堀江貴文氏は8月31日、博士の玉城絵美氏を取材。「ポゼストハンド」などについて話を聞いた。(初回配信日:2015年9月4日)
VRゲームなどの入力デバイスには最適
堀江 こちらの小さいやつは?
玉城 これはこの夏にできたばかりのもので、仮想の物体を触れるようにする装置です。バーチャルリアリティの可愛い女のコと握手をするとか、ゲームに使うやつです。ちょっとつけてみますか?
堀江 お願いします。これもビリビリするんですか?
玉城 それは、私次第です。刺激レベルを強くすればビリビリします。
堀江 なんかドキドキするなあ(装着中)。頭から火花とか出ませんか?
玉城 出ません(笑)。じゃあ、いきます。
堀江 あ、ちょっと感じる。
玉城 これくらいなら、全然大丈夫ですよね。
堀江 大丈夫です。
玉城 じゃあ、ちょっと上げます。
岩崎 上げるの(笑)。
堀江 うわー、きた、きた、きた、きたよー。うわっ!
玉城 今、感じました?
堀江 ええ。なんかヘンな感じがしました。
玉城 今、私が「パン」と叩いたような感じがしませんでしたか? そういうバーチャルリアリティなんです。
堀江 これ、すげえよ。
岩崎 ないものを触ったように感じることもできるんです。
玉城 もう1回、叩いていいですか?
堀江 いやいやいや……。さっきのけっこう痛かったんですよ。
玉城 失礼しました(笑)。
堀江 これ、僕の指も動くんですよね。
玉城 そうですね。キャリブレーションをちゃんとすれば動きます。動く場所を学習していくと、だんだん正確になっていきます。やってみますね。
堀江 あ、なんか動いてる。
玉城 あ、ちょっと違うところが動いちゃったかな。逆に堀江さんの手の動きをデータに取ることもできます。ちょっと指を動かしてもらってもいいですか?
堀江 はい。こうですか?(指を動かす)
玉城 そうですね。今、手の動きのログを取っていて、その数値が波状になってこちら側に出てくるんです。
堀江 インプットとアウトプットが両方できるっていうことですね。
玉城 そうです。それでゲームのコントローラー装置として提供できればと思っているんです。ゲームの時に敵に「バーン」って殴られた衝撃だったり、女のコに触れた時などの感覚とかがわかるという。
堀江 キーボードがないところでキーボードを叩くとか、楽器を演奏するとかもできそうですね。
玉城 そうですね。
堀江 これ、いくらくらいで出すんですか?
岩崎 ひとつ2、3万円くらいを考えているんですけど。
堀江 他は、こういうことをあんまりやってないんですか?
玉城 やってるところはあるんですけど、精度が……。
堀江 あんまり良くない。
玉城 筋肉の位置って個人差が激しいんです。そのため、これまで発売されていた装置は個人差吸収ができず、それほど精度が良くなかった。でも、この装置は適当に腕に巻きつけても「親指を動かす」みたいなことができるようになっているんです。そのあたりが他ではやっていない新しい部分です。
岩崎 個人差吸収するキャリブレーションのソフトウェアが新しいんです。
堀江 今まではそれができなかったと。
玉城 そうですね。個人差吸収をやるためには、いくつかの知識が必要なんです。例えば、回路設計のための電子・電気系の知識とソフトウェア科学、人間の筋肉の動きのための生理学とロボット制御学、あと基礎心理学などが必要です。
堀江 これを入力装置として出したら、確かにデータテスター的にいろんな人たちが使ってくれるかもしれないですね。それで面白いアプリをたくさん作ってくれるかもしれない。
岩崎 そういった開発者の人たちと一緒にできればと思います。
堀江 これ、肩と脚にもつけられたら、バーチャルリアリティの入力デバイスとしては非常にいいですよ。アウトプットしなければ、別に腕がぐるぐる回って自分を殴ったりしないわけだし(笑)。
玉城 そうですね。多分、もう少し小さくできると思いますし。
堀江 今のVR用のインプットデバイスって、結構、ゴツイじゃないですか。バーチャル空間を動き回るだけだったら、手と指と脚と足の指くらいでいいわけですよね。身体の4カ所くらいに装着するだけで動き回れる。こっちのほうがスマートですよ。こっちのほうが全然いいんじゃないですか?
玉城 そうですね。
堀江 だって、これ、ただの筋電センサーですよね?
玉城 いや、実は筋電じゃないんです。
堀江 え、じゃあ何なんですか?
玉城 それはちょっと……。
堀江 言えないんだ。じゃあ、後でこっそり教えてください(笑)。
玉城絵美(Emi Tamaki)
『H2L』株式会社チーフリサーチャー、工学博士、早稲田大学人間科学学術院助教(当時)。1984年生まれ。沖縄県出身。2006年、琉球大学卒業後、筑波大学、米国ディズニー研究所を経て、2011年に東京大学大学院博士課程終了。同年、東京大学総長賞を受賞。ポゼストハンドが米『TIME』誌の「世界の発明50」に選ばれる。2012年、岩崎健一郎氏とともにベンチャー起業『H2L』を設立。2015年日経ウーマン「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」準大賞受賞。
岩崎健一郎(Kenichiro Iwasaki)
『H2L』株式会社代表取締役(当時)。1984年生まれ。東京都出身。2008年、東京大学卒業。2010年、東京大学大学院にて修士号取得。2011年、理化学研究所テクニカルスタッフ。2012年、ベンチャー起業『H2L』を設立。代表取締役就任。