメラに顔を写してください。両目をギュッと閉じてください。……ニッコリ笑ってください。……リラックスしてください」
木村 スマホの顔認識技術で、ちゃんと笑顔になっているか、目がしっかり閉じられているかを調べているんです。最後は小脳の失調の有無を調べるために、手に持ったスマホを「きらきら星」のような感じで、できるだけ早く振ってください。
堀江 小脳の失調があると振れなくなるんですね。
木村 そうなんです。
堀江 これは加速度センサー使ってるんですね。
木村 はい。これで、一応終了です。あとは実際に動悸がする場合は、その動悸の記録をするオプションもあります。
木村雄弘(Takehiro Kimura)
医学博士、慶應義塾大学医学部循環器内科特任助教(当時)。1978年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院勤務