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リニアなど多分野に革新をもたらす!?【“永久電流技術”が誕生した話 その4】

堀江貴文氏は、国立研究開発法人理化学研究所生命機能科学研究センター所属の柳澤吉紀氏と山崎俊夫氏から、“永久電流技術”の詳細や想定する活用事例について話を聞いた。

高温超電導技術の応用には “核融合”もある

堀江 ところで先ほど、高温超電導の応用には核融合もあるとのことでしたが、核融合炉が実用化されない一番の理由はなんですか? 大きな磁場を作れないからですか?

山崎 今、アメリカやヨーロッパでは、レアアース系の高温超電導技術を小型の核融合炉に使おうという計画が進んでいます。

堀江 それには、どれくらいの磁場が必要なんですか?

山崎 彼らが実験しているのは、20テスラくらいの強い磁場です。

堀江 さっきは10テスラくらいでしたっけ? 

柳澤  そうです。私たちもかなり強い範囲の磁場 (10〜30テスラ)に取り組んでいますが、発生させている空間がとても狭い。一方で、核融合に使う場合は大きな空間に強い磁場を発生させなければいけないのですごく難しい。それに、お金もかかる。国際プロジェクトとして進められている核融合実験炉ではたぶん数百億円を超える規模 の予算と数十年くらいかける計画で進めていると思います。核融合の実用化を加速するためにも、高温超電導を使おうとする動きがあるわけです。

堀江 でも、大きな空間に大きな磁場が作れれば、実用化できそうだということですよね。

柳澤  そうですが、超電導はとにかく難しい技術なので、なかなか簡単には進まないと思います。私たちのNMRやリニア、核融合などみんなの技術を共有しながら進んでいくという感じじゃないでしょうか。

堀江 ちなみに、超電導というのは、どういう理屈なんですか?

山崎 私は物理学者ではないので正確には答えられないのですが、電子が電流を輸送しているとき、格子(原子) にぶつかってエネルギー を損失してしまうというのが電気抵抗発生の基本的なメカニズムです。しかし、超電導の場合は、2つの電子が「クーパー対」という対になって進んでいくことで、一方の電子が失ったエネルギー をもう一方の電子が捕まえることができる。すると、2つの電子間でエネルギー を失うことなく運べるわけです。

堀江 クーパー対の理解が難しいんだよなあ(笑)。なんか、きれいにバランスを取りながら進んでいるという感じですかね。

山崎 そうですね。非常に不思議な現象ですよね。

堀江 いやー。でも、今回はすごく面白かったです。ありがとうございました。

柳澤 いえいえ、こちらこそありがとうございました。

山崎 ありがとうございました。

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その1はこちら

柳澤吉紀

国立研究開発法人理化学研究所生命機能科学研究センター・機能性超高磁場マグネット技術研究ユニット・ユニットリーダー

山崎俊夫

国立研究開発法人理化学研究所生命機能科学研究センター・構造NMR技術研究ユニット・ユニットリーダー