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「線虫でがんを検知する」【 理学博士・広津崇亮が語る がん検査の未来とは?その4】

堀江貴文氏は10月10日、理学博士の広津崇亮氏を取材。がん検査の未来について話を聞いた。線虫ががんを見分けられるメカニズムとは?(初回配信日:2017年10月23日)

線虫を使えば、安くて確率の高い検査ができる

堀江 今、フェーズ的にいうと、どういう状況なんですか?

広津 技術的な実用化は、ほぼ終わっていると思います。

堀江 その実用化に至るまでに何がハードルだったんですか?

広津 技術的なハードルはほとんどなくて、症例数を増やして信用を高めるということがひとつと、あと人間がやっているとどうしても時間がかかってしまうので、機械化するために日立製作所と共同開発をしているという状況です。

堀江 それは、どんな機械なんですか?

広津 一番アナログな部分では、今は線虫が何匹寄っていったのかを人間が目で見て数えているんですが、それを写真に撮って自動解析するとか、線虫の入っているシャーレを洗う作業とか。そうすれば、だいたい人間の100倍くらいのスピードで解析できるようになると思います。

堀江 じゃあ、1日に500件くらいはできる?

広津 はい。ひとつの機械が500くらいはできますね。

堀江 がん種はどうですか? どんながんでも検知できるんですか?

広津 今のところ苦手ながんはないように見えています。

堀江 見えている?

広津 すべてのがんを調べていないので。でも、メジャーなものはだいたい反応します。

堀江 例えば、胃がんとかは?

広津 反応します。

堀江 他に大腸がん、乳がん、肺がんとか。

広津 胃がんや大腸がんの臨床研究はほぼ終わっていますが、それでもやっぱり9割なんです。

堀江 9割というのは?

広津 がん患者を見分ける確率です。

堀江 じゃあ、1割は見逃す?

広津 はい。でも、腫瘍マーカーの確率は2割くらいなので。腫瘍マーカーって何十種類もあるんですけれども、総じて確率は2割くらいなんです。それに、値段も腫瘍マーカーを3種類受けるよりも、線虫のほうが安くなります。だいたい、半分くらいです。

堀江 腫瘍マーカーって、化学物質を機械で感知しているんですか?

広津 そうです。腫瘍マーカーももっと高度な機械で検査をすれば、もっと感度が上がるかもしれませんが、そうすると値段が10万円以上になったりします。今は数千円なんですけど、その金額でおさめるためには簡易キットでやらざるを得ない。そうすると感度が下がってしまう。

堀江 なるほど。

広津 機械で検査をするならば、「値段は高くてもいいから感度のいいもの」を使うか「感度は悪いけれども安い」ものかという選択になります。でも、生物の嗅覚を使えば、感度が良くて安い検査ができるようになるのです。

堀江 例えば、マイクロRNA検査(遺伝子によるがん検査)とかあるじゃないですか。ああいうのは、どうなんですか?

広津 検査の狙いが少し違います。我々のは「安くて精度が高いけれども、がん種は特定できない」技術なんです。マイクロRNAは「値段は高いけれども、がん種が特定できる」という技術。ですので、今後は線虫を使ったがん検査で「がんがあるかないか」を調べて、陽性だった人はマイクロRNA検査を受けるとか、そういった流れになってくると思います。現在、線虫検診は、2020年の実用化をめざして頑張っているところです。

堀江  そうなんですね。本日は、とても興味深い話をありがとうございました。

広津 いえ、こちらこそ、ありがとうございました。

Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保

その1はこちら

広津 崇亮 Takaaki Hirotsu

博士(理学)、株式会社HIROTSUバイオサイエンス代表取締役 1972年4月25日、山口県生まれ。東京大学大学院博士課程終了後、日本学術振興会特別研究員、京都大学大学院研究員などを経て、2016年に株式会社HIROTSUバイオサイエンスを設立し代表に