企業に潜む不正の兆候をAIが読み取り、労力をかけずに可視化する──そんなコンプライアンスの新機軸を掲げるスタートアップが、次のフェーズへと歩みを進めている。
株式会社NaLaLys(本社:東京都渋谷区、代表取締役:長谷島良治)は、不正リスク検知AIを搭載したSaaS「NaLaLys(ナラリス)」を展開するコンプライアンステック企業である。このたび、同社はプレシリーズAラウンドにて総額2.5億円の資金調達を実施したと発表した。これにより、累計調達額は3億円に到達している。
引受先には、デライト・ベンチャーズをリードに、DNX VenturesおよびWPower Fund(株式会社MPower)が参画。本調達資金は、プロダクト強化、組織拡充、人材採用などに活用され、同社の掲げる「No.1 Compliance Tech Company」実現への布石となる。
“コンプラ疲れ”の現場に、実装可能なAIソリューションを
2023年にローンチされた「NaLaLys」は、実際の不正事例に基づく教師データと、不正調査の専門ノウハウを組み合わせたAIモデルを搭載。チャットやメールのコミュニケーションデータから、不正の兆候や潜在リスクを自動的に検出する。
制度強化と法規制が進む一方で、「コンプライアンス疲れ」とも呼ばれる過重な対応負担が現場では課題となっている。NaLaLysはこうした課題に対し、「属人的でブラックボックス化しがちなコンプラ実務」をAIによって代替・補完し、職場の健全性を“見える化”する点に特長がある。
すでに複数の上場企業での導入が進んでおり、企業の内部統制強化や風土改善の一助として評価が高まっている。
複雑化する不正リスク市場に挑む、実務起点のSaaS
不正検知・防止市場は2026年までに5.3兆円規模に達するとされており、グローバルでも急拡大している領域だ。だが、技術開発と業務理解の両立が難しく、参入障壁は高い。
同社は、フォレンジック調査に精通したCEO長谷島氏と、世界トップクラスのAI人材であるKaggle Grandmasterを擁する開発体制を武器に、実務に根ざしたプロダクト開発を進めている。これにより、単なる業務効率化ツールにとどまらず、企業全体の“信頼構築インフラ”としての立ち位置を目指す。
コンプライアンスは“守り”にあらず、“攻め”の経営資産へ
引受先の投資家からは「属人的で不透明だった業務に、AIを通じて定量性と再現性をもたらす革新性」や、「従業員の安心とエンゲージメント向上につながる社会的意義」への評価が寄せられた。
セクハラ・パワハラといった事案が企業価値に直接打撃を与える時代において、NaLaLysの提供するプロダクトは“攻め”のリスクマネジメントツールとしても注目を集めている。
企業と従業員を守る、次世代のコンプライアンスインフラを
NaLaLysは、今回の資金調達を起点に、採用・開発・パートナーシップの強化を推進する方針である。公式採用ページでは、セールス・クライアントサクセス・UI/UXなど幅広い職種での人材募集を開始している。
組織の透明性、従業員の安心、そして経営の信頼。これらを横断的に支えるプラットフォームが、本格的に社会実装されようとしている。
株式会社NaLaLys:
https://www.nalalys.com/
※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。