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「人と人の間でテレパシーみたいに 一方の人の考えを読み出すことはすぐにできるかも」 【神経科学者・竹田真己が語る「神経回路」研究の最前線 その3】

堀江貴文氏は7月6日、神経科学者の竹田真己氏を取材。「神経回路研究」の最前線などについて話を聞いた。(初回配信日:2015年7月10日)

人間の脳に電極を埋め込んで情報を得る時代はやがてやってくる

堀江 実際の研究は、猿の脳に電極を埋め込むような方法ですか?

竹田 そうですね。実際に電極を埋め込むやり方と、MRIなどを利用するやり方の併用です。電極を埋め込む方法は、非侵襲的(体内への器具の挿入を必要としない方法)なMRIに比べると圧倒的に解像度が高く、得られる情報が全然違います。しかし、残念ながら埋め込んだ部分のことしかわからない。そういう意味で限界がありますね。一方のMRIは解像度は粗いですが、脳全体を一度に計測できるのが最大の利点です。ですから、それぞれを組み合わせていくのが、ひとつのやり方だと思います。

堀江 電極を埋め込むのって、痛いんですか?

竹田 脳には痛覚がないので、痛くはないですよ。ただ、骨を開けるとか、皮膚を切開するという意味では痛みはあると思いますけど、そういうのは適切にコントロールできますから。

堀江 人間の脳に、電極を埋め込めるような時代は来るんですかね?

竹田 来ると思います。電極そのものを埋め込むやり方と、外から脳の情報を読み取るという方法がありますね。

堀江 ゲームなんかでも、頭の中で「右」とか「左」とか念じて実際に動かすくらいのことは、もうできていますよね。

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竹田 そうですね、それは脳からの“出力”ですね。それに対して、脳に電極を埋め込んで、そこに外部から刺激を与えて活動電位を起こさせる研究も進んでいます。こちらは脳への“入力”を行うということです。

堀江 電極を埋め込むことで、何か障害が発生する可能性はあるんですか?

竹田 例えば、感染症などのリスクはゼロではないと思います。ですが、そういったものは経験を蓄積していくうちに、最終的にはほとんど問題なくなるんじゃないでしょうか。

堀江 埋め込みたいんですよね、僕。

竹田 え、どのあたりに、何の目的で埋めたいんですか?(笑)

堀江 例えば、地磁気センサーを脳に埋め込むと方向がわかるようになるとか、脳のコミュニケーションが拡張できるようになるとか……。

竹田 これまで堀江さんがお持ちでなかった、新たな感覚を手に入れたいということですか?

堀江 感覚や知覚を司る部分にセンサーと連動したものを埋め込むと、脳がそれに合わせて感覚を得られるようになるんじゃないですかね。あと、電極を埋め込んでいる他人と、ワイヤレスでコミュニケーションが取れるようになるとか。いうなれば、他人の脳と自分の脳がダイレクトに繋がっている状態ですね。さらにインターネットに繋げば、神経細胞がバーチャルと繋がっているということですよね。

竹田 『攻殻機動隊』の世界みたいですね(笑)。

その4に続く

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Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保

竹田真己(Masaki Takeda)
順天堂大学大学院医学研究科特任講師(当時)、神経科学者。1976年生まれ。静岡県出身。2005年、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了後、東京大学大学院医学系研究科特任講師を経て、現職に。