CrestLab株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:坂東裕太)は、AIアニメ制作支援基盤「ANICRA(アニクラ)」の開発強化に向け、シードラウンドで資金調達を実施した。NTTドコモ社内起業プログラム「docomo STARTUP™」からスピンアウトした同社は、人手不足が深刻化するアニメ制作現場において、新たな制作インフラの構築を目指す。
調達の背景とANICRAの開発経緯
日本のアニメ産業はグローバル市場で存在感を高める一方、国内制作現場はアニメーター不足や過重労働といった構造的課題を抱えている。加えて、海外委託依存による品質管理・納期リスクも顕著である。
CrestLabは2025年、こうした課題解決を目的に動画・仕上工程を中心とするAI支援基盤「ANICRA」の開発を開始した。複数のスタジオとの実証実験では、該当工程の約7割の工数削減を達成し、生産性向上と品質維持の両立を確認している。
出資者と今後の展開
今回のシードラウンドには、East Ventures、NTTドコモ、コルクの3社を含む複数のベンチャーキャピタル・個人投資家が参画した。CrestLabは今後、テレビ放送・配信向け商業作品を中心に導入先を拡大し、業界標準となる制作インフラを目指す構えである。
ANICRAの特徴
- AIによる工程支援:動画・仕上工程の省力化により、クリエイターの負荷を軽減し創作時間を確保
- 現場適合性の高い設計:プロダクション連携を通じ、2値化維持など現場仕様に即した導入支援を実現
- 柔軟な導入・運用サポート:各スタジオの課題に合わせたトライアル・導入提案が可能
ZEROICHI編集視点:注目すべきポイント
1.AI×アニメ制作の本格実装フェーズ
これまで研究段階に留まっていたAI制作支援が、実制作のインフラレベルに昇華しつつある。特に人材不足が顕著な動画・仕上工程に直接作用する点は注目に値する。
2.大手通信会社発スピンアウトの新潮流
NTTドコモ社内起業プログラム発という出自は、通信×コンテンツの融合を示す象徴的事例であり、5G以降の低遅延環境を活かした制作支援の展開も見込まれる。
3.生産性と品質の両立に挑むDXモデル
工数削減とクオリティ維持を同時に達成する実証結果は、制作現場の長年の課題を解決する突破口となり得る。
※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。