日本介護システムが実装し始めた“人生の可能性を再起動するインフラ”
介護を必要とする状態になることは、人生の選択肢が静かに閉じていく過程として受け止められてきた。移動、旅行、挑戦、体験——それらは「安全上の理由」や「現実的でない」という言葉のもとで、本人の意思とは無関係に遠ざけられることが多い。
2025年問題以降、介護は制度や人手不足の問題にとどまらず、「どのように生き続けられるのか」という生き方の問いへと移行している。
そうした状況の中で、日本介護システム株式会社(大阪府大阪市、代表取締役 大友俊雄)は、介護の価値定義そのものを組み替えるような取り組みを静かに進めている。本記事は、同社における寺北大悟氏への取材内容をもとに構成したものである。
なぜ今、日本介護システムなのか
多くの介護事業が「生活維持」や「最低限のケア」を主軸に設計されている一方で、日本介護システムは異なる方向に舵を切り始めている。同社が向き合っているのは、身体的な制約そのものではなく、それを理由に積み重なってきた「諦めの構造」である。
介護=不自由になること、という前提を疑うところから、同社の思考は始まっている。これはサービス拡充ではない。何を提供する会社なのか、という価値定義の転換である。
見え始めた「介護×体験」という新しい軸
取材の中で明確に語られていたのは、介護旅行を中核に据えたサービス連結の構想である。
視覚障害者向けの自動車運転体験、車椅子での旅行企画、オストメイト向けの温泉旅行、海外旅行への展開、足漕ぎ車椅子とリハビリを接続した目的型ツアー。いずれも共通しているのは、「できない」とされてきたことを、設計によって「できる」に変えようとしている点である。
例えば、視覚障害者が自らハンドルを握る自動車運転体験は、常識的には実現不可能とされてきた。しかし、教習所を借り切り、環境・安全・支援体制を再設計することで、その願望は体験として成立する。この発想は娯楽ではない。人間の制約を「禁止」ではなく「設計課題」として捉え直す思想に基づいている。
「諦め」を前提にしない介護という発想
高齢や障害を理由に、旅行や運転、温泉や挑戦を諦めてきた人は少なくない。しかし実際には、環境と支援、そして専門的な設計があれば成立するケースは多い。
日本介護システムが向き合っているのは、身体そのものではなく、「どうせ無理だろう」という社会的・心理的な前提である。
介護とは安全を守る仕事であると同時に、人生の選択肢を回復させる仕事になり得る。そうした視点が、同社の取り組みには一貫して流れている。
なぜ大手にはできず、日本介護システムにはできるのか
介護旅行の分野には、大手旅行会社が参入しづらい構造的な理由がある。小規模で高カスタマイズ、かつ非効率になりがちな案件は、既存の事業モデルと相性が悪いからである。
一方、日本介護システムは、すでに高齢者・要介護者と日常的に接続している。現場知とネットワークを持ち、個別最適を前提とした設計を許容できる。この「規模の小ささ」は弱点ではなく、むしろ参入障壁として機能している。
旅行がもたらす循環型サービス構造
同社のモデルが特徴的なのは、介護旅行を単発の高額商品として捉えていない点である。
訪問理美容(KamiBito)などの日常サービスと、非日常である旅行体験を循環させる構造が描かれている。「旅行に行く人が、訪問サービスを使わないわけがない」という現場感覚は、生活と体験が分断されていないことを示している。
これは高付加価値化ではなく、生活と体験を往復させる持続的なモデルである。
介護は地域産業に再接続できる
介護旅行は、温泉地、観光地、自治体、バス会社、教習所、宿泊施設、飲料メーカーなど、多様な地域資源と接続する可能性を持つ。
介護が医療・福祉の内部に閉じた存在から、観光や地域経済、産業政策と結びつく存在へと移行する余地がここにある。
これは新規事業というより、社会インフラの再配線に近い動きである。
2026年初頭、日本介護システムの現在地
介護旅行の実装はすでに始まっている。人材、ネットワーク、企画力が結節し、まだ大きくは表に出ていないものの、質の異なる動きが水面下で進行している。
これは完成形ではない。しかし、「介護はこう変われる」という具体像が、初めて実装段階に入ったことは確かである。日本介護システムは、介護の会社というより、「人生後半の可能性を再設計する会社」になりつつある。
■ 会社概要
社名 :日本介護システム株式会社
代表者 :代表取締役社長 大友俊雄
所在地 :(関西本社)大阪市中央区本町1-5-7 西村ビル5F
(関東本社) 東京都新宿区新宿3丁目13-5 クリハシビル9F
事業内容:介護保険外サービス・介護旅行やバリアフリー旅行のサービス提供
URL : https://kaigo-travel.jp/
ZEROICHI編集部の注目点・取り上げ理由
本件で編集部が注目したのは、日本介護システムの動きが、社会課題批評でもビジネス礼賛でもなく、「社会の設計変更」に接続し始めている点である。
諦めを前提としない介護という思想が、構想ではなく実装として現れ始めていることに、いま記録する意義があると判断した。
なお、同社は昨年、ZEROICHIとホリエモンチャンネルによる堀江編集長との対談企画にも登場しており、その内容は以下で確認できる。
https://zeroichi.media/pr/32566
■参考リリース(事例参照)
発表日付:2026年1月5日
視覚障害者が“自らハンドルを握る”自動車運転体験ツアーを実施
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000152066.html
※本記事は、日本介護システム株式会社への取材内容をもとに構成している。上記リリースは、記事内で言及している取り組みの具体事例を確認するための参考資料として参照している。記載内容については、取材で得られた情報との整合性を確認した上で、必要に応じて表現を調整している。