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核融合スタートアップHelical Fusion、「Helix Program」発表とシリーズAで約23億円を調達――2030年代の実用発電に前進

株式会社Helical Fusion(本社:東京都中央区、代表取締役CEO 田口昂哉)は、ヘリカル型核融合炉を用いた商用化プロジェクト「Helix Program」を正式に発表し、シリーズAラウンド(融資含む)で約23億円(約2.3 B円)を調達したと2025年7月11日に公表した。これにより、補助金・融資を含む累計調達額は約52億円に及んでいる。

Helix Programとは

Helix Programは、①定常運転(24時間・365日稼働)、②正味発電(投入エネルギーを上回る発電)、③高い保守性――といった「商用核融合炉の三要件」を満たすことを目的に設計された開発ロードマップである。

段階的には、統合実証装置「Helix HARUKA」およびフルスケール商用炉「Helix KANATA」を順次開発・稼働させる計画となっている。

ヘリカル方式を選ぶ根拠

Helical Fusionが開発するヘリカル型核融合炉の中心部のイメージ

Helical Fusionは、定常運転が実現可能な「ヘリカル方式」を採用している点を特徴とする。
この方式は、岐阜・核融合科学研究所における70年にわたる研究成果を基盤として開発されており、
従来のトカマクやレーザー方式に比べて商用実用化への道筋が明確であるという評価を受けている。

資金調達の概要と活用目的


今回のシリーズAラウンドには、SBIインベストメント、慶應イノベーション・イニシアティブ、KDDIグリーンパートナーズ、ニッセイ・キャピタル、大和ハウスベンチャーズなどが参加。加えて、日本政策金融公庫や商工中金からの融資も含まれる。

調達資金は、Helix Programの開発加速やチーム体制の強化、新たなパートナー企業との協業推進に使用される見通しである。

広がる産業連携

Helical Fusionは、岡野バルブ製造、能代電設、アオキスーパー、大和ハウスグループなど多様な企業と連携を開始。これにより、プラント建設からエネルギーの実用化、地域連携にいたる産業横断的な体制が整えられつつある。

実用発電に期待高まるが慎重な進行が求められる

Business InsiderやITビジネスTodayなど複数メディアによると、Helical Fusion側は「あと2つの主要技術を完成させれば実用炉が見えてくる」と自信を示している。

 一方で、核融合は依然として技術的ハードルの高い開発フェーズにあるため、「2030年代に実用発電を達成する」という目標については、長期的視野のもと慎重に検証する必要がある

※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。