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「開腹手術なしで治療ができる」 【自治医大・山本博徳教授が語る 小腸の内視鏡検査・治療の最先端 その4】

堀江貴文氏は8月17日、自治医科大学の山本博徳氏を取材。「小腸の内視鏡検査・治療」の最先端などについて話を聞いた。(初回配信日:2015年8月20日)

内視鏡手術の適用範囲を「危険リスク1%以内」で線引きされると見捨てられる患者が出る

山本 「内視鏡治療」と「手術」の一番の違いは「内視鏡ではリンパ節を取れない」ということなんです。だから、リンパ節に転移した可能性のあるものは、やはり手術しないといけない。手術をしたら命が救えたのに、内視鏡治療ですませたからリンパ節で再発して死んでしまったということがあったらいけない。だから、内視鏡治療の適用はリンパ節転移のリスクが手術のリスクより下回るものだけ。「リンパ節転移の危険性が1%と予測される」というかなり厳しい基準になっているんです。

堀江 じゃあ、1%未満の場合は内視鏡で?

山本 そうです。でも、そこで逆に問題になってくるのが、1%を超えた場合に「すべて適用外」としてしまっていいかということ。例えば、リンパ節転移の危険性が1、2%だと予測される。そうなると手術になるのだけれど「手術に体が耐えられるのか」という人が出てくるんです。

堀江 それは高齢だったり、心臓が弱かったりという人ですか?

山本 ええ。内視鏡治療ならば十分耐えられるけれども、「リンパ節転移の可能性が3%あるので、あなたは適用外です」と言われてしまうと、97%助けられる治療方法があるのに、それを行なうことができない。もし、内視鏡治療をしたら、それは悪いことのようになってしまう。

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堀江 それは問題ですよね。だって、だからって開腹手術もできないということになったら「そのまま見捨てる」っていうことになるわけですよね。

山本 だから、心ある医者は内視鏡治療をやっちゃうこともあるんです。そして、それで何か問題が起こると「適用外なのにやった」って批判を受ける。でも、本来は適用外かどうかって、ハッキリと区切ることができないものだと思うんです。1%のラインで線引きするのはどうなんでしょう。その線からこっちは白で、こっちは黒だってハッキリ分けることができないグレーゾーンってあると思うんです。

堀江 そうですね。

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Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保

山本博徳(Hironori Yamamoto)

自治医科大学消化器内科学教授、医学博士。1960年生まれ。高知県出身。1984年、自治医科大学卒業。1990年、米国メイヨークリニック、テキサス大学に臨床留学。2005年、自治医科大学助教授。2007年、自治医科大学教授。2009年、シンガポール国立大学客員教授。2012年、自治医科大学附属病院消化器センター、センター長に就任。ダブルバルーン内視鏡の開発者。これによって、これまで検査が難しいとされてきた小腸の奥まで診療・治療ができるようになった。