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「仮想の物体を触ることができる」 【博士・玉城絵美が開発した 新「ポゼストハンド」とは?その4】

堀江貴文氏は8月31日、博士の玉城絵美氏を取材。「ポゼストハンド」などについて話を聞いた。(初回配信日:2015年9月4日)

今、東大発のベンチャー起業が増えつつある

堀江 だけど、これはいろんなものに応用できそうですよね。バーチャル手術とか。

玉城 本当は『ダビンチ(手術支援ロボット)』のような方向に行きたいんですけど、まだ、そこまで細かく制御できてないので。

堀江 でも、もっと細かくできそうですよね。

玉城 できると思います。手でモノを制御するとかモノ動かすのは、キーボードとマウスとマルチタッチがあまりにも便利すぎて、1960年代くらいからあまり進化していないんですよ。だから、そろそろ新しい技術が出てきてもいいんじゃないかと思っています。ポゼストハンドがそのひとつになれば、うれしいんですけど。

堀江 いやぁ、ポゼストハンドは面白いですね。でも、これで商売になってるんですか?

岩崎 一応、なってます(笑)。

堀江 『H2L』は、東京大学発のベンチャーですよね。

玉城 そうです。この事務所はシェアオフィスなんですけど、ほとんどの人が東大卒で博士か、その途中の人たちです。

岩崎 最近は、研究者を少しやって起業する人が増えましたね。

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堀江 へー、時代は変わりましたね。昔はこんなことをやってる人は、ほとんどいませんでしたよ。大学を出たらだいたい大企業の研究所とかに入ってたから。でも、今はみんな当たり前のように起業を始めてるんですね。

岩崎 文部科学省とかも、最近は起業を勧めてるんですよ。

玉城 研究者が起業をするための予算みたいなのがあるんです。

堀江 僕らの頃と全然、変わっちゃいましたね(笑)。

玉城 東大って、官僚にならなかったり、大企業に行かなかったり、研究もしないと「いったい何やるの?」みたいな雰囲気があったと思います。

岩崎 でも今は、工学部の人たちだったら「起業して自分たちの作ったものを世間に広めろ」みたいな感じですね。

堀江 でも、せっかく、こんなにすごいものを作ったんだし、使いたい人もいっぱいいるだろうから広めたほうがいいんですよ。

玉城 ありがとうございます。社会貢献のために頑張ります。

堀江 いやー、今日はとても面白かったです。ありがとうございました。

玉城 こちらこそ、いろいろな刺激を受けました。ありがとうございました。

その1はこちら

Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保

玉城絵美(Emi Tamaki)

『H2L』株式会社チーフリサーチャー、工学博士、早稲田大学人間科学学術院助教(当時)。1984年生まれ。沖縄県出身。2006年、琉球大学卒業後、筑波大学、米国ディズニー研究所を経て、2011年に東京大学大学院博士課程終了。同年、東京大学総長賞を受賞。ポゼストハンドが米『TIME』誌の「世界の発明50」に選ばれる。2012年、岩崎健一郎氏とともにベンチャー起業『H2L』を設立。2015年日経ウーマン「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」準大賞受賞。

岩崎健一郎(Kenichiro Iwasaki)

『H2L』株式会社代表取締役 (当時)。 1984年生まれ。東京都出身。2008年、東京大学卒業。2010年、東京大学大学院にて修士号取得。2011年、理化学研究所テクニカルスタッフ。2012年、ベンチャー起業『H2L』を設立。代表取締役就任。