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倒産危機にあった老舗旅館を ITで立ち直らせた! 【『陣屋』社長・宮﨑富夫が語る 旅館の未来とは? その3】

堀江貴文氏は9月27日、陣屋社長 (当時) の宮﨑富夫 氏を取材。「旅館」の未来などについて話を聞いた。(初回配信日:2016年10月8日)

陣屋は「ショールーム」「研修センター」「研究所」の3つの役割がある

堀江 そうなると、もう“旅館コンサルタント”みたいになっちゃってますね。

宮﨑 そうですね。でも、コンサルということではなくて、やっぱりシステムを使っていただいて、長くお付き合いさせていただくということが一番なので。

堀江 『陣屋』さんは旅館というか、もう陣屋コネクトのひとつのショールームみたいな位置づけですよね。

宮﨑 そうなんです。陣屋には旅館以外に3つの役割があって、1つめは“使っているものを見てもらうショールーム”。2つめは“人を育てる研修センター”。3つめが“新しい機能を開発して、旅館という実際の現場でテストする研究所”です。

堀江 へー、それはすごいなあ。ちなみに、今、日本に旅館ってどれくらいあるんですか?

宮﨑 民宿のような小さいところも入れると、約3万ですね。

堀江 それで、こうした情報管理システムを使っているところは?

宮﨑 3000弱と言われています。まだ、10%はいっていないですね。今後は確実に増えていくと思います。

堀江 陣屋コネクトは、導入コストもそれほど高くないですもんね。

宮﨑 1ユーザー月額3500円からです。旅館さんは、それほどコストをかけられないので。

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堀江 たしかに経営危機に直面している場合は、あまりお金をかけられないですからね。この陣屋コネクトの方は、大きくしていく方向なんですか?

宮﨑 そうですね。会社としての成長は「陣屋コネクト」で広げていこうと思っています。うちが旅館を作っちゃうとどうしても競合になってしまうので、あまり増やしていくつもりはないんです。

堀江 そうでしょうね。

宮﨑 陣屋コネクトを使っていただいた旅館さんが成功して、長く続けていただければ、例えば100年続く旅館になれば100年間ずっと陣屋コネクトも使ってもらえる。そっちの方がいいんじゃないかと私は考えています。

堀江 そうなると、「楽天」とか「じゃらん」とかがライバルになってくるんじゃないですか? 僕が楽天の経営者だったら、陣屋コネクト的なシステムを作っちゃいますけどね。

宮﨑 楽天トラベルさんなどが、今、予約システムを作っていますけど、例えば、「現場でどういうオペレーションが必要なのか」「顧客管理はどこまでするのか」ということまではフォローできないでしょうし、そのノウハウもないでしょう。そのあたりで差別化できるんじゃないですかね。

堀江 なるほどね。

その4に続く

宮﨑富夫 Tomio Miyazaki

神奈川県秦野市・鶴巻温泉『元湯陣屋』4代目社長(当時)。1977年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学部修士課程修了。2002年、本田技術研究所に入所に、次世代燃料電池の開発に携わる。2009年、陣屋の代表取締役社長就任。2012年、陣屋コネクトを設立。映画監督の宮崎駿氏は叔父にあたる