オンライン語学学習プラットフォーム「italki(アイトーキー)」を運営する italki HK Limited は、2025年9月、学習体験を全面的に刷新する大規模アップデートを実施した。今回の改修では、AIアシスタント「Mira」を中心とした学習サポート機能、モチベーション維持を促す進捗トラッキング、個人最適化された講師検索アルゴリズムなど、AIとゲーミフィケーションを融合した新しいユーザー体験が導入されている。
学びを「育てる」――AIとゲーミフィケーションの融合
今回のアップデートの象徴が、学習進捗を視覚的に可視化する「学習フィッシュ」である。ユーザーはレッスン受講や自主学習を進めるたびに、アプリ内の魚が成長していく。進捗データを“育成体験”として捉えることで、学習モチベーションを自然に維持できる仕組みだ。AIがレッスン履歴や達成度を分析し、必要な学習リマインドや復習提案を行う。
さらに、AI学習拡張機能「italki Plus」では、進捗に応じて特典が付与される“ハイブリッド言語学習”が導入され、継続的な利用を促進するインセンティブデザインが採用されている。
AIアシスタント「Mira」――学習パートナーとしてのAI
アップデートのもう一つの柱が、AIパーソナルアシスタント「Mira」である。Miraは学習目標や苦手分野を分析し、学習スケジュールや講師とのレッスン内容を動的に提案する機能を備える。従来の固定的な学習プランではなく、ユーザーの習熟度やモチベーション変化をリアルタイムに把握して最適化する構造となっている。
また、レッスン外の自己学習を支援するため、Miraはチャット形式で会話練習や語彙テストを提供し、AIとの自然対話を通じて“話す力”を磨くことができる。これにより、従来のマンツーマンレッスンに加え、“AIとの共学”という新しい言語学習スタイルが定着しつつある。
講師検索の高度化――150言語・3万人からの最適マッチング
italkiは150以上の言語に対応し、登録講師数は3万人を超える。今回のアップデートでは、学習目的・レベル・発音傾向・指導スタイルなどをもとにAIが自動で最適な講師を推薦するアルゴリズムを導入。これまで利用者の悩みであった「講師選びの時間」と「ミスマッチ」の課題を軽減する。
新しい講師検索UIでは、受講履歴やレビュー、動画紹介の閲覧性も向上しており、「教え方」と「相性」を重視したマッチング精度を実現している。
サービスサイト:https://www.italki.com/ja
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会社概要
会社名:italki HK Limited.
サービス概要:世界150以上の言語、3万人超の講師登録、AI学習機能やコミュニティ型学習を提供
今後の展開:AI機能のさらなる強化や、日本国内のユーザー向けサポート体制の充実など、より良い学習体験を提供するための取り組みを積極的に進めています。
ZEROICHI編集部の注目点・取り上げ理由
1)“AI×UX”のバランス設計が成熟している。
単にAIで自動化するのではなく、学習体験全体を「楽しさ」「継続」「習慣化」という行動設計に落とし込んでいる点が評価できる。特に“学習フィッシュ”のような感情接続型のインターフェースは、教育テックが抱える「続かない問題」への解法の一つとして注目に値する。
2)AIアシスタントを“教師”ではなく“伴走者”として定義している。
「Mira」は解答を与える存在ではなく、ユーザーの行動データに基づき最適な支援を行う“ナビゲーター”として設計されている。これはAI教育領域における人間中心設計の流れと一致しており、“支援の自律性”と“学習者の主体性”の両立を可能にする。
3)既存プラットフォームの再定義としての位置づけ。
これまでitalkiは「講師と学習者をつなぐ場」であったが、今回のアップデートで「AI・講師・学習者が三位一体で学ぶエコシステム」へと変貌した。単なるUI刷新ではなく、教育体験そのものの再構築(Re-design of learning experience)を志向している点が大きい。
4)AIの社会的受容に配慮したトーン設計。
Miraを“共に学ぶ存在”として打ち出し、人格化・エンタメ化をほどよく制御している。AIが学習者を“置き換える”のではなく、“支える”という表現軸を取ることで、AI教育に対する懐疑感を軽減するブランディングが見られる。
総括
本アップデートは、AI技術を表層的な自動化ツールではなく、“学びのエンジン”として埋め込んだ再構築プロジェクトである。
italkiが目指すのは、「続けられる語学学習」のUXデザイン化であり、講師・学習者・AIが協調する新たな教育モデルを提示している。
AIが“個人のモチベーション構造”にまで踏み込むこの試みは、語学教育に限らず、自己成長支援サービス全体の設計思想に影響を与える前兆的アップデートといえる。
※本記事は、原文から一部編集・要約して掲載しています。