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「いかに太らせるかではなく、いかに4つの胃を健康にするか」【尾崎牛生産者・尾崎宗春氏が語るブランド牛の作り方 その2】

堀江貴文氏は2月8日、尾崎牛生産者の尾崎宗春氏を取材。「ブランド牛」の作り方などについて話を聞いた。(初回配信日:2016年2月8日)

自分の子どもに毎日食べさせても不安にならない肉を作ろうと思った

堀江 「尾崎牛」という個人ブランドを作ったということが、僕はすごく新しい発想だと思ったんですよ。そこに至った経緯は何だったんですか?

尾崎 僕が小学生の頃、実家が100頭の牛を買って牧場を始めたんですよ。100頭の牧場を経営するということは、1億円くらいの借金をしている。すると生活は貧乏だし、土日は手伝いをさせられるしで、牛と関わる仕事が嫌になる。

堀江 そうでしょうね(笑)。

尾崎 本当にお金がなかったので、高校は大阪の定時制の高校に行って、卒業後は公務員になろうと思っていたんですよ。そして、高校を卒業して仕事を決めようという段階で大阪から実家の宮崎に帰省したら、大阪で見ていたクタクタに疲れたサラリーマンより、オヤジのほうが生き生きと仕事をしていた。それで、やっぱり牧場のほうがいいかなと(笑)。

堀江 なるほど(笑)。

尾崎 で、どうせやるなら世界でも通用するような牛肉を作りたいと思って、4年間のスケジュールを作りました。まず最初の1年間は、県の畜産試験場に泊まり込んで牛と豚と鶏の勉強。次の1年間は父の牧場で実地。その後の2年間はアメリカに行ったんです。

堀江 へー。

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尾崎 アメリカは世界の中でも、日本に次いでおいしい肉を作っている。だから、どういう牛作りをしているのか勉強してみたかった。それで1万7000頭規模の牧場で1年半、大学で畜産の勉強を半年しました。その結果わかったのは、アメリカのやり方は「早く太らせる」という牛作りに尽きるということ。

堀江 それは、どんな方法なんですか?

尾崎 ひとつは、サプリメント。

堀江 成長ホルモンですか。

尾崎 成長ホルモンの前に牛の骨を砕いた「ボーンミール」や食肉処理場で出る血液を固めた「ブラッドミール」を与える。血液って、高タンパクだからね。それらを5%混ぜることによって、普通は10kgの穀物で1kg太るのが1.2kgほど太るようになる。動物はとも喰いが一番効率が良いんです。

堀江 へー。

尾崎 次に成長ホルモン。エストロジェンね。

堀江 エストロジェンって、女性ホルモンですよね。

尾崎 そう。なぜ、女性ホルモンを打つかというと脂が蓄積しやすい体質になるから。

堀江 頻度は?

尾崎 頻度は3カ月に1回。ツマヨウジの先みたいなものを耳の後ろに打ち込むと、3カ月かけてエストロジェンが吸収される。そして「1カ月休薬すれば、肉の中にエストロジェンは残っていない。だから大丈夫」というのがアメリカの考え方だった。

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その3に続く

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Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保

尾崎宗春(Muneharu Ozaki)

「株式会社牛肉商尾崎」商主。1960年生まれ。宮崎県出身。高校卒業後、1980年に宮崎県農業試験場肉畜支場に入場。1982年、畜産の勉強のため渡米。1984年に帰国。 1992年「有限会社 尾崎畜産」2012年「株式会社 牛肉商尾崎」を設立。現在、「尾崎牛」は、和牛ブランドとして高い人気を誇っている