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「家族代行」を社会のインフラへ――あかり保証が1.3億円調達、身元保証の健全化と全国展開を加速

弁護士・司法書士・ケアマネジャーら専門職と連携し、高齢者等の終身サポート(身元保証等)を提供する「あかり保証」が、第三者割当増資で約1.3億円を調達した。累計調達額は約2.1億円となり、2025年8月に開設した東京本店を基点に、首都圏を含む全国展開とサービス品質の強化を進める構えである。本稿では、同社が掲げる「業界の健全化」と「地域実装」の要点を、直近の資金調達リリースと、サービスの背景を説明した既発リリースを突き合わせながら読み解く。

調達の狙い――“人が動く”サービスを持続させる

本ラウンドには、かんぽNEXTパートナーズ、池田泉州キャピタル、LaunchPadFund、ミライドア、大阪信用金庫(ファンド経由)、既存投資家のインキュベイトファンドが名を連ねる。夜間連絡や緊急駆けつけなど「人の稼働」が本質価値である本事業は、単純な広告投下では伸びにくい。拠点展開・人材採用・研修・品質管理に資金を投じ、首都圏を含む需要地での供給能力を積み上げるのが第一の狙いである。投資家コメントには「制度形成へのコミット」「地域金融との連携」「社会インフラとしての定着」への期待が明確に読み取れる。

サービスの核心――“家族の代わり”を仕組みにする

同社は、入院・施設入所時の身元保証、医療同意補助、緊急時対応、死後事務など、従来は家族が担ってきた役割を専門職と連携して担う。単身高齢者の増加、入所時の保証人要請が広く存在する現実、そして家族関係の多様化が、サービス需要を押し上げている。既発リリースでは、40~60代の「子世代」による将来備えの相談が増加との記述もあり、「いざというときの人の保険」という位置付けが浸透しつつある。

業界の課題――未整備領域を可視化し、標準を作る

身元保証分野は、利用者保護や事業者の運営水準に関して未整備の点が多く、トラブル相談の増加も指摘されている。同社は国の「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を遵守する方針を明示し、弁護士等による重要事項説明、料金・業務範囲の透明化を打ち出す。さらに、複数事業者とともに全国規模の業界団体「全国高齢者等終身サポート事業者協会(全終協)」を設立し、ガイドラインより厳格な入会規程で会員を認証する枠組みを用意した。設立記念フォーラム(2025年11月26日)を起点に、利用者が“選べる基準”を公示することが、健全化の実務的な第一歩となる。

全国展開――大阪・東京からの面展開と品質担保

大阪本社と東京本店の二極体制により、関西・首都圏での対応網を固めつつ、他地域への拠点開設を段階的に進める。終身サポートは“契約して終わり”ではない。夜間・休日対応、地域の医療・介護ネットワーク接続、行政・金融との実務連携が成果を左右する。拠点の拡充は量の拡大だけでなく、対応標準の均質化、研修体系、記録と監査の運用品質をどう保つかが肝である。資金は、まさにこの「面の品質」を支えるための燃料となる。

会社概要
社名:株式会社あかり保証
所在地:〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満4-3-18MF西天満ビル11階AB号室
代表者:代表取締役 清水勇希
創業:2024年7月8日
事業概要:弁護士、司法書士、ケアマネジャー等の信頼のある専門家集団とともに、国が定めるガイドラインを遵守した身元保証サービス(債務の保証、緊急時の対応、身柄の引き取り等)「あかり保証」の提供

公式サイト: https://www.akarihosho.jp/

補足
・全国高齢者等終身サポート事業者協会設立記念フォーラム
https://www.senior-supportass.com/

ZEROICHI編集部の注目点――“標準化”と“信頼の翻訳”

第一に、標準化の設計である。ガイドライン準拠に独自認証を重ねる二層構造は、未整備領域に秩序をもたらす現実解になりうる。
第二に、信頼の翻訳である。利用者にとって重要なのは“誰が、いつ、どこまで支えるか”の明快さだ。弁護士・司法書士・看護職・ケアマネという専門性を「見える約束」に落とす作業が、社会的信頼の中核になる。
第三に、地域連携の実装である。金融・保険・医療・介護・行政との接続は、個社の努力だけでは到達しにくい。業界団体が“共通の扉”を用意できれば、現場は確実に回りやすくなる。

“人が寄り添うAI前夜”、だからこその人間の基盤

社会はAIで効率化されつつあるが、老い・病・死のフロントは依然として「人の稼働」と「制度の運用」が要となる。あかり保証の資金調達は、未整備領域を制度化へと押し出す試みであり、同社単体の成長以上に、業界全体の底上げに意味がある。身元保証を“家族の善意”から“社会の仕組み”へ――その移行を加速できるかどうかは、標準化と連携設計の完成度に懸かっている。今回の一手は、そのための地ならしである。

■原文リリース(参照)
・2025年11月10日:高齢者等終身サポート「あかり保証」1億3000万円の資金調達を実施https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000156029.html
・2025年6月17日:おひとりさまからの問合せが急増中~家族代行、身元保証サービスとは~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000156029.html

※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。